塾講師バイトの面接前に知っておきたい10のこと

面接する人

弊塾のこれまでのアルバイト講師採用実績は、大学の掲示板経由・卒業生や在籍講師からの紹介・ホームページからの直接応募がほとんどであり、塾講師求人サイトなどは利用したことがありません。少ない採用チャネルですが、それでも多くの方に応募していただきました。

私が学生のときに5年ほど働いていたチェーンの個別指導塾では、講師の入れ替わりがそれなりの頻度であり、名前しか聞いたことがない講師がいたり、いつの間にかやめている講師がいるということもしばしばでした。

弊塾のように規模が小さい塾は、採用する講師も年に数人、入れ替わりも少ないです。それゆえ、講師を一人採用することの教室運営上のインパクトは大きいものです。ですから、採用の可否を決める面接は教室運営をする上でとても重要です。

この記事では、我々がアルバイト講師の採用面接のポイントや採用可否のプロセスで考えていることをまとめました。小規模の個別指導塾における話ではありますが、チェーンの個別指導塾や集団塾への応募を考えている人にも参考になるのではないかと思います。

1. 率直でオープンなコミュニケーション

生徒にとって個別指導塾に通う最大のメリットは、自身のことを十分に理解した人に、勉強の質問や相談をしたり、何をすべきか提案してもらったりできることです。

そのためには、生徒と講師が互いのことをよく理解し合っている必要があります。講師が一方的に生徒のことを理解するだけでなく、生徒も講師のことをある程度理解しているということも重要だと思っています。

ですから、少なくとも講師は生徒に対してオープンに自分の考えや気持ちを伝えることができる必要があります。

採用面接では、応募者にそういった資質が十分に備わっているかを判断したいと考えています。面接は緊張すると思いますが、できるだけリラックスして、率直なことばを話してくれると嬉しく思います。

オープンに話してくれた人は、光るところが見つかりやすくなりますし、多少の粗があったとしても、それを改善していけそうか判断することができます。けれども、オープンにコミュニケーションができなかった人は「この人はよくわからなかったね。」で不採用となってしまう可能性が高いです。

もちろん、採用応募者が率直に・オープンに振る舞えるかどうかは我々採用側に依るところも大きいと思っています。応募者が十分にリラックスして面接に臨んでもらえるような準備をしています。

2. 志望動機に正解はない

志望動機はどの塾の面接でも必ず聞かれることかと思います。弊塾でも志望動機は必ず聞いています。

志望動機に正解はありません。我々としては単に、どんなきっかけで弊塾を知り、どんなところに興味を持って応募して来てくれたかということを聞きたいです。大した理由でなくてもかまいません。

例えば、きっかけは「家が近いから。」でもかまいません。実際には、人は本当に家から近いだけでわざわざ塾講師のアルバイトに応募しませんから、何か経緯や理由があるかと思います。(私の家の近所にセブン・イレブンがありますが、私は家から近いという理由で応募したりしません。)

そもそも塾講師をしようと思ったのいつからだろうとか、どうしてだろうかとか、今までの経験で塾講師と関係のありそうな経験がなかっただろうかとか、そういったことをお話ししてもらうために、いろいろ質問させてもらいます。

志望動機は、応募者の方にある程度考えてきてもらいたいものではありますが、面接を通じて発見するものでもあると思っています。(とはいえ、ある程度応募者ご自身で深掘りしていただけるとありがたいです。)

3. 応募する塾のことを知っておく

塾といっても色々なタイプがありますから、採用に応募する塾はどんな生徒が対象で、誰がどんな方針で運営しているかを、知った上で面接に臨むと良いでしょう。

どんな点に共感したとか、疑問点があるとか、より具体的に聞きたいなどを伝えてもらえると面接がスムーズに進むかと思います。

講師に応募する方は、最低限その塾のウェブサイトのアバウトページに目を通しておくとよいでしょう。

ティーシャルのアバウトページ

4. 学力は必要条件

学習指導においてやはり学力は重要です。その時学習している内容だけでなく、その先まで理解している、また、他の科目との連関をイメージできる方が指導の質が上がると考えています。ただし、学力=指導力ではありません。講師が生徒を成長させることができる、結果を出すことができるかは、学力も含めた総合的な力が必要です。学力は結果を出すための必要条件といえるでしょう。

小中学生や高校1・2年生がいる個別指導塾においては、担当できる科目が多い講師は重宝されます。生徒と講師のマッチングやスケジュールの調整において柔軟性が高くなるからです。

では、得意科目が一つしかない講師が採用されないかというとそうではありません。得意な科目が少ない方でも、1教科のスペシャリストとして活躍していただけます。ただし、個別指導の特性上、たくさんの生徒を担当していただくまで時間がかかってしまう可能性があります。

5. これまでの学びの経験

講師応募者自身のこれまでの学びの経験については必ず聞くようにしています。受験など勉強面だけでなく、部活などの課外活動や趣味について聞くこともあります。

これまで学び経験の中で、どんなことを考え、どんな人に影響を受け、どんな失敗や成功をして、何を重要だと考えているのかを話してもらっています。また、応募者に受験の経験を話してもらうことで、受験生への具体的な学習指導をするためのベースの力があるかどうかをみています。

生徒への学習のアドバイスは、自身の経験がベースになります。たとえ経験豊富な講師であっても、自身の経験(指導経験も含む)がベースになるという意味で、これは避けられるものでも避けるべきものでもありません。

その上で、各講師がチームとして連携して、指導方針を立てたり各種アドバイスを行います。各講師の学習経験のバックグラウンドを知っておくことで連携をスムーズに行いやすくなります。

6. 長所と短所はなんですか?

