中高一貫生が「落ちこぼれ」状態から抜け出すために必要なこと
中高一貫校に通うお子さんの成績が低迷していてこのままでは心配だ。このような悩みを抱える生徒・保護者は少なくありません。
この記事では成績が最下位近くのいわゆる「落ちこぼれ」状態の中高一貫生と保護者向けに、その原因や対策について書いていきます。
「落ちこぼれ」状態とは
「落ちこぼれ」は一般に、ぼんやりと成績最下層に位置する生徒をイメージして使われています。しかし、この記事では「落ちこぼれ」を「成績が最下位層に定着していて、勉強する意思がくじかれている状態」とします。その具体的な特徴には以下のようなものがあります。
- 特定の科目の成績が一年以上続けて下位~10%
- 注意して聞いていても学校の授業内容がわからない
- 勉強したところで結果は出ないという諦念や無力感を持っている
- 定期試験の勉強をしようとしても実行できない
試験で大きな失敗をしてしまうことも、一度や二度なら誰にでもあることでしょう。「落ちこぼれ」状態の生徒は、しかし、それが完全に定着し「ちょっとやそっと勉強したくらいでは結果を出すことが難しい」と感じているところに特徴があります。
「落ちこぼれ」状態の問題点
「落ちこぼれ」状態の生徒の特徴は勉強をサボっている(やればできるがやらない)というよりは、勉強することが困難になっている(やろうとしても少ししかできない)ということです。
前者は、何かしらきっかけがあれば勉強時間を増やし、成績を伸ばすことができるケースが多いです。一方後者は、勉強して学力をつけることについての自己効力感が乏しく「やっても無駄」と思っているゆえに、なかなか勉強時間を増やすことができず、さらに状況が悪化してしまうことが問題点です。
「落ちこぼれ」状態にならないために
では「落ちこぼれ」状態を回避するために何に気をつけるべきでしょうか。
成績が悪化する原因は常に勉強量が不足していることです。勉強が不足する理由はいくつかありますが、ここでは注意しておきたいことを3つ紹介します。
1.勉強のやり方は勉強しながら考える
勉強する上で「やり方」は重要です。特に基礎的な勉強方法(丸つけと見直しをする等)は必ず身につけておくべきです。
とはいえ「これが本当に正しいやり方なんだろうか?他にもっとより良いやり方があるんじゃないか。」といったことを考え過ぎると、勉強内容そのものに意識が向かなくなり、かえって勉強を妨げてしまいやすくなります。
良い勉強のやり方というのは、実際に勉強する経験を積んだ後に初めて分かるものです。勉強する前に「効率の良い勉強法」を探すのは必要最低限にしておきましょう。
同様に「自分に合った勉強のやり方がわからない」という意識が過剰な場合もむしろ勉強を妨げてしまうことがあります。
成績が悪い原因は勉強量の不足です。勉強のやり方が悪いからではありません。「効率の良い勉強方法」を探す暇があったらまずは実際に勉強しましょう。
さらに、勉強した後に自身の学習を省みる機会をきちんとつくるようにして下さい。そうすることで少しずつ学習効率が上がっていきます。
2.勉強をただの苦行だとみなさない
勉強には苦しい面がつきものです。「学問に王道なし」というように何かを習得するには一定の訓練が必要です。とはいえ、勉強は苦しいことばかりではなく分かる楽しさやできる喜びを感じる部分もあります。
一部の生徒は「勉強は苦しいもの」という認識を強く持ちすぎているように思います。勉強の苦しい部分だけに注目していると、正しく報酬を得ることができずに勉強を続けていくことが困難になってしまいます。
最悪の場合、勉強することが完全に不可能になり、大学受験そのものができなくなってしまう可能性があります。
3.「忙しいけど退屈している」状態は注意が必要
成績が低迷しているお子さんが、部活や趣味など勉強以外の活動に熱中していることもあると思います。
では、成績向上のためにその活動をやめた方がいいかというと、そうではない場合の方が多いでしょう。
その活動に意欲的ならば、活動を続けるために死守すべき成績の目標を決めるのが良いでしょう。限られた時間の中で勉強と活動のバランスを考えたり、やらなくても良い活動を断捨離したりと工夫する経験を積むことができます。
その際に、目標を高く(多く)設定して、あれもこれもとやるべきことを抱えこんでしまい、睡眠時間を削ったり適切な休息を取れなくなったりすることがないように気をつけてください。特に真面目で規範意識をもった生徒は陥りがちです。
逆に、その活動に義務感を感じていたり、退屈さを埋め合わせるように没頭していると感じられた場合はその活動がお子さんにとってどういう存在かを一度見直してみると良いでしょう。
東大教授で哲学者の國分功一郎さんの表現を借りると、最も注意しておくべきことは「何かをやろうとしているけれども心ここにあらず。」「忙しく活動しているけれども充足感が得られない。」のような状態を避けることです。部活・趣味・遊び・勉強その他活動は何であれ、何かに熱心に取り組んでいる状態より素晴らしいものはありません。
「落ちこぼれ」状態から抜け出すために
先に「落ちこぼれ」状態とは「勉強することが困難になっている(やろうとしても少ししかできない)」だと書きました。ではここから抜け出し「勉強することができる状態」になるにはどうしたら良いのでしょう。
1.勉強の充実感を味わう
まず最も重要なのは実際に勉強する中で、学習内容に対する面白み、何かがわかるようになった喜び、一定の時間勉強をしたことによる満足感や疲労感などを味わい、勉強に関する自己効力感を高めることです。
勉強内容は、生徒が自分一人でできること〜誰かの助けを借りたらできるようになることを目安に、ちょうど良い量と難易度にする必要があります。学校で学習している内容が難しい場合は、テスト範囲と直接関係ないところを学習しも構いません。
2.小さい範囲で成果を出す
「落ちこぼれ」状態から成績を伸ばすには、小さい範囲で成果を出すことが重要です。例えば「連立方程式の計算だったらできる」や「この不定詞の文法問題はまあまあ自信がある」などの状態を目指しましょう。
決して試験範囲の全体を勉強しようなどと考えてはいけません。定期試験は満遍なく出題されるので必ずやった問題が出ます。仮に、勉強した内容が試験に出なかったとしても「その内容が身についたからok」と考えましょう。
勉強する科目・範囲は何でも構いません。英語数学は最終的に大学受験で役に立つ、国語は他の生徒があまり対策をとらないため相対的に結果を出しやすい、理科社会は既習単元との繋がりが薄いためこれまでの内容がわからなくても勉強しやすいという特徴があります。
塾は必要か
必要なケースが多いです。なぜなら前段で書いた内容を一人で実行するのは難しいからです。もしお子さんが「落ちこぼれ」状態になっていると感じたら、一度お子さんと話してみて、支援が必要かどうか検討してみると良いでしょう。
私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。
受験をはじめとした勉強において、固定的なカリキュラムや決まった勉強方法に生徒を適応させることに意識が向きがちです。
私たちはそれらを大切にすると同時に「生徒」を中心とした学習方法を提案し実践することが、生徒が勉強を楽しむことに繋がり、学力の向上につながると考えています。
「自分に合ったやり方で勉強したい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。