高校受験ガイド

【2024年度】神奈川県公立高校入試の傾向と難易度

2024年2月14日に神奈川県神奈川県公立高等学校入学者選抜共通選抜が実施された。

この記事では英語・国語・数学・理科・社会の各科目の試験について設問数・昨年との変化・大問別分析、簡単な学習アドバイスを行う。

英語

問題数

大問数は8問で去年(令和4年度、以下省略)と比べ変化はなかった。設問数は26問(うち2問が選択数2つ)で去年と比べ変化はない。

形式や難易度の変化

問題構成・難易度ともに去年と比較してほぼ変化はない。

大問別分析

問1はリスニング問題。標準的内容であった。

問2は単語の空所補充問題。例年通りであった。正答となった単語は、(ア)neighbor,(イ)hurt,(ウ)successful。

問3は選択式の文法問題。例年通りである。問われた主な単元は以下の通り。

  1. moving。文脈から主語が必要と判断して動名詞を選ぶ問題
  2. something。something + 形容詞を理解しているか問う問題
  3. let + 人 + 原形不定詞
  4. 前置詞 againstを問う問題

問4は並び替え問題。問われた主な単元は、以下の通り。

  1. what do you call it;call A Bとその疑問文
  2. which day is better for;which + 名詞の疑問文
  3. shoes the visitors took off;接触節の関係代名詞
  4. Though it was difficult to understand some of the rules;thoughとsome of the ~s

2の「 which 名詞」という疑問文は昨年の問5で問われていた。多くの生徒が間違えるところである。

問5は条件付き英作文で「How many times have you watched」を答える。

現在完了の基本例文レベルが身についていれば、<条件>のtimesや会話文のTwiceからHow many times を思いつくことができただろう。

一昨年・昨年から引き続き疑問文を書く問題が出題されている。

問6〜8は例年通り長文問題であった。

問6はグラフや表と英文を読み合わせる問題。問題文中に現れるグラフも英語表記である形式は踏襲されている。テーマは都市の緑化(”Green Infrastructure”)。設問(ア)では、去年はなくなっていた空所補充の問題が復活した。が、選択肢の英文が数段長くなっていた。修飾句が多く読むのに苦労した受験生もいたと思われる。長文化の傾向。設問(イ)(ウ)は例年通りであった。

問7は例年通り2問構成だった。(ア)は会話から行動予定を理解する。(イ)は文章を簡潔にまとめたポスターを穴埋めさせる問題。値段や日付など、数値的な情報を読み取らせるという意図が後退した。英語の読解問題という意味では良い傾向であると思われる。

問8は対話文の読解問題。文量は2ページ分、テーマは若者の政治意識であった。(ア)本文を読み正しいグラフを選ぶものであった。(ウ)は例年通り本文内容に合う選択肢を2つ選ぶ問題であった。

学習アドバイス

全体を通し、英文の難易度は標準的なレベルであった。使用されている語彙や表現は教科書のレベルを超えていない。特別難しいことは必要なく、標準的な問題を反復練習して中学3年間の語彙、文法事項をしっかり定着させておきたい。

問6のテーマ「都市の緑化(”Green Infrastructure”)」は、社会や総合の時間などで親しんでいれば読みやすい。問8の「若者の政治意識」も同様のことがいえる。長文においては扱われるテーマに他教科において慣れておくことが求められていると言えよう。

国語

問題数

大問数は5問、設問数は30問であり、昨年と比べ変化はなかった。

形式や難易度の変化

問題形式は昨年と比べ大きな変化はなく、30文字程度の作文以外は全て記号選択問題だった。説明文が難しかった分、昨年よりやや難易度が上がった。

大問別分析

問1は漢字と俳句の鑑賞の記号選択問題。漢字→読みは「固唾」「辛辣」「逸材」「拙い」。読み→漢字は「紅潮」「沿革」「司会」「推しはかる」。文法は昨年に続き問1では出題されなかった。

問2は物語文の読解。(ア)〜(オ)が心情・状況理解に関する選択問題、(カ)は表現方法に関連する選択問題という例年通りの出題である。出典は高森美由紀『藍色ちくちく』であった。

