中高一貫校生に塾は必要?通うならいつから?効果的なケースも紹介
私立中高一貫校に通っている生徒に塾は必要か、通うとしたらいつから通うべきか。迷っている方もいると思う。
これまで多くの中高一貫生の授業を行ってきた経験から、塾に通って大きな成果が出る場合もあれば、そうでない場合もあるといえる。
この記事では、中高一貫校生のお子さんがいる保護者向けに、塾通いをおすすめするケースや塾選びのポイントなどをお伝えする。
1.中高一貫校生の塾通いをおすすめするケース
私立中高一貫校に通っている生徒に塾が必要か。
結論からいうと以下の場合には塾に行くことをおすすめしたい。
- 定期テストの得点が継続的に低い
- 定期テストでは結果が出るが、実力テストだと結果が出ない
- 勉強するべきだと感じているものの時間の確保ができず結局勉強しない
1-1.定期テストの得点が継続的に低い
定期テストの得点が継続して低い場合は塾に通うことを検討するべきだ。
例えば、3回連続で平均より10点以上低い場合は注意が必要だ。なぜなら、この状態は学校の授業を理解していないことを意味するからだ。
中高生の活動の中で多くを占める学校の授業がほとんど意味がないものになってしまい、膨大な時間を無駄にする上に、勉強に対する意欲減退など二次的な悪影響が起こる恐れもある。
できるだけ早く解決すべきだ。
1-2.定期テストでは結果が出るが、実力テストだと結果が出ない
そこまで成績が悪くなくても気をつけた方が良いケースがある。
例えば、中2までは比較的良い成績だったのに中3になって急に難しく感じてきたという場合だ。特に、定期テストではそれなりの結果が出るが、実力テストになると結果を出せない場合は要注意だ。学習内容の根本的な理解が足りておらず、場当たり的な勉強になっている可能性が高い。
これは、比較的真面目なタイプの生徒の数学・英語といった積み上げ型の科目において起こりやすい。日々の学習や定期試験前の対策もこなすが、その場その場の課題をこなすことで精一杯で、しばらく時間が経つと理解したはずの内容を忘れてしまうケースが多い。
それでも頑張ってなんとか平均点近くの得点をするが、なまじ成績が悪くないため、基礎が疎かになったまま放置されてしまう。このまま学年が上がると大学受験において一般受験の選択肢を失ってしまいかねない。
そうなる前に根本的な解決を目指すべきだ。
1-3.勉強するべきだと感じているが、時間の確保ができず結局勉強しない
子どもは勉強する必要性を感じているが、部活や趣味などやりたいことがある中で勉強時間の確保がうまくできず、結局勉強しないことが続いている場合も塾に通った方が良いかもしれない。
将来を見据え、今自分がするべきことを考え、生活を省みて、時間を確保し勉強を実行することは、中高生にとってとても難しい。(大人であってもとても難しい)
そんなとき保護者が相談相手になって解決できれば理想的だ。しかし、思春期を迎えた子どもと上手にコミュニケーションをとり導くことは中々難しいことだ。以下のような問題が生じ、建設的な話ができなかったり、喧嘩になってしまいがちだ。
- 子どもは勉強しているというが親から見ると全くしていないように見える
- 成績や進路についての子どもの話に真剣味を感じられない
- 成績や進路について子どもが話をしたがらない
とはいえ、塾で生徒と接していて思うのは、子どもは決して進路について無関心だったり不真面目に考えているわけではないということだ。
子どもの話に耳を傾け、考えを深化し、決断を促すような第三者の存在が、子どもの進路決定や勉強を実行する上でプラスに働く可能性があるだろう。二次的な影響として、親子間のコミュニケーションもスムーズになるかもしれない。
2.塾に通う4つのメリット
ここで塾に通うことによって得られるメリットを整理しておこう。中高一貫校生が塾に通うメリットとして以下の4つが挙げられる。
- 学校の進度に合った指導を受けられる
- 学力に合わせて復習することができる
- 勉強を始めるきっかけと場所を得られる
- 第三者に相談できる
2-1.学校の進度に合った指導を受けられる
1つ目は学校の進度に合わせた指導を受けられることだ。
中高一貫校は先取りカリキュラムを実施していることが多い。進むスピードは学校によって異なるが、中学3年間の内容を2年〜2年半で終えて、高校の内容に入ることが多い。進む順番も公立中学とは異なる。
