高校受験ガイド

【2025年度】神奈川県公立高校入試の傾向と難易度

2025年2月14日に神奈川県神奈川県公立高等学校入学者選抜共通選抜が実施された。

この記事では英語・国語・数学・理科・社会の各科目の試験について設問数・昨年との変化・大問別分析、簡単な学習アドバイスを行う。

英語

問題数

大問数:8問
設問数:26問(うち2問が選択数2つ)
いずれも去年、一昨年から変化なし。

形式や難易度の変化

問題構成・難易度ともに昨年と比較してほぼ変化はない。

大問別分析

問1はリスニング問題。標準的内容であった。

(ア)No.2 はやや一文の長い発話があった。

(ウ)は大学共通テストを意識した講義形式の設問であり、他と比べて難しく感じた生徒もいるかもしれない。

問2は単語の空所補充問題。例年通りであった。正答となった単語は、(ア)developed、(イ)statue、(ウ)proud。

問3は選択式の文法問題。例年通りである。問われた主な単元は以下の通り。

(ア)taking。現在分詞による後置修飾が必要と判断させる問題

(イ)another。Would you like another cup of tea? でお代わりの希望を伺う会話表現を問う問題

(ウ)across。道案内の会話を読み取り適切な前置詞を入れる問題

(エ)exciting。空所を含む文は関係代名詞の接触節、「look + 補語」の知識が要求される。

問4は並び替え問題。問われた主な単元は、以下の通り。

(ア)what I need to do;関係代名詞/間接疑問文のwhat、need to

(イ)the places tourists should visit;関係代名詞の省略(接触節)

(ウ)Do you think learning foreign languages is important?;think + that節、間接疑問文

(エ)Is there anything we can do to make our city clean?;不定詞、make O C

重要な文法がバランス良く問われている。文法理解を確実にしておきたい。

(イ)の接触節は昨年も問4(ウ)で出題。ちなみに去年は接触節の主語が (the) visitors で今年は tourists。

問5は条件付き英作文で「Do you know how it works?」を答える。

前半の文法問題では、間接疑問文が多く問われている印象だ。

3年前から引き続き疑問文を書く問題が出題されている。

問6〜8は例年通り長文問題であった。

問6はグラフや表と英文を読み合わせる問題。問題文中に現れるグラフも例年通り。グラフの読み取りはごく基本的で易しいと言うべきだろう。内容としては、将来の「やりたいこと」が見つからず自分自身に対して自信がもてない高校生が、そんな悩みを身近な人と話すことの大切さを学ぶ、というもの。近年よく話題にされるテーマであり、時事に明るいことが有利に働く設問である。

設問形式は例年通りであり、内容も素直であった。

問7は例年通り2問構成だった。(ア)は会話から行動予定を理解する。(イ)はメッセージのやりとりを読み取る問題。基礎的な英語読解ができれば、数的な情報処理は易しいという傾向が去年から続いている。英語の読解問題という意味では大変好ましい。

問8は対話文の読解問題。文量は2ページ分、テーマは食糧問題であった。設問形式は例年通り、(ア)本文を読み正しいグラフを選ぶもの、(イ)本文内容に合う選択肢を2つ選ぶ問題であった。

学習アドバイス

全体を通し、英文の難易度は標準的なレベルであった。使用されている語彙や表現は教科書のレベルを超えていない。特別難しいことは必要なく、標準的な問題を反復練習して中学3年間の語彙、文法事項をしっかり定着させておきたい。

テーマに関して、問6,8において社会や総合の時間などでテーマに親しんでおくことが有利に働く題材であった。前年に引き続き、長文で扱われるテーマに親しんでおきたい。

国語

問題数

大問数は5問、設問数は30問。いずれも去年、一昨年から変化なし。

形式や難易度の変化

問題形式は昨年と比べ大きな変化はなく、30文字程度の作文以外は全て記号選択問題だった。全体を通して素直で、基礎力を問う問題であった。

大問別分析

問1は漢字と俳句の鑑賞の記号選択問題。漢字→読みは「頻繁」「喝采」「竹刀」「諮る」。読み→漢字は「給料」「誤算」「集団」「率いる」。文法問題は去年に引き続き読解に統合。読み「諮る」が高校入試としてはやや難しかったかもしれない。

問2は物語文の読解。(ア)〜(オ)が心情・状況理解に関する選択問題、(カ)は内容+表現方法に関連する選択問題という例年通りの出題である。出典は砥上裕將『一線の湖』(2023年、講談社)。

