中学受験の基礎知識

関東学院中学の入試問題傾向と対策【2020年度】

傾向と対策

この記事では関東学院中学校の入試概要、合格者平均点と最低点、国語と算数の問題傾向と対策について解説します。

入試概要

入試日程・科目・倍率

2019年度の関東学院中学の入試は一期A/B/Cと二期の4つの日程に分かれています。2019年度の概要は以下の通りです。(帰国生入試については関東学院中学のページをご覧ください。)

関東学院中学の入試概要(2019年度)

日程 日時 入試科目 募集数 受験数 合格数 倍率
一期A 2/1(午前) 国算理社 60 230 114 2.0
一期B 2/1(午後) 国算 60 386 192 2.0
一期C 2/3 国算理社 60 298 111 2.7
二期 2/6 国算理社 20 172 20 8.6

募集人数は一期の3日程がそれぞれ60名ずつ、二期は少なめで20名となっています。一期の中ではB日程の受験者数が多いですが、その分合格者も多くなっています。

入試科目は一期Bのみ国語・算数の2科目、その他の日程は国語・算数・理科・社会の4科目となっています。

倍率の推移

関東学院中学の入試概要(2019年度)
日程 2016 2017 2018 2019
一期A 1.5 2.0 1.8 2.0
一期B 1.4 1.8 2.1 2.0
一期C 1.4 1.9 2.0 2.7
二期 2.4 4.3 3.1 8.6

一期はA日程、B日程、C日程と概ね2倍前後で推移していますが、2019年一期Cのみ2.7倍と倍率が高くなっています。二期の倍率は2.4倍から8.6倍とばらつきが多く、年によって大きく異なっています。日程が後ろになればなるほど不確定要素が大きくなるため倍率の予想は難しくなりますが、全体的に見ても2016年以降の倍率はやや上昇傾向にあるといえるでしょう。

全科目の配点/合格者平均点/受験者平均点

ここからは一期A日程・一期B日程についてより詳しくみていきます。

一期A日程

一期A日程の配点は国・算が各100点、理・社が各60点の計320点満点です。合格者最低点、受験者平均点は以下になります。

一期A日程の平均点/最高点/最低点(配点:320点)
年度 2016 2017 2018 2019
合格者平均点 174.3点(54.5%) 194.1点(60.7%) 197.7点(61.8%) 194.7点(60.8%)
受験者平均点 152.2点(47.6%) 163.5点(51.1%) 168.8点(52.8%) 167.8点(52.4%)
合格者最高点 232点(72.5%) 258点(80.6%) 266点(83.1%) 254点(79.4%)
合格者最低点 134点(41.9%) 166点(51.9%) 168点(52.5%) 171点(53.4%)

2016年は他の年度と比べ、合格者平均点で20点ほど、受験者平均点で10点ほど低くなっています。倍率が低かったことと関係があるかもしれません。2017から2019の間は合格者平均点、受験者平均点ともに安定しています。合格者平均点に届くための必要な得点率の目安は60%強となっています。

一期B日程

一期B日程の配点は国・算が各100点の計200点満点です。合格者最低点、受験者平均点は以下になります。

一期B日程の合格最低点/受験者平均点(配点:320点)
年度 2016 2017 2018 2019
合格者平均点 117.0点(58.5%) 115.3点(57.7%) 140.8点(70.4%) 140.4点(70.2%)
受験者平均点 102.0点(51.0%) 95.7点(47.9%) 113.4点(56.7%) 118.1点(59.1%)
合格者最高点 168点(84.0%) 174点(87.0%) 183点(91.5%) 192点(96.0%)
合格者最低点 84点(42.0%) 90点(45.0%) 119点(59.5%) 120点(60.0%)

2018年は2017年と比べ合格者最低点が25点も上昇しており2019年も同水準となっています。合格者平均点に届くための必要な得点率の目安は約70%となっています。

国語の傾向と対策

配点/平均点/合格最低点

関東学院中学入試の国語の平均点/最高点/最低点(配点:100点)
2016 2017 2018 2019
一期A日程 合格者平均点 49.1点 61.7点 61.5点 60.3点
受験者平均点 46.6点 54.2点 55.2点 54.8点
一期B日程 合格者平均点 48.0点 65.2点 68.1点 70.3点
受験者平均点 43.7点 55.7点 57.5点 60.7点

