多くの中学生・高校生は、教材として教科書の他に指定された問題集やワークを使います。

定期テストでは教科書に加えて指定の問題集やワークを基準に試験範囲が決められますし、宿題として問題集やワークをやらなければならないこともあるでしょう。

定期テストで高得点を取るにはワークをしっかりやるのは必須条件です。(とはいっても問題集やワークをやっただけで高得点を取れるとは限らないのですが.. )

これらの問題集やワークに取り組んでいる中学生や高校生をみていて困ることが一つあります。

それは問題集やワークの解答が渡されなかったり回収されてしまうことがあるということです。

解答が渡されなかったり回収されると困ること

解答を回収された場合に困ることは2つあります。

  • 丸つけができないから、できる問題/できない問題の把握ができない
  • 解説がないため、わからない問題の解法を理解することができない

問題集を解くと、その時点で自分ができる問題/できない問題がわかります。それがわかって初めて、これから何を勉強したらよいか考えることができます。

しかし、解答がないと丸つけができないためできる問題/できない問題の把握ができません。

また、問題集を解くとほとんどの場合わからない問題が出てきます。そいういときは、解答や解説を読むことで解法を理解したり確認することができます。

しかし、解答や解説がないとわからない問題を理解することが非常に難しくなります。

答えのない問題を解くことは効果が薄い、いやそれどころか時間の無駄だといってもいいでしょう。

より詳しく説明していきます。

勉強は丸付けから始まる

勉強をするからには、する前とした後で変化があるといいですよね。「英単語を5個覚えた」とか、「二次方程式ができるようになった」などです。

そのために、勉強を以下の3つのステップに分けてみます。

  1. 問題を解く
  2. 丸つけをする
  3. できなかったところを解決する

1.問題を解く

まずは問題を解きますね。ある程度の時間をかけて自身の脳をフル回転させて問題を解く。これだけでも多少の効果はあるかもしれません。

しかし、当然これで終わりではありません。

ここまでが勉強だと思っている人が結構多いですが、ここで勉強を終わってしまうのがもっともコスパが悪いです。

2.丸つけをする

解いたら丸付けをします。丸付けをすると得点/正答率がでますので自分がどれくらいできるのかがわかります。高得点だったら喜んだり、予想していたより取れていなかったら意気消沈してしまうかもしれません。

でも、ここで終わりではありません。

丸付けをしたことことによってできる問題/できない問題が明確になる。これが重要です。できなかった問題をできるようになることが勉強前と勉強後の変化をつくるのですから、その対象を発見しなければなりません。

3.できなかったところを解決する

丸付けの結果できていなかったところ、理解が曖昧なところを復習します。解説を読んだり、写したり、解き直したりして、できなかった/わからなかったものをできる/わかるものにしていきます。

このときにできなかったもの、わからなかったものが多すぎると一度に復習すべきものが多すぎて処理しきれなったりフリーズしたりすることがあります。だから最初に解く問題が難しすぎないことはとても重要です。

勉強のメインは丸付けからはじまる

勉強のステップを、する前とした後の違いに注目してみてみると勉強のメインは丸付けより後ろの部分だということがわかります。

答えを回収するということは「丸つけのステップより後ろをするな」ということですから、勉強のメインの部分を放棄しろといっているようなものです。

だから、答えのない問題を解くことは効果が薄い、いやそれどころか時間の無駄だといえるのです。

なぜ解答解説を回収するのか

ここまで、なぜ勉強するときに解答解説があることが重要かについて述べました。

では答えを回収するのはどうしてなのか。その理由、というか言い分としては以下のものが考えられるでしょう。

  • 授業で解説するので必要ない
  • 問題を解かずに答えを写すことを防ぐ
  • わからない問題を自力で解き切る力をつける
  • テストをするのが目的

授業で解説するので必要ない

先生の中には「問題の解説は授業中に行うので必要ない。解答がない状態で授業に臨むほうがより実りのある授業になる。」このように考えている方もいらっしゃるかもしれません。

授業の予習として短い時間で問題に目を通してくる。ということであれば有効なときもあると思います。

しかし、勉強の基本は解いた問題はその場で丸付け、すぐに復習をすることです。 解答解説を読んで、内容を自分なりに吟味し、理解し、自力で解ける状態まで高めるというサイクルを回せるようにするための練習をすべきです。

