慶應大学商学部 日本史の対策-出題傾向と勉強方法

慶應義塾大学商学部一般入試の日本史は全科目の配点400点中100点を占めます。日本史で安定して高得点を取ることは合格の必要条件といえるでしょう。この記事では、慶應商学部日本史の出題傾向・難易度などを分析し合格するための勉強方法をお伝えします。

基本情報

慶應大学商学部の一般入試ではA方式B方式ともに地理歴史の科目として[日本史・世界史・地理]からひとつを選択します。出願時にあらかじめ選択する必要があり、出願手続き後の変更は認められていません。

配点・合格最低点・受験者平均点

日本史の配点は100点です。
商学部はA方式(英語200・地歴100・数学100)B方式(英語200・地歴100・論文テスト100)の2種類の方式があり、日本史はいずれも400点満点中100点(25%)を占めます。

合否は合計点で決まります。
2025年度の合格最低点はA方式が246点(61%)、B方式が281点(70%)です。

地理歴史の受験者平均点は64.52点です。
※日本史のみの平均点は公表なし

参照:慶應義塾大学2025年度一般選抜得点状況

問題構成と出題内容

大問数は3題です。ひとつの大問ではA4用紙1〜1.5枚ほどの文章が与えらえれ、空欄に当てはまる語句を選択する問題がおよそ20問出題されます。本文に関連する語句の記述・説明など記述式の問題も数問出題されます。

試験時間は60分です。設問数が多く時間の余裕は少ないです。

出題範囲とテーマ

どの時代からも出題されていますが、共通テスト等のように満遍なく出題されるわけではなく、近世以降が頻出なのが特徴です。直近10年間中9年で、大問2題以上が近世・近代・戦後から出題されています。

慶應義塾大学商学部日本史の出題テーマ
年度 大問1 大問2 大問3
2025 原始~近代における東アジアと日本社会の関係 江戸時代の流通と経済 オリンピックを題材にした近現代史
2024 原始〜近世の文化の伝播・拡大 江戸〜明治時代の学問・思想・技術 戦中・戦後の政治とエネルギー問題
2023 鎌倉時代の仏教 古代〜近世の貨幣史 戦後〜現代の日米関係
2022 古代〜現代の文化・芸能史 江戸時代の儒学 明治〜昭和初期の政治史
2021 平安〜室町時代の政治史 近世〜現代の日蘭外交史 近現代の政治史
2020 弥生〜奈良時代の歴史資料 江戸時代の政治・外交史 近代の産業・経済史
2019 古代の仏教史 中世の政治・経済・社会史 近代の交通史
2018 平安〜室町時代の日中関係史 江戸時代の政治・経済・文化史 昭和〜現代の食糧史
2017 弥生〜江戸時代の農業史 明治時代の外交史 戦後の経済・社会史
2016 平安時代の政治史 江戸時代後期の文化史 幕末・明治時代の外交史

文章のテーマは社会・産業・経済史に関連するものが目立ちます。例えば、2025年大問2の「江戸時代の流通と経済」、2024年大問3の「戦中・戦後の政治とエネルギー問題」、2023年大問2の「古代〜近世の貨幣史」など毎年出題されています。

設問で問われる事項も社会・経済に関するものが多めで、社会・経済と政治がどう関連しているのかについての知識・理解度が問われているように感じます。商学部らしい出題といえるでしょう。

また、文化史も頻出テーマです。2024年大問2の「江戸〜明治時代の学問・思想・技術」、2023年大問1の「鎌倉時代の仏教」、2022年大問1「古代〜現代の文化・芸能史」などこちらも毎年のように出題されています。

その他、政治・外交史はもちろん、オリンピック・エネルギー・農業史・交通史・食糧史など幅広いテーマが出題されています。

設問

大問3題とも本文の空欄に入る語句を語群から選ぶ問題が20問ずつ出題されます。

語群の選択肢は数が多く、人名・制度名・地名・年号などがバラバラに配置されているため、語群を探すのに手間がかかります。

例えば、2025年の大問1は65択、大問2は60択、大問3は70択となっています。2025年の大問1を例に、より詳しくみていきましょう。

2025年大問1の文章テーマは「東アジアと日本社会の関係」で1〜19世紀を横断した内容です。

問は3種類あり、空欄に入る語句を語群から選択する問題が20問、空欄に入る語句を記述する問題が5問、下線部に関連する語句を記述する問題が2問出題されています。

空欄補充問題は選択肢がなくても答えられる準備を

空欄に入る語句を選択する問題の語群には、下のように人物・出来事の名称・年号など様々な歴史用語が65語並びます。

慶應義塾大学商学部日本史2025年大問1問1の語群

選択肢の並び順は基本的にランダムです。一部[1.足利義量・2.足利義教・3.足利義持]のように関連語句が続くこともありますが、その場合も順番が時系列ではないため注意が必要です。マークシート式を採用し採点の効率を上げつつ、できるだけ運の要素を排除したいという出題者側の意図が窺えます。

