【2023年度】神奈川県公立高校入試の傾向と難易度

2023年2月14日に神奈川県神奈川県公立高等学校入学者選抜共通選抜が実施された。

この記事では英語・国語・数学・理科・社会の各科目の試験について設問数・昨年との変化・大問別分析、簡単な学習アドバイスを行う。

問題と解答はこちらから
https://tcial.jp/library/past-exam-kanagawa-high/

英語

問題数

大問数は8問であり、去年(令和4年度、以下省略)と比べ変化はなかった。設問数は26問(うち2問が選択数2つ)であり、去年と比べ変化なし。

形式や難易度の変化

昨年度から始まった傾向として、全体を通して単語を書かせる形式の問題が削除された。

それ以外では、問題構成は去年と比較してほぼ変化なし。変化があった点を比較すると以下の通り。

  • リスニング問題(ウ)のNo.2は、去年は実質放送内容を聞かずとも答えられる簡単な読解問題であったが、今年は放送内容に関する問題となった。
  • 問2の問題文も会話文になった。(影響は小さいと思われる)
  • 問6の読解問題について、去年はポスターとグラフを用いて解く問題だったが、今年はグラフのみであった。

大問別分析

問1はリスニング問題。例年通り。(放送音源未公開)

問2は単語書き取り問題。例年通り。正答となった単語は、(ア)heavy、(イ)weather、(ウ)introduce。(ウ)は設問として他2問より若干難易度が高く設定されているように思われた。

問3は選択式の文法問題。例年通り。問われた主な単元は以下の通り。

  • 現在完了形(問題文中 for three years から判断)。
  • 語彙both(it’s difficult for me to choose = 不定詞It … to構文の知識)。
  • 間接疑問文(I haven’t decided what I want to do)。
  • 動名詞(by ~ing)。

問4は並び替え問題。問われた主な単元は、以下の通り。

  • 関係代名詞(anything I should bring)
  • 間接疑問文(Please tell me when you will come back)
  • 過去分詞の後置修飾(Eri, do we have any milk left in the …)
  • 熟語の知識、動名詞(Don’t be afraid of asking questions … be afraid of Ving、)
  • 難易度として大きな変化はなし。

問5は条件付き英作文。対話相手の答え(”Yes, I do.”)から、Do you … ?で始める疑問文を考えさせる問題だった。解答例として、

Do you know which bus goes to(the park?)が考えられる。英作文に慣れていない生徒には難しかったと思われる。

問6〜8は例年通り長文問題であった。

問6はグラフや表と英文を読み合わせる問題。問題文中に現れるグラフも英語表記である形式は踏襲。テーマとしてAIが取り上げられた。

問7は例年通り2問構成。会話から、適切な帰結やスケジューリングを判断する問題。(ア)は行動予定とお店での注文内容を、(イ)はスピーチコンテストに応募するためのスケジューリングを読み取る問題であった。値段や日付など、数値的な情報を読み取らせるという点で、やはり例年通りであると言えそうである。

問8は対話文の読解問題。文量は2ページ分であるが、昨年よりややボリュームは下がっている。(ア)本文を読み正しいタイムテーブルを選ぶものであった。(ウ)は例年通り本文内容に合う選択肢を2つ選ぶ問題であった。テーマは日本と米(の消費量)。

強いて内容に言及するなら、問6(AIとの共存)と問8(米の消費量の低下とその回復)において、最低限の社会科的テーマの前提が要求されていたと言えるかもしれない。

学習アドバイス

全体を通し、英文の難易度は基礎的なレベルであった。使用されている語彙や表現は教科書のレベルを超えていない。特別難しいことは必要なく、標準的な問題を反復練習し、語彙や表現の積み上げをしっかりしておくこと。中学3年間の語彙、文法事項の基礎的内容をしっかりと理解しておくことが求められていた。

国語

問題数

大問数は5問であり、昨年と比べ変化はなかった。設問数は30問であり、昨年と比べ変化はなかった。

形式や難易度の変化

問題形式は昨年と比べ大きな変化はなく、30文字程度の作文以外は全て記号選択問題。難易度は昨年と大きく変わらない。

大問別分析

問1は漢字と俳句の鑑賞の記号選択問題。漢字→読みは「静寂」「収集」「頒布」「著しい」。読み→漢字は「傾倒」「印鑑」「球根」「施す」。文法は昨年に続き問1では出題されなかった。

