教材・本の紹介

物理重要問題集の特徴と使い方

物理重要問題集とは

物理重要問題集は大学受験における物理・物理基礎の定番の問題集です。学校で配布されるケースも多く、たくさんの受験生に使用されています。

中堅〜難関大学の過去問から、頻出の問題が網羅的に収録されており、難関私立大学や国公立大学を目指す受験生におすすめの問題集です。

チャート式などで有名な数研出版から出版されています。

受験生必携のバイブル
本書は,長年,大学入試のためのバイブルとして,多くの受験生にご利用いただいて参りました。物理の受験対策には,必須の問題集です。
数研出版ホームページより

物理重要問題集の特徴

物理重要問題集の特徴をざっくりまとめると以下のようになります。

  • 大学入試過去問から厳選された、頻出で重要な問題。
  • 取り外しできる150ページ超の詳しい別冊解答。
  • 難関大志望者の物理問題集として定番中の定番。

物理重要問題集の基本情報

教材名
実戦物理重要問題集-物理基礎・物理
著者
数研出版編集部
出版社
数研出版
サイズ
A4判
ページ数
問題集:152ページ・別冊解答編:168ページ・別冊付録:24ページ
価格
税込990円(本体価格:900円)
販売
市販教材

物理重要問題集の構成

問題集本体、別冊解答、小冊子「入試直前の最終確認」の3つに分かれています。

問題集本体

出題テーマごとに分かれた20章と考察問題(思考力・判断力・表現力を図る問題)1章の計21章で構成されています。問題はA問題とB問題の2種類に分かれており、150問ほど収録されています。毎年新しいバージョンに改訂されており、数問ずつ収録されている問題が入れ替わっています。

A問題

大学受験における標準的な頻出問題です。A問題を解くだけでも網羅性のある学習が可能です。あくまで大学受験レベルの標準なので、受験勉強を始めた人がいきなり解きはじめるには難しいです。

A問題は物理重要問題集の9割近く(140問ほど)を占めています。より重要な問題だけ解きたいという人は「必解」マークのついた問題(80問ほど)だけを解くという方法もあります。

B問題

より難易度が高く、応用力をつけるための問題となっています。B問題は15題ほどと問題数が少なく、テーマが複合的な応用問題なので網羅的な学習をするという観点では優先順位が低くなります。各単元のA問題ができていればそのまま解き、A問題がまだできていなければ2週目以降で解くと良いでしょう。

「要項」

各章のはじめの1ページは「要項」という重要事項や公式などをまとめたページになっています。コンパクトにまとめられているので、公式などを確認するには便利な反面、単元の内容を理解するには情報量が少なく、参考書としての役割は期待できません。

別冊解答

別冊解答は168ページと問題集本体を超えるボリュームとなっています。

模範解答としての詳細な解答・図や絵を使った説明・関連事項を補う注など、充実した内容となっています。ただし、どのように考えてその解答が導き出されるかについては、さほど詳しい説明が載っていないため、解説の読解にはある程度の物理の知識があり模範解答の意図を読み取る読解力が必要です。

小冊子「入試直前の最終確認」

タイトルは「入試直前の最終確認」ですが、公式だけでなく、問題を解くときの普遍的な考え方がコンパクトにまとめられているのが特徴です。物理は原則を理解することでほとんどすべての問題を解くことが可能なため、普段の学習からそばに置いておくと良いでしょう。

物理重要問題集の難易度

数研出版のサイトでは「共通テスト(センター試験)~難関大入試」とされています。

国公立大学二次試験や難関理系私大の対策にはちょうど良い難易度となっています。共通テスト(センター試験)対策にも十分な難易度ですから、国立二次・私大対策をすることがそのまま共通テスト(センター試験)にもなります。

ただし、国立二次・私大対策で物理を選択しておらず、共通テスト(センター試験)のみの対策に使うには、難易度が高すぎます。また、出典は国公立大学二次試験や私大であることが多くセンター試験からであることは少ないため、共通テスト(センター試験)のみの対策にはおすすめできません。

どんな人におすすめか?

