【解説】2015神奈川県公立高校入試 数学-問3

神奈川県公立入試

こんにちは。数学を教えている深川です。
神奈川県公立高校入試の数学について気になる問題を解説しています。

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第4回目は問3です。大問まるまる解説します。

下の図において、直線①は関数 y = 2x + 8 のグラフであり、
曲線②は関数 y = ax^2 のグラフである。

点Aは直線①とy軸との交点である。点Bは曲線②上の点で、
そのx座標は 6 であり、線分ABは x軸に平行である。

点Cは直線①とx軸との交点である。

また、原点をOとするとき、点Dはy軸上の点で、OB = OD であり、
そのy座標は負である。

さらに、点Eは OD = BE となる点で、線分BEはy軸に平行であり、
そのy座標は負である。

(ア)曲線②の式 y = ax^2 のaの値を求めなさい。

(イ)直線CDの式を求め、y = mx + n の形で書きなさい。

(ウ)点Fは線分OAの中点であり、点Gは線分DE上の点である。
   直線FGが四角形ODEBの面積を2等分するとき、
   点Gの座標を求めなさい。
※「^2」は前の数字の2乗を意味しています。
グラフ

大問3は、毎年必ずと言っていいほど出題される2次関数のグラフの問題ですね。

この手の問題の解き進め方ですが、
僕はまず小問を読む前に記号が振られた各点の座標を求めてしまいます。

点に記号が振られているということは、
必ず小問ではその点に絡んだ問題を用意しています。
記号だけ振って、その点にノータッチということはあり得ません。

点A~Eの各座標を求める

では点Aから求めていきましょう。

「点Aは直線①とy軸との交点である。」を読んで、どう解釈するか。

「つまり直線①の切片のことだな。」と瞬時に分かる人は、
A( 0 , 8 )ということころまでピンとくると思います。

「つまり?」となる人は、y軸が何かを考えましょう。

y軸は捉え方を変えると、x = 0 の直線と同じです。
だから直線①:y = 2x + 8 に x = 0 を代入します。

y = 2 × 0 + 8 = 8

よって x = 0 、y = 8 なので、点Aの座標は( 0 , 8 )です。

一次関数の式の一般形は y = ax + b です。
「一次関数の式の一般形」とは、あらゆる一次関数をこの式の形で表せるという意味です。

aは傾き、bはy切片を表していることを覚えておきましょう。
y切片とはグラフとy座標との交点という意味です。

次、点Bです。

点Bは曲線②上の点です。またx座標は6です。
この2つの条件から、曲線②に x = 6 を代入します。

y = a × 6^2 = 36a

よって、ここまでで点Bの座標は( 6 , 36a )です。

点Bについてはまだ条件があり、線分ABはx軸と平行です。
x軸と平行ということは点Aのy座標と点Bのy座標は等しいことを意味しています。

結局、点Bの座標は( 6 , 8 )ですね。

ここでaの値を求めることが出来るので求めておきましょう。

36a = 8
aを求める式

次、点Cです。

点Cは直線①とx軸との交点なので、
言い換えると点Cは直線①と直線 y = 0 との交点です。

だから、

0 = 2x + 8
2x = -8
x = -4

となり、点Cの座標は( -4 , 0 )です。

はい。次は点Dですね。ここで三平方の定理が登場します。

点Dについて問題文はこう書いてあります。
原点をOとするとき、点Dはy軸上の点で、OB = OD であり、そのy座標は負である。

ここでOBの長さを求めるために三平方の定理が必要です。

△OBH

点Bからx軸に向かって垂線を下ろしたx軸との交点をHとすると三平方の定理より、

OB^2 = 0H^2 + BH^2 です。

OH = 6 、BH = 8 なので、

OB^2 = 6^2 + 8^2 = 36 + 64 = 100

OBは長さなので負の値はあり得ません。
だから OB = 10 ということがわかります。

よって点Dの座標は( 0 , -10 )です。

最後に点Eです。

点Eの条件を確認すると、
OD = BE となる点で、線分BEはy軸に平行であり、そのy座標は負である。

線分BEはy軸に平行なので、点Bのx座標と、点Eのx座標は同じ値です。
このことから、点Eのx座標は6です。

また OD = BE ということは点Dのy座標が原点Oのy座標より10小さいので、
点Eのy座標も点Bのy座標より10小さくなります。

よって点Dのy座標が8なので、8 – 10 = -2 が点Eのy座標です。
まとめると点Eの座標は( 6 , -2 )です。

では求めた情報をグラフの中に書いておきましょう。
グラフ2
ここまで整理したら、やっと小問を考えていきましょう。

(ア)曲線②の式 y = ax^2 のaの値を求めなさい。

これは点Bの座標について考えた時に求めました。a = 2 / 9 です。
※「/(スラッシュと読む)」の記号は、その前後の数字で分数を作ります。
  スラッシュの前が分子、後が分母を意味しています。