国語の合格者平均点と受験者平均点の差は5~10点となっています。平均点が高い方が合格者平均と受験者平均の差が大きくなる傾向にあることがわかります。

問題構成

大問2問で説明文と物語文が一題ずつ出題されます。

漢字・語句・文法等の独立した大問はありませんが、説明文か物語文のどちらかで漢字の書き取りが5問出題されています。

B日程では2018年、2019年と2年連続で100字程度の条件作文が出題されています。

配点は漢字は2点、接続詞や語彙の問題は3~4点、内容理解や文章表現を問う選択問題が3~6点、記述の書きぬきが4~6点、書きぬきでない記述が5~8点、作文が8~9点となっています。

説明文の出題傾向

本文の出典

説明文の本文の出典は以下の通りです。

関東学院中学入試における説明文の出典(2016~2019)
日程 年度 出典
一期A日程 2019 見田宗介『社会学入門』
2018 三井いわね『ヒトは宇宙で進化する』
2017 志村史夫『文系?理系?人生を豊かにするヒント』
一期B日程 2019 玄田有史『希望のつくり方』
2018 岡田美智男『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション』
2017 稲垣栄洋『面白くて眠れなくなる植物学』
一期C日程 2019 伊藤亜紗『目の見えない人は世界をどう見ているのか』
2018 松井孝典『文明は〈見えない世界〉がつくる』
2017 鷲田清一『死なないでいる理由』

説明文の設問

説明文の小問数は6~8問(漢字を除く)となっています。小問の中でさらに数問の設問に分かれていることもあり、設問としては6~13問出題されています。

そのうち記述式の小問は2問ほど、設問数にすると2~4問となります。記述問題のうち半分ほどは「書き抜き」問題です。

記述式・選択式を問わず設問の内容はスタンダードなものが出題されています。接続後の問題、本文の論の原因-理由関係を読み解く問題、指示語や言い換え表現に関する問題、本文全体の内容を読み解く問題などが毎回のように出題されています。

そのなかで2019年B日程に出題された、本文中に登場するデータを表すにはどの種類のグラフが適切かを問う問題は珍しい出題です。新しい傾向の問題といえるようになるかもしれません。(一回だけの出題なのでまだなんともいえません。)

2018年のB日程では、筆者と協働してロボットを開発することになった設定で、筆者の考えに合ったロボットのアイデアを100字以内で説明する問題が出題されています。

物語文の出題傾向

本文の出典

物語文の本文の出典は以下の通りです。

関東学院中学入試における物語文の出典(2016~2019)
日程 年度 出典
一期A日程 2019 朝比奈蓉子『竜の座卓』
2018 伊集院静『古備前』
2017 今井恭子『歩き出す夏』
一期B日程 2019 辻村深月『雪の降る道』
2018 朝井リョウ『スペードの3』
2017 蒼沼洋人『さくらいろの季節』
一期C日程 2019 西田俊也『ハルと歩いた』
2018 岩瀬成子『ピース・ヴィレッジ』
2017 椰月美智子『しずかな日々』

物語文の設問

物語文の小問数は7~9問(漢字を除く)となっています。小問の中でさらに数問の設問に分かれていることもあり、設問としては7~12問出題されています。

そのうち記述式の小問は2~4問ほど、設問数にしても同じく2~4問となります。記述問題のうち半分ほどは「書き抜き」問題です。

記述式・選択式を問わず設問の内容はスタンダードなものが出題されています。年によって数問、語彙や表現技法に関する問題が出題されていますが、その他はほぼ全て登場人物の心情を読み取る問題となっています。

2019年のB日程では、本文に出てきた2つの童話についてそれらを登場させた意味を100字程度(問題で指定されていないため解答欄から推測)で書く問題が出題されています。参考文献として2つの童話のあらすじがそれぞれ800字程度で用意されています。これは非常に難易度が高い出題となりました。(ただしこの問題の配点は8点であり、この問題が手付かずでも他ができれば合格は十分に可能です。)

読解問題の対策

以上のことから、特別なトレーニングが必要なわけではなく、スタンダードで基礎的な学習を継続するのが効果的だと思われます。音読をする、知らない言葉を調べる習慣をつけるなど「読む力」をつける、短い文章からはじめてテーマ別に練習し「解く力」をつけるといったところでしょうか。

説明文の文章題には小学生にはあまり馴染みのないテーマや語彙も出てきます。本人の興味の範囲内で大人(年上)の世界に触れられるものを日常生活の中に忍ばせることができると自然と語彙や馴染みのあるテーマが増えていくのではないかと思います。

ベタにニュースや新聞もそうだと思いますし、雑誌(音楽が好きなら音楽雑誌とか科学が好きなら科学雑誌とか)もいいと思いますし、ゲームや家電の取扱説明書とか、チラシなんかもじわじわと効果があるのではないかと思っています。

また、わからない言葉や表現と出会った時にそれを安全に解決できる環境も重要です。そういうことを聞ける年長者がそばにいるのがベストでしょうが、いつもそうはいかないでしょうからAlexa(アマゾンエコーのAI)あたりがやってくれるといいなと思います。

