勉強と部活を両立する方法~充実した勉強のために

部活を頑張りながら良い成績もとりたい。多くの中高生がそう思いながらも、両立することの難しさに悩み、勉強を優先するために部活を辞めるべきか迷っている方もいると思います。
この記事では、部活と勉強の両立する方法を紹介します。前半では部活と勉強の両立について深掘りし、後半では優先順位をつけて両立を実践する方法を紹介します。
1.部活と勉強の両立について
まずは、学生が勉強と部活の両立についてどのような課題を感じているか、調査結果を参照しながら紹介します。
1-1. 部活加入と「学習時間」「成績」はほとんど関連がない
2014年にベネッセが複数の調査・アンケートを用いて行った調査によると、部活動に加入しているか、活動時間が短いか長いかと、「睡眠時間」「学習時間」「成績」にはほとんど関連がないことがわかっています。
一般に、部活をしている生徒はそうでない生徒に比べて自由時間が少ないですから、部活をやっている生徒は限られた時間を優先的に勉強に使っているといえるでしょう。
部活をしていない生徒は、自由時間が長い分勉強時間が長くなるかというと、そうではありません。勉強だけでなく趣味やアルバイトなどにも時間を費やしています。
私が弊塾で経験した限りでも、部活をしているしていないに関わらず「学校からの宿題など強制性の高い課題はやるが、それ以上の勉強は時間があってもやらない。」というのが一般的な中高生だと思います。
1-2. 「疲れて勉強に集中できない」ため両立できていないと感じる学生が多い
2014年に実施されたベネッセの調査では、「勉強と部活を両立できている」と感じている中高一貫生は、成績上位層で63%、下位層で30%という結果も出ています。
この調査では両立に課題をかかえる生徒のうち「疲れて勉強に集中できない」と答えた生徒が「勉強の時間を確保できない」と答えた生徒の約2倍となっています。
これらの結果から、成績下位層の生徒ほど、主に「疲れて勉強に集中できない」という理由で「勉強と部活との両立」ができていないと感じているということがわかります。
これも、私の指導経験から頷けることです。
ほとんどすべての中高生は「勉強しようと思っていたが実際にはできなかった」という経験をしていますが、とりわけ運動部の学生が部活後の疲れによって眠気と闘っている様子を目にすることが多いです。
1-3.両立に悩む生徒が抱える課題
ここまで述べた2点に私の経験をふまえて、以下のような2タイプの生徒像について課題を解決する方法を紹介していきます。
ひとつは真面目で勉強熱心なタイプの生徒です。「両立」という言葉からイメージされる「部活も勉強も高いレベルを保つこと」を理想として部活も勉強も努力するものの、思ったような結果出ずにストレスを抱えています。良くも悪くも頑固なところがあり、やることが多すぎて実行が難しい計画を立てがちです。
もうひとつは、そこまで熱心ではないタイプの生徒です。空いた時間の一部を勉強に充てるべきという意識を持ちつつも、実際には疲れて寝てしまったりスマホを触ったりして過ごしてしまい、勉強できず成績も低空飛行。自信をつける機会が少なく、理想とはかけ離れている自分に自己嫌悪さえ感じていることもあります。
両タイプに共通する重要な課題は「抽象的な理想をもっているものの、具体的にどういう状態になれば満足なのか曖昧になっている」「時間・体力に余裕がない」ということです。
2.両立の悩みを解消する方法
両立の悩みを解消するためには、充実した勉強を継続するしかありません。
「抽象的な理想をもっているものの、具体的にどういう状態になれば満足なのか曖昧になっている」という課題に対しては「なりたい状態」をイメージすること、「時間・体力に余裕がない」という課題に対しては「疲労に負けない習慣をつくる」ことで解決をめざします。
2-1.「なりたい状態」をイメージし勉強時間を充実させる
勉強時間を充実させるために必要なことは、適切な目標をもち、優先順位を決め、注力するものを絞ることです。そのために、自分はどうなれば満足かを考えることからはじめましょう。
勉強について「なりたい状態」をイメージする
勉強がうまくいっていないという認識は、期待される状態に対して現実とのギャップがある場合に生じます。まずは勉強について自分にとっての「なりたい状態」を書き出してみましょう。
- 赤点を取らない
- 平均点前後をとる
- 試験で全科目平均点をこえ、得意3科目は平均+10点以上をとる
- 点数でなく何をできるようになったか
- 授業中寝ない
- 夜でなく朝勉強する
- etc…
数値目標でもそうでなくても構いません。重要なのはあなたがそうなりたい、そうなれると自然と思えていることです。
部活について「なりたい状態」をイメージする
部活についても自分にとっての「なりたい状態」を考えましょう。
- どれくらいの成績を残せば満足か
- 集団で活動することに意義を感じているか
- 活動にフルで参加することにこだわりはあるか
部活と勉強の両立に悩んでいる人の多くは、部活を休んだりやめたりしたくないと思っているでしょう。基本的にはそれで良いと思うのですが、ここで改めて勉強面も含めあなたにとって何が大切なのかを考えてみてください。
実際に部活を休んだりやめたりできるかは、部や顧問の先生の方針も大きく影響すると思います。勉強面でなりたい状態を実現するために、部活を休みたい(辞めたい)と感じた場合は、まずは信頼できる先生に相談してみましょう。
目標と優先順位
目標を決めることも重要です。「何をやらないか」を決められるからです。
「頑張っているんだけどどこか成績がいまいち」な生徒は、多くの科目に全力投球しようとした結果、却って中途半端な結果に終わってしまうということになりがちです。