個別に対応してもらえる塾に通えば、学校の進度や定期テストに合わせて学習内容を組んでもらい対策することが可能だ。
2-2.学力に合わせた学習指導を受けられる
2つ目は現在の学力に合わせて必要な学習指導を受けられることだ。
お子さんの学習課題は、今学校で学習している内容かもしれないし、数年前に習ったことかもしれない。場合によっては小学校の内容から復習が必要なこともあるだろう。
塾に通えば、先生が生徒の学習状況を分析し、どこで躓いているか、どこを復習すべきかを教えてもらい適切な対策をとってもらえる。
2-3.勉強を始めるきっかけと場所を得られる
3つ目は勉強できるきっかけと場所が得られることだ。
前述のように、保護者からすると全くやる気がなさそうに見える生徒でも、実は心の中では「勉強しなきゃ」と思っているケースは多い。しかし、現実にはスマホやテレビをはじめとした様々な環境要因で理想通りに勉強できないことがほとんどだ。子どもは理想と現実のギャップに嫌気がさしてますます勉強する意欲を失ってしまう。また、親子が衝突してしまう原因にもなりかねない。
塾という「勉強する場所」に来れば、家では勉強を始められない生徒でも自然と勉強を始めることができる。
2-4.親や教師以外の他者と関わる機会ができる
4つ目は親や教師以外の他者と関わる機会ができることだ。
一般に学校は閉鎖的なものだ。特に私立中高一貫校の場合は6年間環境が変わらない。それにはメリットもあるが、新しい人や環境と出会う機会は少なくなってしまう。
中高生は不安定な存在だ。子供の世界と大人の世界との間で矛盾や歪みを感じ、社会に対する反発心を抱えながらああでもないこうでもないと試行錯誤して自分のアイデンティティを確立させていく時期だ。
だから大抵の子どもは、勉強についても「しっかりやるべきだ」という気持ちと「勉強なんてやってられるか」という両義的な気持ちをもっている。早熟で社会的な規範意識を強く持っている生徒ほどこのような板挟みにあっている。
そのような気持ちと折り合いをつけるためには、親でも教師でもない他者に接し、新たな視点を得たり興味関心の幅を広げたりしながら、自身を社会に対してひらくことが必要になる。
塾に通うことで、そのような機会を得られる可能性がある。
3.デメリットとリスク
塾に通うことで生じるデメリットやリスクについても確認しておこう。以下の3つが挙げられるだろう。
- スケジュールが詰まりすぎる
- 塾の指導目標やカリキュラムが合わない
- 費用対効果が合わないリスク
3-1.スケジュールが詰まりすぎる
私立中高一貫生は一般に通学時間が長く、学校からの課題量も多い傾向にある。部活や課外活動をしている生徒は既に忙しい日々を送っているだろう。その上、さらに塾の予定を入れてスケジュールを詰めるべきかは慎重に検討するべきだ。
たとえば、塾に通うことで睡眠時間が短くなり、学校や塾の授業で眠くなってしまうようでは本末転倒だ。生活の中にどれくらい余白の時間をとるか、最低限キープしておくべき成績の水準はどのくらいか親子間で十分に話しておこう。
また、そもそも学校の課題で苦労しているのに塾の課題が追加されると、消化しきれなくなってしまう恐れがある。適切な量の課題を学校と連動して出してくれる塾であるか、体験授業などの際によく確認したい。
3-2.塾の指導目標やカリキュラムが合わない
集団塾や専門塾は指導目標やカリキュラムが予め決まっていることも多い。それらの塾は目的がぴったり合えば頼れる存在であるが、学校の成績に関する課題を抱えた私立中高一貫生に合うとは限らない。
体験や学習相談時に、お子さんの現状や課題を十分に伝えるとともに、塾側にもどんな指導をしているのかしっかり確認しておこう。
3-3.費用対効果が合わないリスク
時間とお金をかけて塾に通っているのに効果が感じられないということは避けたいことだ。
しかしながら、塾の費用対効果を予め計算することは簡単ではないうえに、できたとしても予想通りの結果にはならない可能性が高い。
大切なことは、まず教室長が信頼のおける人物であること。そして利用者として、自身の気持ちや要望、お子さんの家での様子などを十分に伝えることだ。熱心な担当者であれば、お子さんのことを十分に理解した上で、何を試すべきか提案してくれるはずだ。(このような場合に増コマしか提案しない塾には注意した方が良い)
このような健全なコミュニケーションが塾-家庭間で行われている限り、費用対効果が合わないリスクは小さくなるだろう。