国立大の二次対策や難関私立大の対策をしたい人

既に述べた通り、問題の難易度・問題形式から、国公立大学を志望している人や難関私立大学を志望している人におすすめです。

セミナー物理などの基礎的な問題集を一通り終えている人

セミナー物理をはじめとする、基礎的なテキストを一通り終え、いよいよ入試対策を始める人におすすめです。

一冊で入試対策をしてしまいたい人

物理重要問題集は入試問題の標準〜応用までの典型問題が集まっているため、この一冊をやりきるだけで、難関大までの入試対策を行うことができます。

物理重要問題集の使い方

物理重要問題集にはA問題(標準問題)とB問題(応用問題)があり、問題集全体の約9割がA問題、残りの1割がB問題となっています。B問題をやるかどうかは、学習中の単元のA問題が解けていればやる、そうでなければ2週目以降にするをおすすめします。

次に具体的な学習ステップを紹介します。

ステップ1.問題を解く。

まずは問題を解きましょう。

解く時に注意することは、思考が前に進まなくなったと感じたら、解くのは一旦諦めて解説を読むということです。なぜなら、問題集を使う段階における勉強の目的は、「問題だけをみて自力で解答をつくる力をつける」だからです。ですから、さっさと諦めて、解説を読んで理解し、解答を写したり、解き直す機会を増やしましょう。

ステップ2.丸付けをして、自力で解けたかどうか記録をつける。

1問解いたらすぐに丸付けすることをおすすめします。丸付けは厳格にしてください。「ちょっとケアレスミスしたけど、考え方はあってたから丸でいいや。」というのはNGです。

丸付けを終えたら、各問題の問題番号のところに解いた日付・自力で解けたかどうかを記録します。

ステップ3.解説を読んで理解する。

間違えた問題・正解したけれども理解が曖昧な問題の解説を読みます。わからないところや知らなかったことは参考書等で確認します。

ステップ4.すぐに解き直す。

解説を読んで理解したら、すぐに解き直してみましょう。すぐに解き直して正解できないのであれば、試験本番では絶対に正解できません。

解説を読んだ直後の解き直しで正解できなければ、一度解答を写してみるのがいいかもしれません。

ステップ5.数日したら解き直す。これを繰り返す。

数日したらもう一度解き直します。ひとつの単元を解き終わったところですぐに最初から解き直す。あるいは次の単元まで一通り解いたら前の単元に戻ってみるくらいでしょうか。

全ての問題を解き直すか、間違えた問題だけ解き直すかは、正答率や残りの時間を参考にして決めてください。

ステップ6.数週間したら間違えたことのある問題を解き直す。

数週間したら間違えたことのある問題を解き直します。しばらく時間が経ってからでも正解できていれば定着していることが確かになります。

物理重要問題集で勉強するときの注意点

解説に過度な期待はできない

別冊解答は、模範解答としての詳細な解答・図を使った説明・関連事項を補う注など、充実した内容となっています。ただし、問題を解く思考プロセスについてはあまり記述がありません。

解説の足りないところは自力で補う

思考プロセスについての解説が少ないため、自分で解釈するか、別の参考書や問題集を使って補う必要があります。

物理重要問題集と併用したい参考書や問題集

ここまで何回か述べてきた通り、解説を読んでいるときに参照できる参考書を持っておき、必要に応じて原理原則を確認するのがおすすめです。

  • 物理のエッセンス
  • 漆原晃の物理基礎・物理が面白いほどわかる本

物理重要問題集の前に取り組むべき問題集

A問題を解いていて難しく感じたり、解説を読んでいて意味がわからないことが多い場合は、基礎問題集をもう一度解いたり、解法プロセスを丁寧を習得するための問題集を解くことがおすすめです。

  • セミナー物理
  • リードα物理基礎・物理
  • 物理入門問題精講
  • 物理基礎問題精講
  • 良問の風

物理重要問題集の代わりに使える問題集

重要問題集と同レベルの問題を解きたいのだけれども、重問はどうもしっくりこないという場合は以下のような問題集を試してみることをおすすめします。

  • 物理標準問題精講

また、難易度が高い問題だけを練習したい場合は以下のような問題集もあります。

  • 名門の森
  • 難問題の系統とその解き方

物理重要問題集の後に取り組むべき問題集

重要問題集が解き終わったら志望校別の対策をしていきましょう。おなじみ赤本の他に、大学別の問題集・模試の過去問集などがおすすめです。

  • 赤本
  • 〇〇大の物理

私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。

一般的な学習塾では、予め決まったカリキュラムに生徒を適応させることが重視されています。

私たちにとってもカリキュラムは大切なものですが、勉強を通じて生徒自身が「どう勉強したいか」考えて行動できるようになることが、勉強を楽しむことに繋がり、長期的な学力の向上に貢献すると考えています。

「勉強する力をつけたい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。

この記事を書いた人

坂本 諒

ティーシャル代表。数学、物理、化学などを担当。

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