「自己評価」があるから自分と向き合える、フィンランドの教育

フィンランドのサンセット

フィンランドスタディーツアーで感じた5つのキーワードシリーズも、今回の記事で最後です。

成績は自分で決める

フィンランドの学校では、中間や期末といったテストはありません。生徒の成績は自己評価がベースになります。

自己評価をしたらそのまま成績になるわけではなく、自分でつけた評価について先生と面談で話し合い、一緒に最終的な成績を決めます。

小学校から中学校まで、毎年毎期、自己評価で成績を決めます。さらに小学校のうちから「自分が進学するのかどうか」まで自分で決定します。つまり選んで留年する生徒もいるのです。

※15歳以下で留年したことがある割合がフィンランドでは約3%

今回のツアーで普通科高校には見学に行っていませんが、おそらく高校にも何かしらの自己評価制度はあるのかなと予想します。

中学校時点での成績は普通科高校に進学する場合には10段階評価で平均7以上が必要なので、成績が進学に無関係ではありません。

そうなるといろいろな疑問が出てきそうですね。

・自分にとても甘い評価を出したらどうするの?
・どうやって自分を評価するの?

1、自分にとても甘い評価を出したらどうするの?

そういう場合には先生との話し合いで解決します。

おそらく話し合いで認識のズレを確認していくのだと思いますが、そもそもそういう生徒はほとんどいないということをフィンランドの先生は話していました。

自己評価と先生との面談を繰り返すことで、自分に正直ではない評価をしても何も得がないことを悟るのかなと思います。

2、どうやって自分を評価するの?

まず学期の最初に空の成績表を生徒たちに配ってノートに貼ってもらうそうです。

すると生徒は成績の評価項目には何があるのか知ることが出来ますね。さらにノートに貼っておけば、毎日の授業でふとしたときに意識できますね。

その空の成績表をいつ埋めるのかは忘れてしまいました。

おそらく授業を進めながらときどき成績表を埋めてもらったり、授業の中で埋めるタイミングがなかった評価項目は学期末に埋めてもらって、そして先生と面談するのでしょう。

成長を実感する機会としての自己評価

なぜ5つのキーワードの中に「自己評価」を入れたのか?

ここからが今回の記事で語りたい本題です。

幼い頃から自己評価する経験を積み重ねておくことは、自分がどんな人間かを考える機会になっていると思うんですね。

また生徒は自分が成長する存在であることを自然と認識すると思います。2〜3ヶ月前と比べて自分はどんな点で成長したのかを考える経験を繰り返すわけですから。

自分が成長するという前提であれば、これからどんな人生を歩んでいくのかということを考えるときにストーリーを描きやすくなると思うんですね。今の自分で考えるのではなく、「こういう成長をしたいから、こんな経験をしておこう。そしてこんな人間になろう。」というイメージが湧きやすくなると思います。

ちょっと妄想で先生と生徒の会話を想像してみました。

「この学期で何が出来るようになったのかな? もっと素敵な自分になるために次は何をしたい?」

もし面談でこんな会話をしているなら、生徒は数ヶ月で経験したこと・成長したことを認識して自分が成長していく存在であることを自然と受け入れると思います。

それはきっと自己肯定感につながります。しかも過去の自分と比較するので、ほとんどどんな生徒にも成長を感じてもらうことが出来るでしょう。そう考えると自己評価について先生と話す時間は、とっても素敵な時間だと思いませんか?将来につながる大切な時間だと思います。

日本ではどうでしょうか?

日本は自己評価制度のような心を育てる教育は不十分だと思います。

日本の評価制度ではテストの点数で自分が他人よりも出来ないことを認識する生徒が必ずいます。
もしクラスでビリの生徒は、その成績が人生を決めるんでしょうか?

全く違いますね。そうあるべきではないと思います。

僕は出来るようになるまで学び続け、それから社会に出ればいいと思います。
フィンランドでは「何歳までに何が出来るようにならなくてはならない」と考える文化がありません。

資格と能力の関係と同じように、学年と能力がマッチしているべきで、出来ないことをそのままにして進学することはよくないという考え方が浸透しています。

子供の頃が人と比べてどんな成績だろうと、社会に貢献しひとりひとりが幸せを感じることが出来るように社会の制度が整えられるべきだと思います。

現場で教えている者として、もし今まで理解できなかったことが勉強して理解出来るようになったなら、生徒にはその成長を喜んで欲しいと思います。その喜びを理解してくれる大人はどれくらいいるでしょうか?

日本の子供たちみんなが自分が成長する存在であることをよく理解し、自分の生き方を描くことができるなら・・ 日本は今よりもっといい国になる気がするんです。

僕らTcialも教育機関として、自分の成長を前提として子供たちが将来をイメージできるよう出来ることをしていきたいですね。

私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。

一般的な学習塾では、予め決まったカリキュラムに生徒を適応させることが重視されています。

私たちにとってもカリキュラムは大切なものですが、勉強を通じて生徒自身が「どう勉強したいか」考えて行動できるようになることが、勉強を楽しむことに繋がり、長期的な学力の向上に貢献すると考えています。

「勉強する力をつけたい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。

この記事を書いた人

深川 道陽

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