2026年2月17日に神奈川県神奈川県公立高等学校入学者選抜共通選抜が実施された。
この記事では英語・国語・数学・理科・社会の各科目の試験について設問数・昨年との変化・大問別分析、簡単な学習アドバイスを行う。
英語
問題数
大問数は8問、設問数は31問であり、問3・問4の文法問題で3問増加した。
形式や難易度の変化
問題構成・難易度ともに昨年と比較して大きな変化はない。
大問別分析
問1はリスニング問題。標準的内容であった。
会話の速度は自然な日常会話のものと同等であると思われる。教科書などの練習用教材よりも少し速いと感じる受験生もいるかもしれない。
(ア)No.2「My family often goes to lakes & takes pictures there.」の下線部は、発音がつながって聞こえ、文法的な知識がなければ未知の単語に聞こえる可能性がある。文法知識がリスニング能力を向上させる好例だった。
(イ)No.2 はやや一文の長い発話があった。
(ウ)は大学共通テストを意識した長めのモノローグの聞き取りであり、他と比べて難しく感じた生徒もいるかもしれない。
問2は例年通り単語の空所補充問題。動詞名詞形容詞が一つずつ登場する。正答となった単語は、(ア)bright(イ)movements(ウ)solve。
問3は選択式の文法問題。例年通りだが設問数が4→6問となった。問われた内容は以下の通り。
- (ア)Whose。疑問詞の格を問う問題
- (イ)with。「Help 人 with」で「人の~を手伝う」という表現
- (ウ)will be built。未来形 + 受け身表現の問題
- (エ)having。thinkの後ろに主語 + 動詞がくることから動名詞になる
- (オ)as tall。as ~ as …の否定系「…ほど ~ ではない」の表現
- (カ)won’t have。仮定法ではないという判断が必要
問4は並び替え問題。問われた主な単元は、以下の通り。
- (ア)doseを使った疑問文。catchかtakeのどちらが相応しいか判断
- (イ)「too ~ for 人」で「人にとって~すぎる」という表現
- (ウ)現在進行形、過去分詞の形容詞適用法
- (エ)How many ~ の疑問文
- (オ)不定詞の形容詞適用法
問3,4ともに中1〜中3の文法がバランス良く出題されている。難易度は易しめであり、基本的な文法を確実に理解しておけば全問正解できる。
問5は条件付き英作文で「How long has he lived in Japan?」などが正解。完了形、3単元のhasがポイントとなる。難易度は易しめ。
問6〜8は例年通り長文問題であった。
問6は例年は複数のグラフ・表を含む英文の読解問題が出題されていたが、今年は問7のように2問構成になった。(ア)校内掲示板(イ)職場体験のお礼状の内容を読み取る問題であり、従来のややアカデミックな文章から、実用寄りの問題になったといえる。
問7は例年通り2問構成だった。(ア)は修学旅行に関する会話文と活動予定表からMaki・Bethの3日目の行動を読み取る問題。(イ)は電子書籍システムに対するアンケート調査を読み取り、以前は使用していたのに現在は使用していない人を判断する問題。
問6,7とも基礎的な英語読解ができれば、情報処理はさほど難しくはない。
問8は対話文の読解問題。文量は2ページ分、テーマは「文化祭に向けた映画制作における生成AIの活用」であった。設問形式は(ア)は本文を読み正しいグラフを選ぶもの、(イ)は空所補充(ウ)(エ)は本文内容に合う選択肢を合計2つ選ぶ問題であった。
学習アドバイス
全体を通し、英文の難易度は標準的なレベルであった。使用されている語彙や表現は教科書のレベルを超えていない。文法問題の設問数が増えたが、難易度は易しいものがほとんどだった。標準的な文法・語彙を十分に練習し確実に身につけておきたい。
国語
問題数
大問数は5問、設問数は30問。いずれも例年同様。
形式や難易度の変化
問題形式は昨年と比べ大きな変化はなく、30文字程度の作文以外は全て記号選択問題だった。全体を通して素直で、基礎力を問う問題であった。
大問別分析
問1は漢字と俳句の鑑賞の記号選択問題。漢字→読みは「委嘱」「媒介」「草履」「戒める」。読み→漢字は「巻末」「起業」「洗礼」「配る」。文法問題は問1では出題されず読解問題中で出題。読み「委嘱」は中学生には聞き慣れない言葉でやや難しい。例年通り(ウ)は短歌鑑賞問題だった。
問2は小説の読解。(ア)〜(オ)が心情・状況理解に関する選択問題、(カ)は内容+表現方法に関連する選択問題という例年通りの出題である。本文の読みやすさ・選択肢ともに標準的な難易度。