4.通塾が効果的だったケース
ここで、弊塾の指導ケースのうち効果的だったものを2つ紹介する。
4-1.Aさんの場合
Aさんは横浜市内の私立中高一貫校に通う中学3年生。それまで良かった成績がだんだん悪くなってきたところで、わからないことを解決するために塾に通い始める。
学校帰りに塾によってわからないところを解決することで、自習がうまく回るようになった。また、大量の課題や小テストに対してどこに力を入れるべきかなどをこまめに相談。進路の方向性についても学部学科の選択・推薦か一般かの選択など紆余曲折あるなか適切なサポートを受けることができた。
目標の一つであった成績を高水準で維持したことで、最終的には指定校推薦で志望大学に進学し、現在は充実した大学生活を送っている。
4-2.Bくんの場合
Bくんは都内私立中高一貫校に通っている中学3年生。国立大学に進学してほしいという保護者の希望はあったが、入塾時点では実力は全く伴っておらず学習習慣もついていなかった。さらには、留学の予定があり、1年間日本の高校の授業を受けることはできない予定だ。
入塾後しばらくは明確な成績の向上はみられなかったが、通塾するうちにだんだんと数学への興味に目覚めていった。留学中は自ら数学Ⅲの教科書を持ち込むほどになった。大学受験勉強も積極的に取り組み、最終的には関西の名門私立大学に進学した。
現在はとある名門国立大学の大学院生として数学の研究を行っている。通っている学校の偏差値がそれほど高くなくとも、興味の花が開くことで才能を開花させることもあるのだ。
5.通塾するならいつから?
では具体的に、いつから・どのタイミングで塾に通うべきだろうか。ここまで書いてきたことをまとめた以下のリストに当てはまる場合は検討してみることをおすすめする。
- 定期テストの得点が3回連続で平均点を10点以上下回る
- 定期テストの順位 (or偏差値)が3回連続で下がっている
- それなりに勉強しているのに結果がついてこないと感じるようになった
- やりたいことが多く何事にも集中して取り組めていない
- 勉強しようと思っていても実際には勉強しない(あるいは極端に短い勉強時間になる)
参考までに、中学3年生全体の通塾率は約60%で、公立中学生で68.9%、私立中学生で54.8%が1年間の中で学習塾を利用している。
▼参考記事
6.塾選びの2つのポイント
最後に、実際に塾を選ぶときに留意しておいてほしいポイントを2つお伝えする。
6-1.課題を整理しよう
塾を探しはじめるときに、まずは現状の課題を思いつく限り書き出してみよう。課題が明確になり、場合によっては塾に行かずに、勉強方法を工夫したり環境を改善することで解決できるかもしれない。
また、書き出した内容は塾の体験授業を受ける際にぜひ持って行ってみよう。全ての生徒に言えることではあるが、とりわけ中高一貫生は成績が低迷している原因にさまざまな要因が絡み合っていることが多い。
塾としては、できるだけ様々な視点から成績を向上させる手立てを打っていきたいと考えているため、生徒保護者視点の課題リストは指導の助けになる。
6-2.本人の通塾意思について
塾に通うにあたって本人に通塾意思があることは重要だ。親が勝手に塾通いを決めると、子どもは納得できず、前向きに勉強することが難しくなってしまうだろう。塾に通う前に子供の通塾意志を確認することは必須といえる。
とはいえ子どもの「通塾意思」は様々だ。当初はそこまで強い意志を持っていなかった生徒が、塾に通う中で次第に意識を高めていくというのはしばしばあることだ。重要なのは、実際に勉強することで生徒が持っている小さな「勉強への意思」を育てることだ。
だから保護者はお子さんの意思が完全に育つまで待った方が良いと考える必要はない。保護者とお子さんとのコミュニケーションの中で、両者が納得できるタイミングを見つけることが大切だ。
私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。
受験をはじめとした勉強において、固定的なカリキュラムや決まった勉強方法に生徒を適応させることに意識が向きがちです。
私たちはそれらを大切にすると同時に「生徒」を中心とした学習方法を提案し実践することが、生徒が勉強を楽しむことに繋がり、学力の向上につながると考えています。
「自分に合ったやり方で勉強したい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。