問3は説明文読解。傍線部の言い換えや理由説明等に加え文法の問題が2題出題がなされた。設問のタイプで見ると、以下の通り。

  • 空欄に入る接続詞
  • 「の」の文法
  • 「需要」の対義語
  • 傍線部の筆者の意見の読み取り
  • 傍線部の内容や理由の説明
  • 正しい要旨

出典は井上雅人『ファッションの哲学』。例年と比べるとテーマや語彙が難しい文章であった。

問4は古文の読解。例年通り登場人物の心情把握や行動の理由、本文内容の理解に関する問題が出題された。易しい文章ではないが、登場人物を整理し注や設問の選択肢も活かして読み解きたい。出典は『古事談』であった。

問5はグラフと討議の読解・作文。テーマは「AIとの関わり方」。出題された文章は長谷川真理子『ヒトの原点を考える』と大澤真幸『無意識が奪われている』。グラフの読み取りの選択問題と、25〜35字での記述問題。例年通りの出題となった。

学習アドバイス

本文や設問の読解を正確に行うために語彙力を鍛えておくこと。普段から、スマホやパソコンで知らない言葉や読めない漢字を調べる習慣を持っておこう。また、国語は模試や過去問演習の復習を丁寧にすること。正解の根拠を本文から説明する習慣をつけたい。また、古文の読解は練習する機会を十分に持てば安定して得点しやすい。優先的に対策すべき。

数学

問題数

大問数は6問、設問数は25問であり、昨年と変化はなかったが、設問の配置に変化があった。問6の立体図形から設問が1つ減り、代わりに問2の小問集合の設問が1つ増えた。全体のボリュームは例年と同程度である。

形式や難易度の変化

問題の構成や出題された単元に大きな変化はなかった。難問がなかったこと、小問の割合が増えたことから若干易化したといえる。

大問別分析

問1は例年同様に計算問題が出題された。

問2は例年通り小問集合(問3と比べると1問が軽い)で連立方程式・二次方程式・関数の変域・二次不等式の文章題・球の体積・因数分解を利用した代入の問題が出題された。直近2年は問題数が5問となっていたが、今年は1つ増えて2021年以前と同じ6問となった。

問3は昨年同様各分野の小問が4テーマ出題された。問3の図形問題は難易度が高いことが多く、今年も同様であった。

(ア)の(ⅰ)は円を含む図形の角度に関する問題で標準的な難易度であった。(イ)では母集団のデータ数が異なるヒストグラムと箱ひげ図に関する問題だった。設問は基本的なものなので、落ち着いて問題文を読んで解答したい。(ウ)は三角形BCDが正三角形であることに気づけるかが鍵になるだろう。

問4は例年通り関数の問題が出題された。(ウ)は座標平面上の2つの三角形の面積比に関する問題だった。△CEOが△CEFの3分の2であることを利用すると解きやすかっただろう。関数の(ウ)は例年同様難しめの問題ではあるが、今年は計算量が少なめなため比較的解きやすかった。

問5は例年通り、文章を読ませて【ルール】を把握させてから解かせる確率の問題が出題された。設問数は例年通り2問で、昨年同様2つのサイコロ問題の出た目によって特定の操作を行う題材だった。比較的易しい問題であるため、(1)だけでなく(2)まで解答したい。

問6は例年通り立体図形の問題が出題された。設問数は例年の3問から2問に変更された。(ア)展開図をもとに三角すいを組み立てて体積を求める基本的な問題であった。(イ)三角すいの側面における最短距離を求めるために、一度組み立てた三角すいを別の展開図にする過程をイメージし図に描く力が求められる。易しすぎず難しすぎずほどよい難度の問題だったように思う。

学習アドバイス

中学の範囲から満遍なく出題されており、どの単元も基本的な問題を正確に解けるようになっておくことが重要だ。

その上で、過去問を解いて目標を立てよう。目標が60~70点の受験生は問1,2とその他の問いの(ア)(イ)を絶対に落とさない練習をしよう。また、計算や小問を素早く解けるようになっておくことで確率の問題に十分に時間を使いたい。70点以上が目標の受験生は得意単元をつくろう。特に関数分野で図形的な視点を活用できるように練習が重要だ。

理科

問題数

大問数は8問であり、昨年と比べ変化はなかった。問1~4は小問集合、問5~8は実験や観察をベースにした設問である。問1~4、問5~8ともに物理・化学・生物・地学各分野から一つずつ出題されている点も例年と変わりない。設問数は28問で昨年と変わっていない。