この質問、私はあまりしません。長所と短所はともに、個人が持っている性質に評価をしたものです。面接の場では、できるだけ良いところを伝えようと工夫する結果、肝心の個人の性質がよく見えなってしまうことが多いからです。

似た質問として「自分の好きなところはどんなところですか?」「克服したい苦手なことはありますか?」あたりはすることもあります。

7. 現在の興味関心や将来やりたいこと

現在の興味関心、これからやりたいことについても必ず質問しています。

生徒が自身の持つ興味関心を、日々の勉強の理解に活かしたり、具体的な学習目標や進路選択と結びつけることは、容易なことではありません。弊塾ではこれを助けることも講師の重要な役割だと考えています。

ですから、生徒への学習指導・進路指導のために、講師にも自身の興味関心を生徒に伝えるための様々な引き出しを持っておいて欲しいのです。

また、講師自身が現在の興味関心や将来やりたいことを生徒に伝えることで、一つのロールモデルになることも可能なのではないかと思います。

8. 入りたい曜日や日数のマッチング

週に何日働けるか、働きたいかということがマッチすることも重要です。

講師と塾の希望が合わないと「週1,2回だけ働きたいのに、教室長がしつこくもっと出勤するように言ってくる。」とか「週3日以上出勤したいのに、いつまでたっても週1日しか生徒を担当させてもらえない。」といった状態になってしまう恐れがあります。

ちなみに「週1日だけしか出勤できない、土日に出勤できない。」ではやる気が疑われると書いている記事も見かけましたが、弊塾では特にそういう考えはありません。

9. リスケジュールや遅刻時の素早い対応

面接当日、予定された時刻に遅れてしまうこともあるかと思います。前の予定が長引いたとか、交通機関が遅れてしまう場合などです。そういうときは、できるだけ早く連絡をしてもらえるとありがたいです。

このことは、実際に講師として働く上でも重要です。長く働いていると、稀にですが、上記と同じような理由で、当日の出勤が時間に間に合わないというケースも生じ得ます。そういうときは、教室にいる他のスタッフで対応をします。

早めに連絡をもらっていれば、生徒情報の確認をしたり問題を用意したりする準備を余裕を持って行うことができます。連絡が遅くなったりなかったりするとそういった連携が難しくなってしまいます。

一般に物事において全てがうまくいくことはありません。それは塾講師の仕事でも同じことです。「悪い報告こそ早くする」でお願いします。

10. 服装

最初の面接時の服装は、スーツが推奨(というかスーツが無難だと)されていることが多いようです。応募した塾のスタッフや講師が普段スーツで仕事をしている場合は、やはりスーツを着用しておくことで、採用者側が実際に働いている状態をイメージしやすくなるためスーツが望ましいと思います。

一方、弊塾は常勤スタッフもスーツ着用しているわけではありませんので、スーツである必要はありません。初回の面接は普段の格好でも構いません。一緒に働くことになったら一定のルールをお伝えいたします。

余談ですが、教室によっては靴を脱いで勤務することもあります。スーツのラックスの裾の長さは革靴を履いた状態で合わせるため、靴なしだとどうしても裾が傷みやすくなります。大学生でスーツで働く方は、入学式のときに買った大切なスーツの裾を傷めないよう気をつけてください。

まとめ~合否はどう決めるか~

ここまで頻度が高い話題について、弊塾の考えをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

弊塾では採用するかどうかは、常勤スタッフの会議で決めています。採用基準の詳細はお伝えできませんが、一言でいうならば信頼して生徒を任せるイメージが湧くかどうかです。

実際の面接では塾によって質問が異なったり、同じ質問でも違う観点で評価することになります。紋切り型の回答を用意しておくよりは、ご自身なりの答えを準備しておくと嬉しいです。

最後に、個別の採用・非採用の判断は、他の講師の採用状況と生徒の募集状況に左右されます。採用には至らなかったとしても、それは必ずしも応募者の能力不足によるものとは限らないとうことをお伝えしておきます。

私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。

一般的な学習塾では、予め決まったカリキュラムに生徒を適応させることが重視されています。

私たちにとってもカリキュラムは大切なものですが、勉強を通じて生徒自身が「どう勉強したいか」考えて行動できるようになることが、勉強を楽しむことに繋がり、長期的な学力の向上に貢献すると考えています。

「勉強する力をつけたい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。

この記事を書いた人

坂本 諒

ティーシャル代表。数学、物理、化学などを担当。

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