「わかりやすい」説明をするために必要な、たった1つのポイント

分かりやすく教える

手前味噌ですが、予備校・塾講師をしていると「先生の説明って分かりやすいね」って言われることがたくさんあります。

最初は、「いや一生懸命説明しているからそりゃそうだろう」くらいにしか考えていませんでしたが、世の中には「あの先生、わかりにくい!」と言われる場合もあることも事実。それでは「わかりやすさ」の実体がどこにあるのだろうかと考えてみた結果、1つの結論に至りました。

「わかりやすさ」の実体は、「単語の理解」です。

解説に分かりやすさが求められる講師の方には是非意識してもらいたいことを書きますが、逆に生徒目線から見ても分かりにくい場合にどうすればいいかというヒントになっていますので、是非考えてみてください。

単語が難しいと分からん!

以前、自分にとって全く未知の領域の勉強として、コンピュータプログラミングの勉強をしていたことがあります。入門書をいくつか読みましたが、入門書の段階でつまづきそうでした(笑)。こんな書き方をされると初心者の僕には分かりません↓

メモリにマッピングしたレジスタに値を格納する

言わんとしていることは何となく分かるのですが、ちょいちょい曖昧な単語が出てきています。

マッピング?格納?

意味の分からない単語があると、そこで思考が止まってしまいます。そんな単語がたくさん出てくると、読んでいるときには何とかついていっているはずなのに、全体としては意味が分かんないという感想を持ってしまいますね。

そう、「分かりにくさ」の原因は単語にあるのです。

「分かりやすい」講師は単語に気を配る

分かりやすい説明ができる講師は、単語に気を配ります。

同じことを説明するのにも、相手によって使う単語を選ぶことができるのです。

例えば、”I like baseball.”という文の構造を説明するとしましょう。

高校生にはこんな感じでOKです。

講師「I がSだね。でlikeがVで、baseballはOだ!」
高校生「なるほど、そうですよね」

でもこれ、中学生にはさっぱりです。SやらVやらOというのが何なのか分からないからです。

中学生にはこうやって説明しましょう。

講師「Iは主語。likeは動詞だね。じゃあbaseballは?」
中学生「目的語です」
講師「その通り!」

それぞれ別の単語に置き換えました。Sだろうが主語だろうが、指し示す意味には違いはありませんが、中学生に分かる言い方に変えたのです。

さらにさらに、小学生にも分かるように言うならばこうなります。

講師「Iは「〜は」の部分だよ。だから「私は」になるね。
likeは「〜する」だから「好きである」ってこと。
baseballは「〜を」の部分だから、「野球を」だね。
合わせると「私は野球を好きである」という意味になります。」

ここまでをまとめると、「分かりやすい」説明をしたければ、なるべく単語レベルで簡単なものを使うか、どうしても専門用語を使う場合は意味を明らかにしながら解説をすればよいということになります。

当たり前ですが、レベルを下げていくごとに解説文の分量が増えていますね。

生徒さんは「単語の意味を調べる」ことから始めよ

ここまでの考え方を応用すると、英語の長文読解や現代文の勉強の仕方が見えてくると思います。

英語長文が苦手という生徒は、たいてい英単語の知識が不足しています。

その状態でいくら集中して丁寧に読んでも分からないものは分からないのです。

単語の知識を計画的に増やしていくことはもちろん重要ですが、学校のテスト対策などどうしても長文読解をやらなければいけない場合は、思い切って分からない単語をすべて調べ尽くしてから取り組むとかなり楽になると思います。

また、現代文においてもなかなか話の流れがつかめない人も、日本語の語彙力を身につけることをやってみるといいです。現代文の演習量を増やしたって、この問題は解決しません。

語彙力には漢字を読めるかどうかも含まれますので、小学校時代の漢字学習も本当は大切だったということです。

講師は説明で使っている単語を考慮せよ

逆に講師の皆さんは、わかりやすい説明をしたいと思うなら、使っている単語の意味に注意してください。

特に集団授業では、単語1つ1つについて質問が来ることはあまりないですから、知らずに生徒が意味を分かっていない単語を連発してしまっているかもしれません。

また、個別指導でも、質問をたくさんしてくれる生徒は良いですが、そうでない生徒もいます。質問を待つのではなく、講師から「この言葉の意味分かる?」と確認していくことで、生徒の理解度を引き上げることができます。

まとめ

  • 「分からない」のは「単語の意味が分からない」からである。
  • 「分かりやすい」解説をしたい講師は、生徒が単語・用語の意味をどれくらい分かっているかに気を配るべきである。
  • 闇雲に取り組むのではなく、英単語や日本語の語彙、漢字の知識を計画的に増やしていくことを考えよう。

私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。

受験をはじめとした勉強において、固定的なカリキュラムや決まった勉強方法に生徒を適応させることに意識が向きがちです。

私たちはそれらを大切にすると同時に「生徒」を中心とした学習方法を提案し実践することが、生徒が勉強を楽しむことに繋がり、学力の向上につながると考えています。

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この記事を書いた人

桜井 啓太

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