問3は説明文読解。昨年の形式を踏襲し、内容理解に、語句および文法問題が統合されている。設問のタイプで見ると、以下の通り。

  • 接続詞の空欄補充
  • 文法問題:助動詞「られる」の判別
  • 語句問題:「希薄」の対義語
  • 傍線部の理由・内容理解
  • 本文全体を通じたキーワードの把握
  • 要旨選択

出典は岩内章太郎『〈私〉を取り戻す哲学』(2023年、講談社新書)。昨年度「ファッションの哲学」に続き、「哲学」を名に冠した文章からの出題である。「〈私〉をデザインする」というテーマは抽象度が高いようにも思われるが、SNSという身近な題材が扱われていることもあり、受験生にとっては比較的身近に感じられる内容だったのではないだろうか。

問4は古文の読解。設問は非常にストレートな内容理解に関するもの。註とルビを駆使し、前半部分を理解できれば展開を推測しやすい文章を選んだ、という意図が感じられた。出典は『太平記』。

問5は資料読解と作文。資料は文章のみで、テーマはLINEなどのメッセージングアプリと「手紙」という遅いメディアとの対比を通じて、後者の持つ意味を再考させるもの。出典は下記の通り。

  • 石田光規「『友だち』から自由になる」
  • 出口顯「声と文字の人類学」

作文の指定文字数は30〜40字であった。前回よりやや増加。

資料からグラフや図式性が薄れ、純粋な文章のみとなった。来年も続くかは不明だが、設問として良い意味で単純になり、よい傾向だと思われる。

学習アドバイス

漢字や語句問題を含め、本文・設問いずれも非常に標準的な内容理解に関するものとなっており、基礎力が問われるものであった。

漢字、文法、読解、作文の体幹を養っておきたい。また、国語は模試や過去問演習の復習を丁寧にすること。正解の根拠を本文から説明する習慣をつけたい。また、古文の読解は練習する機会を十分に持てば安定して得点しやすい。優先的に対策すべき。

数学

問題数

大問数は6問、設問数は24問であり、昨年から1問減少したが全体のボリュームは例年と同程度である。設問の配置等に変化はない。

形式や難易度の変化

問題の構成や出題された単元に大きな変化はなかった。易しい問題と難しい問題の差があり、全体としては例年並みの難易度といえる。

大問別分析

問1は例年同様に計算問題が出題された。

問2は例年通り小問集合(問3と比べると軽い問題)で因数分解・二次方程式・二次関数の変化の割合・不等式の文章題・平方根の性質・立体の体積が出題された。総じて易しめであった。

問3は昨年同様各分野の小問が4テーマ出題された。問3の図形問題は難易度が高いことが多く、今年も同様であった。

(ア)の(ⅰ)は円を含む図形上の三角形の相似を証明するだった。設問は基本的な出題でぜひ正解したい。(ⅱ)は求積問題で複数の知識を組み合わせて解く問題でやや難しい。(イ)は3人の会話と箱ひげ図からデータを多い順に並べる問題だった。論理パズルのような問題で解きにくく感じた人もいるかもしれない。(ウ)2次方程式の文章題で、テープの面積を式で表すことに苦労した受験生もいたであろう。(エ)は正方形と直角三角形から角度を求める問題で標準的な難易度の問題だった。

問4は例年通り関数の問題が出題された。(ウ)は座標平面上の2つの三角形の面積比に関する問題だった。関数の(ウ)は例年同様難しめの問題ではあるが、座標上の三角形の求積に慣れている受験生であれば比較的取り組みやすい問題だった。

問5は例年通り、文章と【ルール】の読解を伴う確率の問題が出題された。設問数は例年通り2問で、昨年同様2つのサイコロ問題の出た目によって特定の操作を行う題材だった。ややルールが複雑で、条件を整理する力が問われる問題だった。

問6は例年通り立体図形の問題が出題された。(ア)三角柱の表面積を求める基本的な問題であった。(イ)三角柱上の点から図形内部の面に引いた垂線の長さを求める問題だった。決して難易度が低くはないものの、典型問題の訓練を十分に積んでいれば方針は立てやすい。

学習アドバイス

中学の範囲から満遍なく出題されており、どの単元も基本的な問題を正確に解けるようになっておくことが重要だ。

その上で、過去問を解いて目標を立てよう。目標が60~70点の受験生は問1,2とその他の問いの(ア)(イ)を絶対に落とさない練習をしよう。また、計算や小問を素早く解けるようになっておくことで確率の問題に十分に時間を使いたい。70点以上が目標の受験生は得意単元をつくろう。関数分野の図形的考察に慣れておくこと、立体図形・平面図形の典型的なタイプの問題を身につけておくことが重要だ。