テンポよく解答するために、選択肢がなくても空欄に入る語句がわかる状態を目指しましょう。

選択肢をグループ化し実質3~5択問題にする

実際に解くときは、関連する選択肢をグループ化することで探す手間を軽減することが可能です。以下は実際にグループ化したものです。

慶應義塾大学商学部日本史2025年問1の語群分類
分類 語群
足利将軍 11.足利義量・12.足利義教・13.足利義持
天皇 17.宇多・29.皇極・33.光孝・34.孝徳・36.斉明・42.舒明・49.醍醐・53.天智・71.村上
奈良時代の人物 51.橘諸兄・64.藤原仲麻呂・65.藤原不比等・75.和気清麻呂
遣隋使・遣唐使 23.吉備真備・47.蘇因高・50.高向玄理・69.南淵請安・70.旻
東アジアの皇帝・王 16.安帝・18.永楽帝・35.光武帝・41.朱元璋・66.武帝・74.李成桂
東アジアから来日した人物 22.鑑真・61.裴世清
〇〇の乱 24.享徳・37.三別抄・38.三補・60.寧波
事件 28.江華島事件・31.甲午農民戦争・32.甲申事変・43.壬午軍乱・55.東学の乱
条約 52.天津条約・58.日華平和条約・59.日清修好条規
戸籍 27.庚寅年籍・30.庚午年籍・44.壬申戸籍
法・制度 21.冠位十二階・26.憲法十七条・39.氏姓制度
氏姓 20.西文・62.秦・63.藤原・72.東漢
称号 15.朝臣・45.宿禰・68.真人
14.飛鳥浄御原・19.近江大津・57.難波長柄豊碕
25.建長・48.大覚・54.天龍・56.東福
メディア 40.時事新報・46.西洋事情・67.文明論の概略・73.万朝報

グループの大半は3~5の語句のまとまりで、基本的に各グループに一つの正解が含まれています。例外的に天皇名は9語句、皇帝・王名は6語句、事件名は5語句中それぞれ正解が2つ入っています。

このようにグループ化することで65択の問題であっても、実質典型的な選択問題と同じように解くことができます。

語句記述問題

本文に関連する語句の記述問題が毎年5題ほど出題されます。解答は漢字で記述する必要があります。

2025年の大問1問2では、以下のような穴埋め記述問題が出題されています。

慶應義塾大学商学部日本史2025年大問1問2の問題文

正解は(a)部曲・(b)犬上御田鍬・(c)奝然・(d)唐人屋敷・(e)尚泰で、すべて教科書本文に載っている用語です。部曲・唐人屋敷・尚泰は太字です。奝然のみ索引に記載がなく、比較的難しい用語といえるでしょう。

2025年の大問1問3では以下のような記述問題が出題されています。

慶應義塾大学商学部日本史2025年大問1問3の問題文

正解は(1)七支刀・(2)鎮西探題です。七支刀は教科書の記載はありませんが、資料集には写真付きで載っている用語です。鎮西探題は教科書の本文に太字で載っています。

論述問題

例年、短文記述問題が数問出題されています。(2024年を除く)

本文や資料を読んだうえで「どのようなものか」を答えさせる設問が多いことが特徴です。2012年以前は100字前後でしたが、2013年以降は20~30字程度と短くなっています。

2025年大問2問3では以下のような論述問題が出題されています。

慶應義塾大学商学部日本史2025年大問2問3の問題文

(ア)は以下の文章(株仲間解散令)の「不正の趣に相聞候に付」の部分です。

(69)(70)積問屋, (77)(78)問屋共, その方共儀是迄年年金壱万弐百両(79)(80)上納致し来り候t処, 問屋共(ア)不正の趣に相聞候に付, 以来上納に及ばず候。尤も向後仲間株札は勿論, 此外共都て問屋仲間并に組合抔と唱候儀は, 相成らず候。
慶應義塾大学商学部日本史2025年大問2の本文

正解例は「物流を独占し価格を引き上げることで不当な利益を得ること」(27字)になります。得点するためには、法令が出された背景および趣旨を理解し、コンパクトにまとめる力をつける必要があります。

難易度

基本的な用語からやや細かい知識まで問われますが、ほとんどが教科書に載っている事項です。例えば、2025年の問題で正解となった事項の95%は山川の『詳説日本史』に載っています。基本的な用語をもれなく理解しておくことが非常に重要です。

基本戦略と目標点

先にも述べたように、B方式の配点は、英語200点・日本史(地歴)100点・論文テスト100点の計400点です。また、合格最低点は280~300点で得点率は70~75%が目安です。

3科目で300点を目標にした場合の科目ごとの得点配分例をみてみましょう。英語・論文テストの得点率を、得意なら90%、得意でも苦手でもなければ75%、苦手なら60%として、日本史の目標点を算出しています。

慶應義塾大学商学部B方式論文テストにおいて合計300点を目標にした場合の科目ごとの得点配分例
得意苦手 英語
(配点300)
論文テスト
(配点100)
日本史
(配点100)
合計
得意でも苦手でもない 150
(75%)
75
(75%)
75
(75%)
300
英語・論文テストともに得意 180
(90%)
90
(90%)
30
(30%)
300
英語が得意 180
(90%)
75
(75%)
45
(45%)
300
論文テストが得意 150
(75%)
90
(90%)
60
(30%)
300
論文テストが苦手 150
(75%)
60
(60%)
90
(90%)
300
英語が苦手 120
(60%)
75
(75%)
100
(100%)
295

