先日、英語の授業をしていて、「時制ってよくわからない。何度聞いても忘れてしまう。」という質問(?)を受けました。確かに時制って、何度聞いても実体がどこにあるのか(結局時制って何なの?)わからない。

例えば助動詞だったら、canやmayなんかの総称なので、「こいつらをまとめたものを、助動詞と言ってるんだよ」と言えばすみます。でも、時制をそのように説明しようとすると、他の似た言葉、例えば、「時間」とどう違うの?みたいな感じになってよくわからなくなるのではないか。

そこで昨日は、まずこんな風に言いました。

「時制と聞いた瞬間に、連想すべき言葉としては、過去形・現在形・未来形。この三つを連想できるようになっておこう。まずはそれをおさえる。その上で、「じゃあ時制って何?」ってところに入っていこう。

1. 時制とは?

時間には、過去・現在・未来のような、区分があります。時制とは、それらを言葉の上で区別できるようにするための、仕組みのことです。(時間を表すための制度、と考えると、字面との連想が繋がりやすいかも)

1-1. 過去

たとえば、日本語では「た」をつけると「過去」になるよね、という話をします。「見る→見た」「する→した」などなど。英語では、これに似たものとして、「ed」があるわけですよね。「play→played」「study→studied」。

でも、もちろんそうは単純に行かない部分もあります。それが不規則変化。seeがsawになったり、speakがspokeになったり。日本語には、ここまで(?)大きく変化するものはない…でしょうか。どうでしょう。微妙なところです。

昨日は、「する」と「した」はけっこう違うよね、というのを、不規則変化・みたいなものとして納得してもらえたように思います。

いずれにせよ、このように、「言葉に何らかのパーツをくっつけると過去になる」という、この一定のパターン。決まり。これを、時間の制度として捉えて、時制と呼ぶことにしよう。と伝えました。

1-2. 未来

英語ではedをつけると過去になる。それでは、未来にするには?

というと、will(またはbe going to)という答えがきちんと返ってきます。ここで、大事なこととして、「そう。その後ろは、動詞の何形?」と聞くと、「原形!」という言葉も返ってきました。

日本語では、何かをつける必要があるでしょうか?

「明日、友達のうちに行く」
「彼はこのあと、6時に来る」

のように、日本語でも未来を表すときに原形(国文法の世界では終止形と言うことが多いです)を使うことがある、ということをお話します。

もちろん、「明日、…行くつもりだ」「…来るだろう」のように、特定の語尾をつけても未来表現になります。どちらが絶対ということではなく、むしろ、「きちんと未来を表現できていれば、未来であることがわかっていれば、形に縛られなくていい」ということを伝えたい。

時間の区分の仕方として、過去・現在・未来という三つの時間の分け方の他に、過去か、それ以外(非過去という言い方をします。そのまんまですね)という分け方をするべき、という主張もあるということを、たまに話すこともあります。

1-3. 現在

現在というのは「今」という意味ですが、英語の動詞の現在形は、瞬間的な現在、「今この瞬間」を表すというよりは、習慣的な現実、事実、現象、事柄を表します。反対に、瞬間的な現在は、be動詞+ing形の進行形で表すのが普通です。

習慣的な現在というのは、「私は塾に通っている」とか、「中国語を習っている」とかの「広い現在」のことです。

瞬間的な現在は、「いま彼女はピアノを弾いているところだ」とかですね。

このように、英語の時間の表現には、「瞬間的か、状態的か」という区別があります。これは、現在だけでなく、過去や未来についても言えます。

「昨日の3時?うーん、寝てたかな」これは過去進行形。「明日の3時はまだ学校で自習しているよ」は未来進行形ですね。進行形でない普通の過去形や未来形は、「昨日は3時に寝たよ」とか、「明日は学校で自習するよ」とかですね。時間をピンポイントで設定するか、そうでないか。と考えるといいでしょう。

このように、英語には「瞬間的か、そうでないか」という軸があり、このあたりが「現在形と現在進行形」の区別にも重要になります。

瞬間的でない、習慣的な事実(「ジョンはしゃべるとき手がよく動く」)。天体の運行をはじめとする科学的な真理や事実(「地球は太陽の周りを公転している」)。飛行機や電車の予定(「9番線、久喜行きの電車は、13時50分に発車します」)、役人の予定(「首相夫人は19時に到着する」)。これらは、「時間」のイメージにとらわれない「確実なこと」として、現在形で表します。

これは、現在形と未来形の区別にも関わる複雑なところですが、先日は以上のような話をして、おおよそのところを理解してもらえたと思います。

みなさんの学習にも、役に立てばと思い記事にしました。

予告:進行と完了—「相」について

じつは、このあと最後に「進行」についてもう少し話をしました。それは、「進行とは完了の反対語であることについて」と「未来に関わる進行形」についてです。その話はまた次回、したいと思います。

この記事を書いた人

片岡 正義

主に国語・英語を担当。言語を理解する上での「からだ」と「あたま」の双方から楽しみを感じられるような授業をしたいと思っている。

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