問2は物語文の読解。(ア)〜(オ)が心情・状況理解に関する選択問題、(カ)は表現方法に関連する選択問題という例年通りの出題である。出典は瀧羽麻子『博士の長靴』であった。

問3は説明文読解。傍線部の言い換えや理由説明等に加え文法の問題が2題出題がなされた。設問のタイプで見ると、以下の通り。

  • 空欄に入る接続詞
  • 熟語の構成
  • 「よう」の文法
  • 傍線部の筆者の意見の読み取り
  • 傍線部の内容説明
  • 正しい要旨

出典はハナムラチカヒロ『まなざしの革命』。例年と比べるとテーマが身近で読みやすい本文であった。

問4は古文の読解。例年通り登場人物の心情把握や行動の理由、本文内容の理解に関する問題が出題された。注が多く、比較的易しい文章だった。出典は『平家物語』であった。

問5はグラフと討議の読解・作文。テーマは「人間と自然の共生」。グラフの読み取りの選択問題と、25〜35字での記述問題。例年通りの出題となった。

学習アドバイス

本文や設問の読解を正確に行うために語彙力を鍛えておくこと。普段から、スマホやパソコンで知らない言葉や読めない漢字を調べる習慣を持っておこう。また、国語は模試や過去問演習の復習を丁寧にすること。正解の根拠を本文から説明する習慣をつけたい。古文の読解やグラフの読み取りは、練習する機会を十分に持てば得点しやすい。優先的に対策すべき。

数学

問題数

大問数は6問で、例年通りであった。設問数は25問であり、昨年と比べ1問増加した。全体の問題ボリュームとしては昨年と同程度である。

形式や難易度の変化

問題の構成や出題された単元に大きな変化はなかった。難易度は平年並みだと思われる。

大問別分析

問1は例年同様計算問題が出題された。

問2は例年通り小問集合(問3と比べると1問が軽い)で因数分解・二次方程式・関数・連立方程式の文章題・平方根から出題された。

問3は昨年同様各分野の小問が4テーマ出題された。問3の図形問題は難易度が高いことが多く、今年も同様であった。

(ア)の(ⅰ)は合同の証明の穴埋め問題で、比較的易しいものであった。(ア)の(ⅱ)は与えられた条件から角度を求める問題だった。(イ)では四分位数や箱ひげ図に関するスタンダードな問題が出題された。(ウ)は一定の速さで進む2人がすれ違う時間帯を求める問題だった。グラフを書いて考える必要があり、やや難易度の高い問題であった。(エ)は三角形と四角形の面積比を求める問題だった。典型的な問題ではあるが、同種の問題に慣れていない受験生は難しく感じたかもしれない。

問4は例年通り関数の問題が出題された。設問の形式も例年と変わりないが、分数の計算が多く処理に注意を必要とする。グラフを図形的に捉えることで計算量を少なくすることができる。(ウ)は座標平面上の2つの三角形の面積比に関する問題だった。立式・計算ともにやや複雑で本試験で最も難しい問題であった。

問5は例年通り確率の問題が出題された。文章を読ませて【ルール】を把握させてから解かせる問題で、設問数が2問という点も例年通りであった。サイコロ問題の定番である6×6の表を書くことで素早い回答が可能な問題であった。比較的易しい問題であるため、(1)だけでなく(2)まで解答したい。

問6は例年通り立体図形の問題が出題された。(ア)は円錐の表面積を求める基本的な問題であった。(イ)は円錐内の2点間の距離を求める問題だった。典型的な問題だが、三平方の定理をどの三角形に使うべきか悩んだ受験生もいるかもしれない。(ウ)は側面の最短距離問題であった。展開図を正確に書き丁寧に角度を計算することで(イ)の導出過程と似た方法で求めることができる。

学習アドバイス

数学は出題形式と単元が予想しやすいため、過去問をよく研究しどの単元で何点とるかという計画を立てておくのが良いだろう。中学の範囲から満遍なく出題されており、極端な苦手単元をつくらないことも重要だ。

目標が60点前後の受験生は問1,2とその他の問いの(ア)を絶対に落とさない練習を、目標が80点以上の受験生は得意単元をつくった上で過去問演習を十分に、満点近くが目標の受験生は典型問題を全て解けるようにした上で、関数分野で図形的な視点を持てるように練習をすると良いだろう。