当然ながら英語と論文テストの得点によって日本史の目標点は大きく変わります。

例えば、英語が150点(得点率75%)としたときに、論文テストが90点の場合は、日本史は30点でも300点に届きます。逆に、論文テストが60点で300点に届かせるには日本史で90点をとる必要があります。英語次第ではありますが、日本史は最低限75~80%、できれば90%をとりたいところです。

地歴は得点が安定しやすく、他大学の入試でも使うケースが多いことなどを踏まえると、基本的な方針は以下のようになります。

日本史は90%を安定的に得点できることを目標にしよう。そのために、基本的な知識を満遍なく習得し、漢字記述と用語説明ができるようになろう。10%は正解できなくても良いのだから、細かい知識を覚えることにこだわりすぎないように気をつけよう。

勉強法・教材

日本史で安定して高得点を取れるようになるまでのプロセスは、大きく考えて以下のようになります。

  • 通史全体の流れを理解する
  • 流れの中で基本的な知識を覚える
  • 実践的な問題で知識の理解・定着度を確かめる
  • 足りない知識を補い、応用的な知識をつける

そのために以下の順で勉強をすることをおすすめします。

通史の学習

まずは通史を学び基本的な知識を頭に入れることから始めましょう。

通史の学習は、インプットで流れを理解し、アウトプットで知識を定着させます。インプットには教科書や講義系参考書、アウトプットは穴埋め系問題集や自学校の授業プリントが役に立ちます。

インプット

インプット用教材は、山川の『詳説日本史』・『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』・『石川晶康 日本史B講義の実況中継』・『歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本』がおすすめです。まず『詳説日本史』を試し、読みにくいと感じたら他を検討すると良いでしょう。

詳説日本史 山川出版

価格:914円

編者:佐藤信、五味文彦、高埜利彦、鈴木淳

発売:2023年4月1日刊行

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金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本【三訂版】原始・古代史 (東進ブックス 名人の授業シリーズ)

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著者:金谷俊一郎

発売:2024年10月26日発売

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石川晶康 日本史B講義の実況中継(1)原始~古代 (実況中継シリーズ)

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著者:石川晶康

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改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本 0からはじめて100までねらえる

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著者:山中裕典

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アウトプット

アウトプット用の問題集は『大学受験 ココが出る!!日本史ノート 歴史総合,日本史探究』『日本史探究 詳説日本史ノート』『時代と流れで覚える!日本史用語』がおすすめです。

大学受験 ココが出る!!日本史ノート歴史総合,日本史探究

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著者:菅野祐孝

発売:2023年9月7日発売

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日本史探究 詳説日本史ノート

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著者:遠藤真治、丹下厚法

発売:2023年3月28日発売

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時代と流れで覚える!日本史用語

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著者:鈴木和裕

発売:2024年7月3日発売

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問題演習

学習が進むにつれて、より実践的な問題で知識の理解・定着度の確認を行いましょう。

単純な一問一答よりも、文章を読みながら基本から〜やや難しい用語を問うものが良いです。『実力をつける日本史100題』がおすすめです。

演習問題集

実力をつける日本史100題

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著者:Z会出版編集部編

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問題演習の復習に使う教材

問題演習の目的は、理解・定着度が足りない知識を補うことです。復習の際には、教科書または教科書または参考書・資料集・用語集を活用しましょう。

詳説日本史図録

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著者:詳説日本史図録編集委員会

発売:2023年3月28日発売

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日本史用語集

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著者:全国歴史教育研究協議会

発売:2023年12月22日発売

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過去問演習

過去問演習も重要です。最低でも5年分、できれば10年分は解いておきましょう。過去問を解くことで、本文理解と選択肢吟味の感覚を掴むことができます。

過去問を解いたら、丁寧に振り返りを行いましょう。おさえられていなかった事項やその周辺知識は必ず用語集や資料集で確認し整理しましょう。

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まとめ

慶應義塾大学商学部日本史の試験は、マーク式の穴埋め問題が中心のスタンダードな内容です。配点は総合点の25%で、合格するためには安定して高得点を狙いたい科目です。

問題・選択肢の数が多く、やや難しい知識まで問われることもありますが、設問のほとんどは基礎〜標準的な内容です。教科書レベルの事項を網羅的におさえてこくことが重要です。時代別には近世以降からの出題が頻出であり、現代史も十分に学習しておく必要があります。

慶應義塾大学商学部のアドミッションポリシーにも記載されているように、受験勉強を通じて、社会に対する関心や論理的思考能力などを身につけてもらえればと深甚に思います。


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受験をはじめとした勉強において、固定的なカリキュラムや決まった勉強方法に生徒を適応させることに意識が向きがちです。

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この記事を書いた人

坂本 諒

ティーシャル代表。1988年福岡生まれ。大学に進学した2006年から塾講師をはじめ、2013年に個別指導塾ティーシャルを横浜に開校。おもに数学・物理・化学などを担当。

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