塾の採用担当が講師採用面接で重視している8つの観点

面接する人

塾講師採用の選考には面接がつきものです。

この記事では、塾を10年以上運営し採用面接を行なっている筆者が面接を通じて応募者の何を知りたいと思っているかについて書きました。小規模な個別指導塾における話ではありますが、大手の個別指導塾・集団塾への応募を考えている人にも参考になると思います。

1. 率直でオープンなコミュニケーションができるか

個別指導塾に通う生徒の大きなメリットの一つは、自身の学力や性格などを理解している人に、わからないことを質問をしたり、悩みを相談したり、勉強方法を提案してもらったりできることです。

それらの機能が十分に機能するためには、生徒と講師が互いのことをよく理解し合っている必要があります。講師が生徒のことを理解することはもちろん、生徒も講師のことを理解している状態の方が効果が出やすいと考えています。

ですから、講師は生徒に対して率直かつオープンに自分の考えや気持ちを伝えることができる必要があります。とはいっても、ただ正直に思ったことを伝えられれば良いというわけではなく、自身の発言が相手にどのような影響を及ぼすかをよく考えた上で伝えなければなりません。

採用面接では、応募者にそういった資質が十分に備わっているかを判断したいと考えています。面接は緊張すると思いますが、できるだけリラックスして、率直なことばを話してくれると嬉しく思います。

オープンに話してくれた人は、光るところが見つかりやすくなりますし、多少の粗があったとしても、それを改善していけそうか判断することができます。けれども、オープンにコミュニケーションができなかった人は「この人はよくわからなかった。」と不採用となってしまう可能性が高いです。

もちろん、採用応募者が率直に・オープンに振る舞えるかどうかは我々採用側に依るところも大きいでしょう。応募者が十分にリラックスして面接に臨んでもらえるようにできればと思っています。

2. 志望動機

志望動機はどの塾の面接でも必ず聞かれることかと思います。弊塾でも必ず聞いています。

弊塾では、まずどんなきっかけで弊塾を知ったかを聞きます。きっかけは「家が近いから。」でもかまいません。応募の際にはHPなどを見てもらっていると思いますから、どんなところに興味を持って応募して来てくれたかということを聞きたいです。

その後、そもそも塾講師をしようと思ったのいつからとか、どうして興味を持ったとか、今までの経験の中で塾講師の仕事と関係ありそうな経験は何があるかなどをお話ししてもらうために、いろいろ質問させてもらいます。

志望動機に正解はありません。また、大仰なことを言う必要はありませんが、応募者自身の経験に関連させた内容が望ましいです。

志望動機は、まずは応募者の方に考えてきてもらいたいことではありますが、面接を通じて発見するものでもあると考えています。ぜひ面接で色々なことを話してもらいたいと思います。

3. 応募する塾の基本情報を知っているか

ひとくちに塾といっても色々なタイプがあります。集団か個別か・受験メインか補習メインか・指導方針・対象学年など、応募する塾の基本的な情報を知った上で面接に臨むと良いでしょう。

どんな点に共感したとか、疑問点があるとか、より詳しく聞きたいなどを伝えてもらえると面接がスムーズに進むかと思います。

最低限応募する塾のウェブサイトのアバウトページに目を通しておくとよいでしょう。 

4. 学力

学習指導において学力は重要です。その時学習している内容だけでなく、その先まで理解している、また、他の科目との連関をイメージできる方が指導の質が上がると考えています。

ただし、学力=指導力ではありません。講師が生徒を成長させることができる、結果を出すことができるかは、学力も含めた総合的な力が必要です。学力は結果を出すための必要条件といえるでしょう。

また、小中学生や高校1・2年生がいる個別指導塾においては、担当できる科目が多い講師は重宝されます。生徒と講師のマッチングやスケジュールの調整において柔軟性が高くなるからです。

では、得意科目が一つしかない講師が採用されないかというとそうではありません。得意な科目が少ない方でも、1教科のスペシャリストとして活躍していただけます。ただし、個別指導塾の特性上、たくさんの生徒を担当していただくまで時間がかかってしまう可能性があります。