漢字の傾向と対策

関東学院中学では毎年必ず漢字の書き取り問題が5問、10点分出題されています。

以下に過去3年間の一期A日程・一期B日程に出題されている計30題の内容が何年生に習う漢字なのかをまとめました。熟語で出題されている場合は、高い方の学年に分類しています。

関東学院中学入試で出題された漢字と履修学年(2017~2019)
習う学年 A日程 B日程
3年生 庭、薬
4年生 日課、無残、発達 他力本願、健康
5年生 罪、講堂、桜、平均、適用、余地 過程、伝統、支持、無造作、技術、油断、輸送、効率
6年生 胸、翌日、対策 創設、感激、展示、内臓、負担

A日程よりもB日程の方が高学年で習う漢字の出題が多い、A日程一文字だけが答えとなる出題が5つあるのに対しB日程は一つもないなどA日程と比べB日程の方が難易度が高いことがわかります。

出題される漢字は小学校の中学年〜高学年で習うものであり、特別難しいものはありません。基礎的な練習を積み重ねることで確実に得点できるようになると思われます。

算数の傾向と対策

配点/合格者平均点/受験者平均点

関東学院中学入試の算数の合格最低点/受験者平均点(配点:100点)
2016 2017 2018 2019
一期A日程 合格者平均点 51.4点 56.3点 65.1点 62.0点
受験者平均点 41.3点 42.6点 53.2点 49.4点
一期B日程 合格者平均点 69.0点 50.1点 72.7点 70.1点
受験者平均点 58.3点 40.0点 55.9点 57.4点

算数の合格者平均点と受験者平均点の差は10~15点となっています。国語と比べて平均して差が5点ほど大きくなっています。よく言われるように算数の出来不出来が中学受験の合否に大きな影響を与えていることがわかります。

問題構成

最近3年の問題構成は統一されており、大問8問構成で設問数は13~14問となっています。

配点は大問1から大問7までは8点問題が10問で計80点分、最後の大問8が20点分となります。

傾向と対策

計算

大問1では計算問題が4問出題されています。難しい問題ではありませんが、計算式の整理や同じものをまとめる工夫のしかたが身についていないと間違えるリスクが高まります。ここを全問正解できれば32点確保できるので確実に得点したいところです。

特殊算等の文章題

大問2~7のうち3~4問ほどは特殊算等の文章題です。内容は多くの中学受験のテキストでは基本問題に収録されるような問題がほとんどです。

図形

大問2~7のうち1~2問が図形の問題です。平面図形では長さ・角度・面積など、立体図形では最短距離・体積・影の問題などが出題されています。

大問8

大問8は3~4つの小問に分かれています。テーマは以下のようになっています。

関東学院中学入試における算数の大問8のテーマ(2016~2019)
日程 年度 出典
一期A日程 2019 階段状の容器の水位に関する問題
2018 点の移動に伴う直角三角形の面積の変化に関する問題
2017 正方形と円の面積に関する問題
一期B日程 2019 扇型と三角形の面積に関する問題
2018 直方体を入れた容器の水位変化に関する問題
2017 水槽につけた管で水を出し入れする問題

どの問題も図形的な考察が必ず必要なものになっています。2019年のA日程・2018年のB日程・2017年のB日程と水に関する問題が出題されているのも特徴的です。水の出し入れや推移に関する問題は、図形・速さ・グラフ・といったテーマが重なる総合的な問題となっており苦手とする受験生も多いかと思います。

さて、この大問8を取りにいくべきかどうかですが、やはり(1)まで、場合によっては(2)までは確実な得点源とするべきです。理由はシンプルで(1)や(2)は他の大問と比べて難易度が低いことが多いからです。ただし、大問全体として問題文を読むコストが高いので、うっかり時間を使いすぎてしないよう類題や過去問でしっかり練習しておきたいところです。

また、最後の問題は難易度が高いことが多いです。練習や復習をする際には、他の問題が全部できるようになるまで、最後の問題はないものと割り切ってしまっても良いかと思います。

まとめ

以上、関東学院中学の関東学院中学校の入試概要、国語と算数の問題傾向と対策について解説しました。

まとめると

  • 一期の倍率は2倍程度
  • 合格ラインは60%ほど
  • 設問はスタンダード、対策もスタンダートに

といったところです。

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この記事を書いた人

坂本 諒

ティーシャル代表。1988年福岡生まれ。大学に進学した2006年から塾講師をはじめ、2013年に個別指導塾ティーシャルを横浜に開校。おもに数学・物理・化学などを担当。

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