形式や難易度の変化

問題形式は昨年と比べ大きな変化はなかった。
ところどころ解きにくい問題もみられたが、全体として例年並みの難易度である。

大問別分析

問1は物理分野の小問集合で、全反射・輪軸・力の釣り合いに関する出題であった。

問2は化学分野の小問集合で、溶解度・熱分解の分子モデル・ダニエル電池に関する出題であった。

問3は生物分野の小問集合で、アブラナとマツの花・動物と植物の細胞の比較・だ液のはたらきに関する出題であった。

問4は地学分野の小問集合で、地層・神奈川から観測できる天体・太陽の運動に関する出題であった。

問5は物理分野から、電流・磁界・音に関する実験について出題された。3つの実験の内容を正確に読み取り、交流電流や発光ダイオードの性質を踏まえて物理法則を適用する、判断力が求められる問題だった。

問6は化学分野から、水溶液に流れる電流とイオンについて出題された。問5に続き電流が関係しているが主にイオンの性質についての理解が問わている。実験の文量は例年並み、設問はシンプルなものが多く比較的解きやすい問題だった。

問7は生物分野から、遺伝に関する対照実験の問題が出題された。生物分野にしては実験の文量が多く戸惑った受験生もいたかもしれない。1問目の文章は遺伝の性質に関する典型的な内容だった。予め遺伝のしくみを知っていたかによって読みやすさが変わるだろう。2問目の文章は2種類の形質が組み合わさった内容で、やや難しい問題であった。

問8は地学分野から、前線と気候の変化に関する問題が出題された。情報量が多めだが、前線通過と風向の関係を理解できていれば解ける問題だった。

学習アドバイス

理科は出題される分野が多く、どの分野も満遍なく、実験観察の問題も含めて学習しておくことが必要だ。その上で、実験観察の頻出テーマも十分に練習し、長い文章や対照実験の形式に慣れておきたい。

社会

大問数

大問数は7問であり、昨年と同様であった。設問数は34問であり、2023年の33問と比べ1問増えた。

形式や難易度の変化

出題形式・傾向は例年通りであった。

  • 大問数は7で、大問7では地理・歴史・公民の総合問題が出題された
  • レポートを始め年表や図など多くの資料を題材にした出題であった
  • 文章・グラフ・表・系図などの資料を読み取る問題が出題されている

資料読解問題のボリュームが多く、やや難しい知識や概念の理解を問う出題もあり、難易度は上がった。

大問別分析

問1は例年通り世界地理から出題された。地図・写真・統計などの資料を基にした基本的問題が中心だった。(イ)の時差の問題は解きやすい問題だった。(オ)は統計を読み取りつつ、APECやアボリジニなどに関する記述のうち何が関連しているかを判断する、知識と思考の両面を問う問題だった。

問2は例年通り日本地理からの出題で、茨城県つくば市の地形図に関する問題だった。(ア)から(ウ)はシンプルな知識問題であり(エ)と(オ)は数学的な考察も必要な資料読解問題だった。

問3は例年通り近世までの歴史からの出題で、年表・資料を基にしたスタンダードな問題が出題された。(ア)では守護と地頭の役割の違いを正確に把握しておく必要があった。(ウ)の年代並び替え問題は鎌倉府とは何かを理解していることがポイントになった。政治・外交・文化など分野の問題が満遍なく出題された。

問4は近代以降の歴史が中心だが、一部公民分野に関する問題も出題された。(エ)が公民分野から労働法に関する問題であった。2つの資料・3つの語句・3つの説明文・9つの選択肢が登場し、受験生にとっては神経を削られる問題だっただろう。

問5は公民の経済分野から出題された。基本的な事柄についての出題であったが、単に用語を知っているだけでなく、その概念を十分理解していることが正解の条件となる問題だった。

問6は公民の政治分野から出題された。(エ)(オ)の資料読解問題は分量が多く、知識に加え読解力が求められる問題だった。

問7は南アジアに関する地理・歴史・公民の総合問題が出題された。(エ)は4つの資料の内容を読み取り3つの文の正誤を判断する問題で、ここでも読解力や判断力が求められた。

学習アドバイス

近年の傾向は資料の読み取り問題が多いことだが、それでもまずは知識を身につけることが重要だ。ただし、用語を知っているだけでは不十分でその用語の意味を自分の言葉で説明できるようになっているのが望ましい。その上で資料読解問題も十分に練習を積んでおきたい。

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この記事を書いた人

個別指導塾ティーシャル

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