共通テスト数学ⅠAⅡBを解いた感想

数学

こんにちは、坂本です。
先日行われた共通テスト数学ⅠAとⅡBを解きましたので感想を書いていきます。

坂本を中心に受験した生徒、講師の前田、大学生の卒業生の感想も踏まえてまとめています。

センター試験と大きく変わらない

全体としては、形式・難易度・問題量はセンター試験と大きく変わっていないという印象です。問題文の誘導にのって、図を描き、素早く処理していく。この点は今までと一緒です。

センター試験から共通テストへと名前は変わりましたが、全く別の試験になったというより「傾向の変わったセンター試験」というイメージです。

ⅠAがⅡBより難しいと感じた人が多い

過去10年間のセンター試験の平均点を見ると、10年中9年はⅠAの方がⅡBよりも低いという結果となっています。ぼくの感覚としても、センター数学ⅠAは易しいイメージがありました。

しかし、今回の僕の周りではⅠAがⅡBより難しいと感じた人の方が多かったです。各予備校の集計でもⅠAの平均点がⅡBを若干下回っています。(ぼく自身はⅠAとⅡBは同じくらいの難易度に感じました。)

典型問題の演習を繰り返すだけでは難しい

解いていて(特にⅠAで)感じたのは、今までの勉強方法が通じにくくなっているということです。教科書に載っている公式を覚えて典型問題の演習を繰り返すだけでは解きにくそうに感じました。

数学が得意だったり考えることが好きな人は、特別な対策しなくても解けると思います。しかし、そうでない人は、ただ量をこなしても得点が伸びないということが起こる予感がします。

平方完成するだけだった二次関数

ⅠAの第2問の〔1〕では二次関数がテーマの問題が出題されました。短距離走の最速タイムをピッチとストライドのデータをもとに算出する問題です。

設問の大半が最速タイムを出すための式の導出プロセスに割かれており、多くの受験生が練習してきたであろう二次関数の技術はほとんど使用しませんでした。

令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針に記載されている以下の内容が反映されたといえるでしょう。

数学的な問題解決の過程を重視する。(中略)
問題の作成に当たっては,⽇常の事象や,数学のよさを実感できる題材,教科書等では扱われていない数学の定理等を既知の知識等を活⽤しながら導くことのできるような題材等を含めて検討する。

令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針

この問題は、過去問等で反復練習をしたからといって解けるものではありません。受験生の中には「私の二次関数を勉強した時間はなんだったのだろう」と思った人もいたかもしれません。極端に言えば、高校数学を全く知らなくても全問正解できると思います。

また、少数第2位まで求めさせる問題が3問あったのですが、答えの少数第2位が0になる問題は数字を記入する形式で、唯一の答えの少数第2位が0にならない問題は選択式だったのは不思議に思いました。

計算するだけだったベクトル

ⅡBの第5問はベクトルがテーマの問題です。この問題も二次関数と同様ベクトルを解いている、という感覚が少なかった印象です。

(1)の冒頭は角度を求める問題でしたが、ベクトルの問題で内積計算の手がかりにならない角度を求めるのは珍しいと思いました。その後は、ベクトルの基本性質を使いながら計算を進めていきますが、方針はほとんど問題文が示してくれているので、機械的に計算をこなしていくだけです。

マーク式では難しいですが、同じテーマで誘導の少ない出題であれば、より解いていて面白かったのではないかと思います。

繰り返しと一般化

ⅠAの第1問〔2〕(図形と計量)・第3問(確率)、ⅡBの第2問(図形と方程式・微分積分)・第4問(数列)には共通の出題意図を感じました。

上記の問題に共通していたのは、与えられた設定について、まずは具体的な数字で検討し、その後数値を変えて同じ処理を複数回行い共通点を発見し一般化を試みる、一般式の数値を操作して性質を検討するということです。

先に紹介した共通テスト問題作成方針にもあるように、教科書にのっていない定理や性質を導くという傾向は今後も続くのではないかと思います。

全体の計算量は少なめ

全体的に計算量は少なめでした。特にⅡBは例年より少なかったように思います。ただ、2桁×2桁の掛け算・3桁の通分のような、易しいけど面倒な計算が多かったように感じました。思考力を測るということであれば、電卓持ち込み可にしても良いのではとも思います。

あまり意味のない会話文

ⅠAの第1問〔1〕(2次方程式)・第3問(確率)、ⅡBの第1問〔2〕(指数・対数)には太郎と花子の会話文が挿入されていました。いずれも解答のためのヒントといえますが、ヒントを会話文の形式で与える必要性は特に感じませんでした。

共通テスト数学で高得点を取るために

傾向が変わったとはいえ、これまでと同様に基礎問題の反復練習によって、素早く処理する力をつける練習が必要なのは変わりません。

しかし、典型問題の反復練習で出題パターンを覚えようとするだけでは共通テストで高得点を取るのは難しいでしょう。

高校入試に出るような中学の応用問題を解いてみるのも良いかもしれません。

考えることを楽しむ習慣とそのための環境

いわゆる思考力・判断力をつけるためには、問題文をしっかり読む、図を描く、公式の導出を理解する、式変形の原理を理解する、などの練習が必要です。

こらは以前から言われていることではありますが、数学の指導の際にどう伝えるかが難しいところでもあります。マインドセットや習慣の面が大きいからです。

考えることを楽しむ習慣とそのための環境を持っている人が報われる、−むろん、このような受験生が試験に強いのは以前からですが−そういう傾向の強まりを感じた試験でした。

私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。

一般的な学習塾では、予め決まったカリキュラムに生徒を適応させることが重視されています。

私たちにとってもカリキュラムは大切なものですが、勉強を通じて生徒自身が「どう勉強したいか」考えて行動できるようになることが、勉強を楽しむことに繋がり、長期的な学力の向上に貢献すると考えています。

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この記事を書いた人

坂本 諒

ティーシャル代表。数学、物理、化学などを担当。

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