出典は永井紗耶子『秘仏の扉』(2025年、文藝春秋)。小説の形式をとった美術論ということもできる作品であり「フェノロサ」「岡倉覚三(岡倉天心の本名)」といった実在の人物や業績を知っていると読みやすい。
問3は説明文読解。内容理解に、語句および文法問題が統合されている。設問のタイプで見ると、以下の通り。
- (ア)接続詞の空欄補充
- (イ)文法問題:助詞「と」の判別
- (ウ)語句問題:「模倣」の対義語
- (エ)(オ)(カ)(キ)傍線部の理由・内容理解
- (ク)(ケ)本文全体の内容理解
出典は吉岡洋『AIを美学する』(2025年、平凡社新書)。物語文に続いて2025年刊行の本から選ばれている。本文では、アメリカの哲学者であるドレイファスを参照しながら、人工知能と人間の差異について論じられている。文章表現・語彙はそれほど難解ではないが、機械と人間に関する議論に触れた経験が無いと難しく感じたかもしれない。
問4は古文の読解で設問はすべて内容理解に関する問題。(イ)は「あやし」の意味に気をつけながら丁寧に選択肢を読む必要がある。出典は『宇治拾遺物語』。
問5は資料読解と作文。資料は「人と違う音楽を聴くということ」「真似をするということ」に関する文章とそれらを読んだKさんのメモ・まとめの文章。作文のテーマは「作品制作において自身の表現の幅を広げるためにどうすべきか」で指定文字数は30〜40字であった。比較的身近なテーマで回答しやすかったと思われる。出典は下記の通り。
- 星野太『自由のためのレッスン』(2025年)
- 佐渡島庸平『観察力を高める』(2024年、SBクリエイティブ)
学習アドバイス
漢字や語句問題を含め、本文・設問いずれも標準的な内容であり、基礎力が問われるものであった。
漢字・文法・読解・作文等の基礎的な練習を積み、国語力の体幹を養っておきたい。また、国語は模試や過去問演習の復習を丁寧にすること。正解の根拠を本文から説明する習慣をつけたい。また、古文の読解は練習する機会を十分に持てば安定して得点しやすい。直前に慌てることがないよう早めに触れておくことをおすすめする。
数学
問題数
大問数は6問、設問数は24問であり、問題量は例年と同程度である。設問の配置等に変化はない。
形式や難易度の変化
問題の構成や出題された単元に大きな変化はなかった。易しい問題と難しい問題の差があり、全体としては例年並みの難易度といえる。
大問別分析
問1は例年同様に計算問題が出題された。
問2は例年通り小問集合(問3と比べると軽い問題)で連立方程式・二次方程式・二次関数の変化の割合・一次方程式・平方と素因数分解・立体の体積が出題された。総じて易しめであった。
問3は昨年同様各分野の小問が4テーマ出題された。問3の図形問題は難易度が高いことが多く、今年も同様であった。
(ア)の(ⅰ)は円を含む図形上の三角形の相似を証明するだった。設問は基本的な出題でぜひ正解したい。(ⅱ)の求積問題は相似を利用して長さを求める問題でやや難しい。(イ)はヒストグラムと3つの条件から適切な箱ひげ図を選ぶ問題だった。条件を落ち着いて処理していけば正解できただろう。(ウ)は正方形内に引かれた線分から成る三角形の面積を求める問題で比較的難しい問題だった。(エ)は2次方程式の文章題で、さほど複雑ではないが、条件を適切に式で表現できたかで結果が分かれたであろう。
問4は例年通り関数の問題が出題された。(ア)(イ)は例年通り関数の係数や切片などを求める基本的な問題だった。(ウ)は座標平面上の2つの三角形の面積が同じになる条件を求める問題だった。関数の(ウ)は例年同様難しめだが、今年の問題は三角形の面積比を求める方法に慣れている受験生であれば易しく感じたかもしれない。
問5は例年通り、文章と【ルール】の読解を伴う確率の問題が出題された。設問数は例年通り2問で、昨年同様2つのサイコロ問題の出た目によって特定の操作を行う題材だった。操作②のルールが複雑で、起こりうる場合を根気よく調べて記録する力が求められる問題だった。特に(イ)はほぼ全ての場合を確認する必要があり、限られた時間で正解するのは難しかったであろう。
問6は例年通り立体図形の問題が出題された。(ア)円柱の表面積を求める基本的な問題であった。(イ)円柱内部の三角形の面積を求める問題だった。例年に比べるとシンプルな設定で、求積する三角形が直角三角形であることに気づけば解きやすかっただろう。
学習アドバイス
中学の範囲から満遍なく出題されており、どの単元も基本的な問題を正確に解けるようになっておくことが重要だ。
その上で、過去問を解いて目標を立てよう。目標が60~70点の受験生は問1,2とその他の問いの(ア)(イ)を絶対に落とさない練習をしよう。また、計算や小問を素早く解けるようになっておくことで確率の問題に十分に時間を使いたい。70点以上が目標の受験生は得意単元をつくろう。関数分野の図形的考察に慣れておくこと、立体図形・平面図形の典型的なタイプの問題を身につけておくことが重要だ。