それよりも、優先順位をつけて段階的に取り組むべきです。多くの科目で良い結果を目指すのはやめて、まずは特定の数科目の向上を目指しましょう。
また、100点分の勉強をして50点を取るのではなく70点分の勉強をして60点をとりましょう。その方が、身につくものが多くなり長期的な学力向上に繋がりますし、何より勉強したときの充実感が増します。
そのために、定期試験の分析をすることをおすすめします。前回の試験問題、学校の先生が配布する予想問題や過去問などから問題量や難易度、出典などを確認しましょう。それらの理解が深まると、何をどれくらい練習をすれば得点できるかを具体的にイメージすることが可能になります。そうして初めて、自分にとって意味のある目標点を決めることができます。
目標が決まったら、力を入れて勉強するところ・できたら勉強するところ・勉強しないところと優先順位をつけてみてください。
勉強のイメージを改善する
「あらゆる勉強は苦役である」という信念をどこかで植え付けられてしまったことで、無意識的に効率の悪い勉強方法を選んでしまっている生徒を時々見かけます。
あらゆる科目を「ちゃんと」やろうとした結果、効率の悪い勉強方法になってしまい、却ってモチベーションの低下に繋がってしまうというともいうことができます。
例えば、単語を暗記する際に必ず10回ずつ書こうとする、手が動かないのに解答を一切見ずに30分経過してしまう、などです。先ほど述べた、定期テストを全範囲勉強しようとすることも当てはまるでしょう。
「勉強とは大変なものだ=辛くなければ勉強ではない」という考え方は根強いものです。確かに、勉強にはある種の辛さがついてまわります。しかし、勉強を続けていくためにはそうでない面(勉強していて面白さや喜びを感じる瞬間)正のフィードバックを受ける必要があります。
2-2.疲労に負けない習慣をつくる
長期的に学力を伸ばすのであれば、勉強は習慣的・定期的に行わなければなりません。疲れによって勉強しなかったというようなことを避け、安定して勉強を続けることが重要です。
眠気と闘わない
眠気と闘わないことは効率の良い勉強をするための必要条件です。
時には学校の授業を眠い目をこすりながら頑張ることもあると思います。その場ではしょうがないですが、もし恒常的に授業中に眠くなってしまうようであれば、生活習慣を見直すべきです。
また、自習中に眠気に負けじと頑張って勉強するのは意味がありません。形だけの勉強になってしまい効果が薄くなってしまうからです。
眠くなってしまったときに眠気に抗うのはやめて、散歩をする、15分程度の仮眠をとる、その日は寝るなどのアクションを取ることを強くおすすめします。
部活から帰ってきて勉強することが体力的に難しいようであれば、夜は早めに寝て朝の時間を活用するという方法も一つの手だと思います。ただし、睡眠時間が不足したままではどこかで綻びが生じる可能性があるということに留意しておきましょう。
勉強を始められる環境に身を置く
多くの中高生は「勉強しなきゃ」と思いつつも、実際に勉強を始めることに失敗しています。勉強をスムーズに始めるためには、自分なりの勉強できる環境をつくり、自然と勉強できるようルーティーン化することが重要です。
例えば以下のようなことをやってみてください。
- 勉強するための場所に移動する
- 時間を決めて誰かと約束をする
- 小さなタスクを義務化する
- やることを紙に書いて見える状態にしておく
- スマホを特定の場所にしまう
- 特定の音楽をかけるなど自分なりのトリガーを持つ
- etc…
コントロール可能な時間をつくる
部活のスケジュールが不透明で、勉強のための時間もそれに左右されがちというケースも存在します。とくに運動部はその傾向がやや強いです。
部活が延長になったため勉強できなかることが頻発するのであれば、その時間をあてにしてはいけません。自分だけでコントロール可能な時間だけで計画を立てることをおすすめします。
習い事での時間変更が難しい場合は、朝や休日など自分だけでコントロール可能な時間を有効につかうのがいいでしょう。
3.保護者の支援について
保護者にとって、子どもで学習への取り組みや成績への期待が異なる、子どもの発言と行動に大きな差があると感じる、そもそも子どもが何を考えているのかわからないということは、しばしば悩みの種になっているかと思います。
実際、思春期の子どもは勉強に関して親と話すことを拒みがちです。体力精神力の未熟さもあり、失敗を重ねているという意識があると余計に話しづらくなるでしょう。とはいえ、明言しないだけで勉強面に対する不安や心配を抱えていることも多いです。
そういうときは第3者を間に挟むことで状況が改善することがあります。
弊塾でも、私立中高一貫校で勉強に課題を抱えている保護者の方から「親が言っても聞く耳を持たないから先生から伝えて欲しい。」といった声をきっかけに、弊塾が間に入って保護者と生徒の意思疎通をはかることで、状況が改善した例があります。
おわりに
部活と勉強の両立できているかは、客観的な基準だけで判断できるものではなく、主観的な判断を伴います。だからこそ、自分がどうなりたいか、自分はどうなれば充実していると感じるかを考え、それを一つずつ実現していくことが有効なのです。
私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。
受験をはじめとした勉強において、固定的なカリキュラムや決まった勉強方法に生徒を適応させることに意識が向きがちです。
私たちはそれらを大切にすると同時に「生徒」を中心とした学習方法を提案し実践することが、生徒が勉強を楽しむことに繋がり、学力の向上につながると考えています。
「自分に合ったやり方で勉強したい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。