理科

問題数

大問数は8問であり、昨年と比べ変化はなかった。問1~4は小問集合、問5~8は実験や観察をベースにした設問である。問1~4、問5~8ともに物理・化学・生物・地学各分野から一つずつ出題されている点も例年と変わりない。設問数は28問で昨年と変わっていない。

形式や難易度の変化

問題形式は昨年と比べ大きな変化はなかった。
ところどころやや難しい問題がみられたが、全体として例年並みの難易度である。

大問別分析

問1は物理分野の小問集合で、モノコード・電気回路・力の釣り合いからの出題であった。

問2は化学分野の小問集合で、アンモニアの性質・溶解度・中和からの出題であった。

問3は生物分野の小問集合で、顕微鏡の使い方・人の器官・減数分裂からの出題であった。

問4は地学分野の小問集合で、地震・飽和水蒸気量・太陽の運動からの出題であった。

問5は物理分野から、レール上を走る金属棒に関する問題が出題された。力の図示、時間と速さのグラフ、エネルギー変換効率に関する文字式と高校物理のようなテーマの問いが目立った。基本原則の理解が問われる問題だった。

問6は化学分野から、酸化物の還元に関する問題が出題された。(エ)は多くの受験生にとって初見であろう酸化鉄(Ⅲ)と一酸化炭素の化学反応式に関する問題だった。全体としては典型的なテーマのため、十分に練習ができていれば比較的解きやすい問題だった。

問7は生物分野から、蒸散に関する対照実験の問題が出題された。典型的なテーマのため、十分に練習を積み、注意深く問題文を読めれば正解しやすい。

問8は地学分野から、地層や堆積に関する問題が出題された。観察の問題ではあるが各問いは独立した小問のように解くことができる。どの問いも比較的解きやすい問題だった。

学習アドバイス

理科は出題される分野が多く、どの分野も出題される可能性がある。そのため、安定して得点するためには、どの分野も満遍なく全分野を実験観察の問題も含めて学習しておくことが必要だ。また、実験観察の頻出テーマも十分に練習しておきたい。

社会

大問数

大問数は7問であり、昨年と同様であった。設問数は33問であり、2022年の32問と比べ1問増えた。

形式や難易度の変化

  • 昨年と同様大問数は7で、大問7では地理・歴史・公民の総合問題が出題された。
  • レポートを始め年表や図など多くの資料を題材にした出題であった。
  • 例年通り、文章・グラフ・表・系図などの資料を読み取る、知識が少なくても解ける問題が出題されている。

細かい知識を問う問題は少なく、例年通りの難易度といえよう。

大問別分析

問1は例年通り世界地理から出題された。地図や統計などの資料を基にした基本的問題が中心だが、資料や選択肢を注意深く読んで解答する必要がある。(エ)は歴史の知識と関連する問いであった。(オ)は統計の読み取り問題で、知識がなくても回答できるものだった。

問2は例年通り日本地理からの出題で、大阪府堺市の5つの資料をもとにした問題だった。(ウ)は2つの資料を読み取る問題で、知識がなくても回答できるものだった。問2は日本についての問題が中心だが、(エ)のみ世界の気候の問題が出題された。

問3は例年通り近世までの歴史からの出題で、年表・資料を基にしたスタンダードな問題が出題された。(ア)では守護と地頭の役割の違いを正確に把握しておく必要があった。(ウ)の年代並び替え問題は比較的易しい出題だった。政治・外交・文化など分野の問題が満遍なく出題された。

問4は例年通り近代以降の歴史からの出題で、年表・地図・資料を基にしたスタンダードな問題が出題された。

問5は公民の経済分野から出題された。基本的な事柄についての出題だった。(ア)と(オ)は資料の読み取り問題だった。

問6は公民の政治分野から出題された。(ア)は日本の伝統文化に関する出来事の並び替え問題で、文化史の知識が必要であった。

問7は例年通り地理・歴史・公民の総合問題が出題された。総合問題ではあるが、特別な知識や思考は必要なく解答することができる。(エ)は3つの資料の内容を読み取る問題だった。

学習アドバイス

資料の読み取り問題が多い一方、単純な知識を問う問題も多く出題されている。教科書に出てくる基本的な知識をしっかり身につけておく一方で、複数の資料の読み取りや選択肢の読み方を練習する必要があるだろう。

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この記事を書いた人

個別指導塾ティーシャル

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