理科
問題数
大問数は8問であり、例年通りである。問1~4は小問集合、問5~8は実験や観察をベースにした設問である。問1~4、問5~8ともに物理・化学・生物・地学各分野から一つずつ出題されている点も例年と変わりない。問題量も例年と変わりない。
形式や難易度の変化
問題形式は昨年と比べ大きな変化はなかった。
やや細かい知識や幾何学的な思考力を問われる問題もあるが、実験観察は典型的なものが多く、全体としては例年に比べてやや易しい。
大問別分析
問1は物理分野の小問集合で、弦の振動・ばねばかり・力のつりあいに関する出題であった。
問2は化学分野の小問集合で、物資の性質・質量パーセント濃度・分子モデルに関する出題であった。
問3は生物分野の小問集合で、単子葉類の特徴・じゃがいもの形質と遺伝・食物連鎖に関する出題であった。
問4は地学分野の小問集合で、火成岩・堆積の順・大気圧に関する出題であった。
小問集合はどの分野も典型的な出題が多かった。問1の(イ)は、ばねばかりの測定範囲をもとにばねののびやすさを判断する必要があり、ばねの性質をきちんと理解できているかが問われる問題だった。
問5は物理分野から、電熱線による発熱実験の問題だった。実験手順は比較的シンプルで問題も基本的なものが多かった。
問6は化学分野から、金属のイオン化傾向と電池に関する問題だった。問5と同様比較的シンプルな実験で、ダニエル電池の仕組みを理解できていれば正解できる問題だった。
問7は生物分野から、ネギの光合成に関する実験や考察の問題だった。実験・考察の量がやや多く正確な読解が求められる。(ウ)は仮説を立証する実験結果の図を判断する問題でやや難しい問題だった。
問8は地学分野から、太陽の観察記録に関する問題が出題された。観察記録・問題ともに典型的な問題が中心ではあるが、(ウ)(エ)はともに数学的な見方が必要であり、特に(エ)を難しく感じた受験生は多かっただろう。
学習アドバイス
理科は出題される分野が多く、どの分野も満遍なく学習しておくことが必要だ。正確な知識を身につけるとともに、実験観察の頻出テーマについて十分に練習しておきたい。さらに、実験・観察結果を図やグラフで表現するといった数学的な処理にも慣れておくことが望ましい。
社会
大問数
大問数は7問、設問数も34問であり昨年と変わらない。
形式や難易度の変化
出題形式・傾向は例年通りであった。大問数は7で、大問7では地理・歴史・公民の総合問題が出題されている。やや細かい知識を問うものや、資料読解の難易度が高めの出題もあるが、全体の難易度は例年と大きく変わらない。
大問別分析
問1は例年通り世界地理から出題された。地図や統計などの資料を基にした問題が中心だった。(ウ)(エ)(オ)と5問中3問が資料読解問題であり、読解力重視の傾向が見られた。
問2は例年通り日本地理が中心で、兵庫県神戸市に関する地図や説明文を基にした問題だった。(ア)はダム・扇状地・製紙工場・石油化学コンビナートといった地理用語のどれが埋め立て地と関連しているかを問う問題だった。(イ)は(ⅰ)(ⅱ)とも複数の資料を読み取る読解問題だった。(オ)は問2としては珍しく、アラブ首長国に関する問題が出題された。
問3は例年通り近世以前の歴史で、学生が作成したレポートをもとに出題された。(イ)の年代整序問題は比較的易しい。(エ)はバスコ=ダ=ガマとマゼランの航路を覚えておく必要があった。(オ)は知識問題ではあるが複数の文を読み取って判断する必要があった。
問4は近代以降の歴史に関するレポート・資料を題材にした問題だった。(ウ)の年代整序問題は、できごとを流れを把握しておくことが求められる問題だったがやや難しく感じられたかもしれない。(オ)は問屋制家内工業・計画経済・特需景気といった用語を理解しておけば正解できる問題だった。
問5は公民の経済分野から出題された。(ア)(エ)の(ⅱ)は資料読解問題だった。
問6は公民の政治分野から出題された。全体的に政治分野の知識・考え方を前提としつつ、資料・文章を読解して答えるが中心だった。(エ)はやや情報量が多いが、選挙区制と比例代表制の特徴を理解しておくと回答しやすい問題だった。
問7は国際社会に関する地理・歴史・公民の総合問題が出題された。(エ)は例年同様、4つの資料の内容を読み取り4つの文の正誤を判断する問題だった。
学習アドバイス
近年の傾向は資料の読み取り問題が多いことだが、今年はさらにその傾向が強くなり、知識がなくてもそれなりの得点が可能になっている。基本的な資料読解力をつけることが最重要で、その上で知識を肉付けしていくと高得点が取れるだろう。
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