理科

問題数

大問数は8問であり、昨年と比べ変化はなかった。問1~4は小問集合、問5~8は実験や観察をベースにした設問である。問1~4、問5~8ともに物理・化学・生物・地学各分野から一つずつ出題されている点も例年と変わりない。設問数(()の小問の数)は29問で昨年から一つ増えた。

形式や難易度の変化

問題形式は昨年と比べ大きな変化はなかった。
中には難しい問題もあるものの全体として典型的な出題が多く、昨年よりやや易化した。

大問別分析

問1は物理分野の小問集合で、光の屈折・電気抵抗・静電気力に関する出題であった。

問2は化学分野の小問集合で、密度・電離・中和に関する出題であった。

問3は生物分野の小問集合で、顕微鏡の使い方・動物の分類・酸素の運搬に関する出題であった。

問4は地学分野の小問集合で、霧の実験・太陽系の惑星・極夜に関する出題であった。

小問集合はどの分野も典型的な出題が多かったが、問1の(ア)は光の屈折の性質を応用する必要がある難しい問題だった。

問5は物理分野から、レール上を転がる小球の運動についての実験をテーマとした出題だった。小球にはたらく力と速さの変化の関係を理解しているかどうかで差がつく問題だと思われる。(オ)は曲線コースの形状から加速の増加量を検討する必要があり、やや難しい問題だった。

問6は化学分野から、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の反応について出題された。例年通り実験内容を読み取る力が求められる。知識問題・計算問題とバランスよく標準的な難易度の問題だった。

問7は生物分野から、微生物の働きを調べる実験の問題が出題された。対照実験についての理解を問う問題でスタンダードな出題だったといえる。

問8は地学分野から、地震に関する問題が出題された。プレート・地震計・P波とS波などに関する典型的な問題で取り組みやすかっただろう。

学習アドバイス

理科は出題される分野が多く、どの分野も満遍なく学習しておくことが必要だ。正確な知識を身につけるとともに、実験観察の頻出テーマについて十分に練習しておきたい。

社会

大問数

大問数は7問、設問数も34問であり昨年と変わらない。

形式や難易度の変化

出題形式・傾向は例年通りであった。大問数は7で、大問7では地理・歴史・公民の総合問題が出題されている。

知識・資料や問題文の読解で難易度の高い出題もあるものの、全体としては比較的解きやすい問題も多く、難易度は昨年よりやや易化した。

大問別分析

問1は例年通り世界地理から出題された。地図や統計などの資料を基にした基本的問題が中心だった。(エ)は統計から共通する言語をを読み取りつつ、歴史的背景を組み合わせて答える問題だった。(オ)時差の問題は計算なしでも正解可能な問題だった。

問2は例年通り日本地理からの出題で、宮城県仙台市の地形図に関する問題だった。(ア)は典型的な雨温図の問題だった。(ウ)は複数の資料を読み取り、産業別就業者の割合と市町村の組み合わせを問う形式だった。(オ)は非営利組織の略称であるNPOを問う公民分野に関連する出題だった。

問3は例年通り近世以前の歴史から出題された。複数の資料が提示されたが年表は登場していない。(イ)は正しい文を選択する根拠が時代ではなく内容の正誤であった。(エ)も同様で時代と内容の両面から生後の判断をする必要があるのが難しく感じられらだろう。(オ)は資料からの読み取り問題だった。

問4は近代以降の歴史に関するレポートを題材にした問題だった。(エ)の年代整序問題は、できごとを年号で暗記するのではなく、ストーリーとして理解しておくことが求められる問題だった。

問5は公民の経済分野から出題された。単純な知識を問う問題が少なく、用語についての正確な理解と読解力が求められるやや難しい問題だった。

問6は公民の政治分野から出題された。問5と同様に、政治制度や条約に関する正確な知識と読解力が求められた。

問7は西アジアに関する地理・歴史・公民の総合問題が出題された。(エ)は昨年同様、4つの資料の内容を読み取り5つの文の正誤を判断する問題で、複数の図表や文章を読みとる必要があった。

学習アドバイス

近年の傾向は資料の読み取り問題が多いことだが、それでもまずは知識を身につけることが重要だ。ただし、用語を知っているだけでは不十分でその用語の意味を自分の言葉で説明できるようになっているのが望ましい。その上で資料読解問題も十分に練習を積んでおきたい。

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この記事を書いた人

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