(イ)直線CDの式を求め、y = mx + n の形で書きなさい。

点Dが 直線CDのy切片なので、y = mx – 10 です。あとは傾きが知りたい。
C → D はx軸方向に4進んで、y軸方向に10下がっています。

傾きが知りたい

傾きは、傾き=

つまり
スクリーンショット 2015-03-13 15.51.32

だから求める式は、
スクリーンショット 2015-03-13 15.57.34
となります。

(ウ)点Fは線分OAの中点であり、点Gは線分DE上の点である。直線FGが四角形ODEBの面積を2等分するとき、点Gの座標を求めなさい。

やっと最後まで来ましたね。長い!

まず点Fが線分OAの中点なので、その座標を求めましょう。
原点とある点( s , t )との中点の座標は、
スクリーンショット 2015-03-13 16.16.38
となります。

つまり、ある座標の各成分(xの値とyの値)を半分にすればいいのです。
点Aは( 0 , 8 )なので、線分OAの中点は( 0 , 4 )です。

次に四角形ODEBという形がどういう性質を持っているか考えます。

数学の問題に「四角形」とあれば、
何にも分類できない四角形であることは少ないです。

四角形ODEBの性質が分かれば、面積を2等分するための糸口が見つかりそうです。

四角形ODEBで分かっていることを挙げておくと、

OB = OD = BE 、OD // BE です。
記号と文字を追いかけるより見た方がわかりやすいですね。
四角形ODEB1
ここで、四角形ODEBがひし形であることを見抜ける人はいいセンスですね。
その通り!四角形ODEBはひし形です。

「でもなんで?」に答えるための一番の近道は
OB = OD = BE = DE が言えることでしょう。

なので三平方の定理を計算して線分DEの長さを求めてしまいましょうか。

三平方の定理で楽するには

ここで、覚えておくべき直角三角形の辺の長さの組み合わせを紹介します。
いくつかの組み合わせを知っておくと、計算する手間がかなり省けます。

その前に直角三角形を説明するための言葉を確認しておきましょう。
直角と向かい合う最も長い辺を斜辺、その両隣の辺は隣辺といいます。
スクリーンショット 2015-03-14 11.37.55
(wikipediaより)

それではこの3つは覚えておきましょう。隣辺:隣辺:斜辺の順に、

① 3:4:5
② 1:1:√(2)
③ 1:√(3):2

※√(2) はスクリーンショット 2015-03-14 11.23.00を表しています。

実は先ほど線分OBを求めるために三平方の定理で計算しましたが、
辺の組み合わせを知っていると比の計算だけで求めることが出来ます。

隣辺が6と8なので、6:8=3:4です。
なので、3:4:5 の直角三角形になります。

よって
3:4:5 = 6:8:10 なので、斜辺の長さは10ですね。

はい、問題を忘れてしまいそうなのでまた問題を。

(ウ)点Fは線分OAの中点であり、点Gは線分DE上の点である。
   直線FGが四角形ODEBの面積を2等分するとき、
   点Gの座標を求めなさい。

ここまでで、
点Fが( 0 , 4 )であることと四角形ODEBはひし形であることが
計算してわかりました。

このひし形の面積を二等分する直線は、対角線の交点を通ればよいです。

ひし形は対角線の交点を中心とする点対称な図形なので、
対角線の交点を通って形を分ければ、その2つの図形は合同です。

ひし形は2つの対角線が互いを2等分するので、
その交点はそれぞれの対角線の中点です。

中点をMとおくと、点Eの x , y 座標の値をそれぞれ半分にして、
点Mは( 3 , -1 )となります。
四角形ODEB2
よって直線FMは、2点( 0 , 4 )と( 3 , -1 )を通るので、
切片は4です。傾きは3進んで5下がるので – 5 / 3 です。

つまり y = – (5 / 3) x + 4 です。

この直線と、直線DEとの交点を求めれば終わりです。

直線DEの傾きは、6進んで8上がるので 4 / 3 です。

切片は -10 なので、直線DEの式は、

y = ( 4 / 3 ) x – 10 です。

y = – ( 5 / 3 ) x + 4
y = ( 4 / 3 ) x – 10

この2つを連立して解くと、点Gは( 14 / 3 , – 34 / 9 )となります。

とっても長い解説でしたが、
最後までお付き合いいただいてありがとうございました。

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この記事を書いた人

深川 道陽

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