5. これまでの学習経験

講師応募者自身のこれまでの学びの経験については必ず聞くようにしています。受験など勉強面だけでなく、部活などの課外活動や趣味に関連して話してもらうこともあります。

これまで経験の中で、どんなことを考え、どんな人に影響を受け、どんな失敗や成功をして、何を重要だと考えているのかなどを話してもらっています。

また、応募者自身の受験経験を話してもらうことで、受験生への具体的な学習指導をする力があるかもみています。実際の学習指導では各講師が連携して、指導方針を立てたり各種アドバイスを行います。各講師の学習経験を知っておく方がスムーズに連携できると考えています。

6. 現在の興味関心や将来やりたいこと

現在の興味関心、これからやりたいことについても質問しています。

生徒が自身の持つ興味関心を、日々の勉強の理解に活かしたり、具体的な学習目標や進路選択と結びつけることは、容易なことではありません。弊塾ではこれを助けることも講師の重要な役割だと考えています。

ですから、生徒への学習指導・進路指導のために、講師にも自身の興味関心を生徒に伝えるための様々な引き出しを持っておいて欲しいと考えています。

また、講師自身が現在の興味関心や将来やりたいことを生徒に伝えることで、一つのロールモデルになることも可能なのではないかと思います。

7. 入りたい曜日や日数のマッチング

週に何日働けるか、働きたいかということがマッチすることも重要です。

講師と塾の希望が合わないと「週1,2回だけ働きたいのに、教室長がもっと出勤するようにしつこく言ってくる。」とか「週3日以上出勤したいのに、いつまでたっても週1日しか生徒を担当させてもらえない。」といった状態になってしまう恐れがあります。

ちなみに「週1日だけしか出勤できない、土日に出勤できない。」ではやる気が疑われると書いている記事も見かけましたが、弊塾では特にそういう考えはありません。

8. 安心して仕事を任せられるか

個別指導塾の授業は生徒・保護者をはじめとする関係者の信頼の上に成り立っています。

信頼関係を築くためのベースとして以下の点を見ています。

  • 嘘をつかない
  • 他人を傷つける発言をしない
  • 取り繕いや非合理的な言い訳をしない
  • 思考がネガティブすぎない
  • 遅刻しない(致し方ない理由がある場合は即時連絡をする)
  • 相手の立場になって考えることができる

上記は特定の質問で測れるわけではありませんが、応募から面接までの全てのプロセスでリスクがあると判断されたら採用される可能性は低くなるでしょう。

採用面接時の服装について

最初の面接時の服装は、スーツが推奨(というかスーツが無難だと)されていることが多いようです。応募した塾のスタッフや講師が普段スーツで仕事をしている場合は、やはりスーツを着用しておくことで、採用者側が実際に働いている状態をイメージしやすくなるためスーツが望ましいと思います。

弊塾の場合はスーツ着用の義務はありませんので、初回の面接は普段の格好でも構いません。実際に働くことになった場合は規定をお伝えいたします。

余談ですが、教室によっては靴を脱いで勤務することもあります。スーツのスラックスの裾の長さは革靴を履いた状態で合わせるため、靴なしだとどうしても裾が傷みやすくなります。大学生でスーツで働く方は、入学式のときに買った大切なスーツの裾を傷めないよう気をつけてください。

採用可否はどう決まるか

ここまで頻度が高い話題について、弊塾の考えをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

弊塾では最終的にスタッフ会議で採用可否を決めています。採用基準の詳細はお伝えできませんが、一言でいうならば信頼して生徒を任せるイメージが湧くかどうかによって決まります。

実際の面接では塾によって質問が異なったり、同じ質問でも違う観点で評価することになるでしょう。紋切り型の回答を用意しておくよりは、ご自身なりの答えを準備しておくと嬉しいです。

最後に、個別の採用・非採用の判断は、他の講師の採用状況と生徒の募集状況に左右されます。採用には至らなかったとしても、それは必ずしも応募者の能力不足によるものとは限らないとうことをお伝えしておきます。

私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。

一般的な学習塾では、予め決まったカリキュラムに生徒を適応させることが重視されています。

私たちにとってもカリキュラムは大切なものですが、勉強を通じて生徒自身が「どう勉強したいか」考えて行動できるようになることが、勉強を楽しむことに繋がり、長期的な学力の向上に貢献すると考えています。

「勉強する力をつけたい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。

この記事を書いた人

坂本 諒

ティーシャル代表。数学、物理、化学などを担当。

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