部活が忙しくて成績が下がったと感じるとき
中学生になると部活が始まります。部活は強制参加ではありませんが、どちらかというと何らかの部活に加入することがメジャーな選択肢となるでしょう。ベネッセが中学生約3,000人を対象に行った2017年のアンケートでは、84.8%が何らかの部活に加入していると答えています。
部活をやるということは一定の時間および体力・気力を費やすことを意味します。保護者の方としては、そうした負担を負いつつも勉強面である程度の成績を維持してほしいと思うでしょう。お子さんとしても、成績が振るわなかったとき、部活を継続しつつ成績も回復する方法を探るのではないかと思います。
この記事では部活と勉強の両立に悩む生徒・保護者に向けて、部活をやりながら成績を維持する方法を伝えていきたいと思います。
勉強と部活の両立が問題になるのはいつか
「勉強と部活の両立」が問題になるのは、ほとんどの場合「成績がいまいち思わしくないが、部活をやっているため時間や体力の余裕がない」状況です。勉強の成績がよくて部活がいまいちということが両立の問題にされる場面はあまり思い浮かびません。
生徒と保護者の悩みのずれ
多くの場合、生徒・保護者のどちらも悩んではいるものの、その悩み方に偏りが出るように思います。
私の経験では、悩みの主体になるのは保護者の方という印象ですが、そんな場合でも生徒の方がまったく意に介していないかというと、必ずしもそうではありません。生徒も生徒なりに「何とかしなければ」と思っていることが多いです。
しかし、生徒にとって部活はテストの結果次第でいつでも自由に活動参加を調整できるものではありません。そのため、テスト結果等が悪かったとしても行動の変化が遅れ、親の視点から意識の変化が感じられないこともしばしばあります。
期待の差
また、学業状況に対する期待の違いから悩みが発生することも多々あります。保護者としてはある程度良い成績を維持してほしい(少なくとも努力してほしい)が、生徒を見ていると現状にそれほど不満や危機感をもっていないように思える、というのが代表的な例でしょうか。
解決策として全般的に言えることは、成績回復のためには、集中できる勉強時間を今より多く確保することがもっとも重要だということです。そして、そのためにとるアクションの中から、実際に可能なものを選んで行動していくことが大切になります。
部活を休む・辞める前にすべきこと
勉強時間を今より多く確保しようとしたとき、最大の問題となるのが「部活に関わる時間をどうするか」ということでしょう。「部活と勉強の両立」の悩みはすべてここに帰着するのかもしれません。
いっそ「学業成績が一定水準を下回る学生は部活動を控えるべし」というルールがあれば、安心するかもしれません。実際、筆者は高校時代、ある定期試験で部員の平均点があまりに低かったために、顧問に活動停止令を出されたことがあります。
とはいえ、中学生でそのようなルールがあるところは多くはないでしょう。
保護者の悩みとしては「子どもの成績が下がり、勉強時間を増やす必要があると考えているが、部活による時間的・体力精神力的負担は多く、現実的でないように思える。子どもは部活にそれなりに真面目に取り組んでおり、できれば続けて欲しい。どうしたものか。」といったところでしょうか。
理想の状態を考えるための支援
問題を解決するために必要なのは、学業に関する理想や許容範囲を具体化し、そのための勉強方法や時間の捻出方法などを子ども本人が主体的に考えられるようになることです。
保護者はまずは、お子さんが「自分の理想の状態はどんなものか」を考えるための支援をしてみてください。それができたら、具体的に勉強方法や時間の捻出方法などを検討し、必要に応じて部活を早退・休部するのもよいでしょう。
とはいえ、思春期の子どもは勉強に関して親と話すことを拒みがちです。体力精神力の未熟さもあり、失敗を重ねているという意識があると余計に話しづらくなるでしょう。しかし、明言しないだけで勉強面に対する不安や心配を抱えていることも多いです。
このような場合は、第三者を通じて相談することで、良い結果につながることがあります。
特進クラスになって授業難易度が上がった中学生の例
私たちの教室の事例を紹介します。私立中高一貫校に通う中学校3年生の事例です。
夏休み前の保護者面談で「特進クラスに上がって内容が難しくなったため、特定科目のテスト結果が大きく下がってしまった。でも家ではダラダラして全く勉強しないし、私からいうと喧嘩になってしまう。クラス維持のために勉強時間を増やしてもらいたい。」とご相談いただきました。
3年生からクラスが上がり、定期試験の問題が数段難しくなったことは担当講師も感じているところでした。そこで我々から生徒に、現状の共有・成績に対しての考えをヒアリングを改めて行い、勉強時間を増やす相談を行いました。
家では勉強するそぶりもなかったというこの生徒ですが、いざ相談してみると「実は自分もやった方がいいかなと思っていた」ということで比較的すんなりと提案を受け入れてくれ、教室に来る回数を週3→週5に増やすことになりました。
しかも「今の自分には問題を解くことが必要だから(授業を受けるのでなく)自習を増やしたい」ということまで考えていました。
保護者から直接お子さんに伝えようとするとうまくいかない場合も、第三者から伝えてみると普段は口にしないが心の奥では考えていたことが浮かび上がり、良い結果をもたらすことがあります。同じような悩みを抱える保護者の方がいれば、ぜひ仲介役として頼っていただければと思います。
実際に勉強する際に意識すべきこと
上の事例は「保護者から見て何かアクションを起こす必要がある」状況から「生徒が実際に勉強する」までのフェーズに関わるものです。
最終的に両立の悩みを解消するためには、実際に充実した勉強を継続するしかありません。時間・体力が限られた中で勉強するときは、まず以下の2つのことを意識すると良いでしょう。
「なりたい状態」をイメージし勉強時間を充実させる
勉強時間を充実させるために必要なことは、適切な目標をもち注力するものを絞ることです。そのためにはまず、自分はどうなれば満足かを具体的に考え、そのために必要な工夫をすることです。
疲労に負けない習慣をつくる
長期的に学力を伸ばすのであれば、勉強は習慣的・定期的に行わなければなりません。疲れによって勉強しなかったというようなことを避け、安定して勉強を続けることが重要です。
より詳しい勉強方法は「勉強と部活を両立する方法」を参照ください。
まとめ
部活をやっていて勉強の状況が芳しくない場合は、「勉強と部活の両立」と考えず、「自分の理想の状態はどんなものか」「どうしたら理想の状態に近づけるか」を考えましょう。成績の向上を目的とする場合、最終的には勉強の量または質(やり方)の問題に行き着くはずです。
その過程で、生徒(お子さん)に交渉するときに、「親の私からいうとそもそもコミュニケーションが成り立たない。第三者から言ってもらいたい」という場合は、ぜひとも塾の講師陣などに相談してみてください。
私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。
受験をはじめとした勉強において、固定的なカリキュラムや決まった勉強方法に生徒を適応させることに意識が向きがちです。
私たちはそれらを大切にすると同時に「生徒」を中心とした学習方法を提案し実践することが、生徒が勉強を楽しむことに繋がり、学力の向上につながると考えています。
「自分に合ったやり方で勉強したい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。