「授業で解説するので必要ない」という言い分は、多人数の生徒に一律の課題を出し、その解説をする授業という形式を守るためのものだと感じます。

一昔前だったらわかりやすい解説を受けられるのは教室での先生の授業だけだったかもしれません(詳しくは知りませんが)。

しかし、現在では市販の参考書や問題集はもちろん動画など教材の発達によりわかりやすい解説を聞くことは容易になりました。

もちろん授業による解説といったもの全般が無価値になったわけではありません。

人によって刺さるポイントは様々ですからパーソナライズされた授業には高い価値がありますし、授業内容から派生して語られるものにも価値があると思います。

問題を解かずに答えを写すことを防ぐ

「解答解説を渡すと答えを写す人がいる。」というように考える方もいらっしゃるかもしれません。

確かにそうかもしれません。(解答解説を渡すと写す人が増えるかどうかの実験結果等は存じませんが。)

しかし、そもそも解答を写すことが悪いことなのでしょうか。

もちろん、記号問題の解答だけをアとかウとか写してもしょうがないです。しかし、数学の式を書いたり、英語の文章を書いたりするのであればそれは十分学びになっているのではないでしょうか。学びは真似ることから始まるといいますし!

課題の出題者としてやるべきことは、わからない問題にぶつかったときに、正規ルート(問題を解く)以外にも学びを得られる道(写してみる)を用意してあげることではないでしょうか。

わからない問題を自力で解き切る力をつける

「解答解説がなければ、必然的に自分の頭で考え、あるいは教科書などを参考にしながら自力で解ききる力がつく。」と考える方もいるかと思います。

思考力や表現力が重要な学力の要素だと考えられていることから考えても、( 例え正解が用意されているとはいえ)自力で解決法を調べ探りながら解答をつくるということは、とても大事なことだと思います。

しかし、これは解答解説を渡さなければ実現されることなのでしょうか。単に解答解説があってもなくても自力で答えを出そうとする人はするし、しない人はしないということではないでしょうか。(これも実験結果等存じませんが。)

ここで、自力で答えを出そうとしていない人を「やる気がない」と断罪してしまってはいけません。このようなことになるのは、課題の設定の仕方が間違っていると考えるべきです。人は他人から与えられた高すぎる目標を貫徹できるほど強くはありません。

テストをするのが目的

「テストをするのが目的だから答えは渡さず、丸付けは出題者側で行う。」という場合もあるかと思います。こういう場合は解答解説を渡さないのもありかと思います。

ただ、実際のテストには時間制限がありますし、参照できるものはありません。そのため、テストとしては精度は低いです。もう少しゆるい、現時点での学力診断くらいの用途だったら良いと思います。

答えのない問題をやらされそうになったらどうするか

予習課題の場合

予習課題として解答解説のない問題を解かなければならない場合は、時間制限を決めて取り組みましょう。解いた次の日に授業があるのであれば授業の効率がよくなります。

しかしこれが有効なのは、予習課題と解く人のレベルがマッチしている時だけです。マッチしていない自覚がある人は早々に切り上げましょう。

答えがないからこそ燃えるという人は存分に楽しんでください。

復習課題の場合

復習課題(日々の宿題など)として解答解説のない問題を解かなければならない場合もあります。

数学の『4STEP』などから学校からの課題が出ていて、解説は回収され、巻末の略解は頼りない、わからないからどうにかしたいんだけど教科書よりも難しい問題もあるから参照するものも手元にない、じゃあやるのやめようかな、でも学校で課題になっているものをおろそかにするのは気がひけるといにと思います。

取れる手立ては、「問題集の解答解説を買う」「学校の課題は完全に無視して自分で参考書/問題集を探して取り組む」のいずれかしかありません。

問題集の答えを回収することは主体的な学びを妨げる

今回このような記事を書いたのは、弊教室での生徒との2つの会話きっかけです。

ひとつは、ある中学生の生徒から「学校のワークを進めたいのに解答を回収されたからできない」と聞いたこと、もうひとつはある高校生の生徒から「学校の課題に取り組んでもわからないことが多すぎて、しかも解説がないからどうしようもない」と聞いたことです。(ともに筆者意訳)

このように問題集の解答解説を回収することは生徒の意欲を削ぎ、主体的な学習を妨げているのです。

最後にもう一回。
答えのない問題を解くことは効果が薄い、それどころか時間の無駄です。

この記事を書いた人

坂本 諒

ティーシャル代表。数学、物理、化学などを担当。

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