【2020年度】神奈川県公立高校入試の傾向と難易度

令和2年度神奈川県公立高校入学者選抜学力検査問題

2020年2月14日に神奈川県神奈川県公立高等学校入学者選抜共通選抜が実施された。

この記事では英語・国語・数学・理科・社会の各科目の試験について設問数・昨年との変化・大問別分析、簡単な学習アドバイスを行う。

2021年度の問題傾向・難易度に関してはこちら。

2020年度の問題と解答はこちらから

英語

問題数

大問数は8問であり、昨年と比べ変化はなかった。設問数は28問であり、昨年と比べ変化はなかった。

昨年との変化

全体としては去年と同じ形式が踏襲された。以下の数点で変化が見られた。

  • リスニングの単語書き取り問題では、頭文字のヒントが出された。
  • 問6の長文問題に於いて、問題文中にカタカナの表記がなくなった。
  • 問6の(イ)が独立したグラフ読み取り問題になった。

難易度は昨年と大きく変わっていない。

大問別分析

問1はリスニング問題。単語書き取りではrestaurantを書かせる問題が出題された。

問2は単語書き取り問題。空欄の前後から判断し、strongの最上級を書かせる問題が出題された。その他2つは、be afraid ofとvoice。

問3は選択式の文法問題。問われた主な単元は、Whoseの疑問文、助動詞と受動態、tell 人 to構文、関係代名詞のwhich。

問4は並び替え問題。問われた主な単元は、最上級、before + 動名詞、疑問詞 + 不定詞、前置詞による後置修飾。

問5は条件付き英作文。対話相手の答えから、Whatで始める疑問文を考えさせる問題だった。What kind of music do you listen toなどが考えられるだろう。What is とbe動詞で続けてしまうと、What is your favorite music to listen toなど、不定詞による後置修飾が必要となり、難易度が上がる。Whatの次にdoを続ける発想が大事。

問6〜8は例年通り長文問題となった。問6の設問構成が若干変化し、(イ)が独立した設問となったが、その他はおおよそ例年までの形が踏襲された。

問6はグラフや表と英文を読み合わせる問題。去年まではグラフにカタカナ表記が混じっていたが、今年は英語表記だけとなった。

問7は道順やポスターなど、日常的なシーンでの会話や文の読解。(ア)は会話文から道順を読み取る問題、(イ)では英語の情報から数値を計算する。

問8は対話文読解。ディスカッションをする生徒の会話を読み解く問題だった。問題文の長さ、問題形式ともに、昨年度からの大きな変化はなかった。

学習アドバイス

出題された問題を見ると、使用されている語彙や表現は教科書のレベルを超えていない。特別難しいことは必要なく、標準的な問題を反復練習し、語彙や表現の積み上げをしっかりしておくこと。今年であれば疑問詞を使った文を理解し、作文のバリエーションを持っておくことが重要であった。

国語

問題数

大問数は5問であり、昨年と比べ変化はなかった。設問数は30問であり、昨年と比べ変化はなかった。

昨年との変化

問題形式は昨年と比べ大きな変化はなかった。
難易度も昨年と大きく変わらない。

大問別分析

問1は設問形式に変化なし。漢字の読みは、「勇敢」「疾走」「俊敏」「綻び」。書きは「急務」「埋蔵」「妥協」「敬う」。文法は助詞「が」の識別。

問2は古文の読解。例年通り登場人物の心情把握や行動の理由、本文内容の理解に関する問題が出題された。

問3は物語文読解。心情・状況理解など、例年通りの出題。

問4は説明文読解。傍線部の言い換え、理由説明など、例年通りの出題がなされた。

問5はグラフと討議の読解。グラフの読み取りと、25〜35字での記述問題。字数に若干の変化が見られた他は、例年通りの出題となった。

学習アドバイス

漢字の読み書きを普段から積み上げておくこと。また、古文の読解、記述のグラフから読み取ったことの記述などは、練習する機会を十分につくり慣れておきたい。

心情理解の問題、説明文の傍線部理解、内容理解の問題などは練習のときに復習をしっかり行うことが重要である。選択肢を選んだ根拠を本文から説明する習慣をつけたい。

数学

問題数

大問数は6問であり、昨年と比べ1問減少した。設問数は26問であり、昨年と比べ1問増加した。全体の問題ボリュームとしては昨年と大差ない。

昨年との変化

問題形式は出題の順番が変わるなど以下のような変化があった。

  • 問7の相似の証明、角度の問題が削除され、問3の小問集合に統合された。
  • 問3で中学1年の資料の整理からヒストグラムの問題が出題された。

出題順が変わったため難しく感じた受験生も多いだろうが、設問そのものの難易度は昨年と比べやや易しくなった。

大問別分析

問1は例年同様計算問題が出題された。正負の数の問題は2問から1問になり、代わりに根号を含む展開の計算が出題された。

問2は例年通り小問集合(問3と比べると1問が軽め)で連立方程式・二次方程式・関数・方程式の文章題・平方根・角度と幅広く出題された。

問3は前年までの問3と問7を合わせたような構成であり、例年と比べ最も変化が大きかった大問といえる。例年問7で出題されていた相似の証明を問3の(ア)で目にした受験生は驚いたことであろう。(イ)のヒストグラムの問題では配点が6点を高く、慣れない問題に時間をかけてしまった受験生もいるかもしれない。(ウ)の図形の面積の問題は一見シンプルな問題だが比較的難度が高い。(エ)は文章を式にするという点では例年と変わらないが、歯車というテーマは触れたことがあるかどうかで差がついたかと思われる。

問4は例年通り関数の問題が出題された。設問の形式も例年と変わりないが、分数の計算が多く処理に注意を必要とする。(ウ)は座標平面上の図形の面積比の問題であったが面積の導出は比較的容易であった。

問5は例年通り確率の問題が出題された。例年通り文章を読ませて【ルール】を把握させてから解かせる問題で設問数も2問と変わりない。【ルール】自体は例年と比べ短く把握しやすいものであったが立体図形の辺の長さを考慮しなければならない分(イ)は慎重に取り組む必要があった。

問6は例年通り立体図形の問題が出題された。三角錐の展開図が与えられ(イ)で立体を組み立て(ウ)で最初とは異なる展開図を描く必要があった。(イ)は設問形式自体は単純であるが、三角錐の高さを求めるために立体中に補助線を引くことに慣れていないと難しく感じたであろう。(ウ)は必要な展開図および補助線を描いた後の解法が、基本問題レベルであるが数字が複雑というもので基本事項の理解度を試す問題であったといえる。

学習アドバイス

数学は出題形式と単元が予想しやすいため、過去問をよく研究しどの単元で何点とるかという計画を立てておくことが重要だ。一方で、今年度のヒストグラムのようにこれまで出題頻度が低かった問題が出ることもあり、中学のすべての範囲を満遍なく学習する必要もある。

関数や図形問題の(ウ)は比較的難易度が高いが、基礎的な事項であり、値が整数でなく分数や平方根になったに過ぎず、普段使っている公式や解法が理解できていれば十分に回答可能である。普段の学習ではなんとなく解くということをやめて、言語化して論理的に考える習慣をつけたい。

理科

問題数

大問数は8問であり、昨年と比べ変化はなかった。問1~4は小問集合、問5~8は実験や観察をベースにした設問である。問1~4、問5~8ともに物理・化学・生物・地学各分野から一つずつ出題されている点も例年と変わりない。設問数は28問であり、昨年と比べ変化はなかった。

昨年との変化

問題形式は昨年と比べ大きな変化はなかった。
難易度はやや易しくなっている。

大問別分析

問1は物理分野の小問集合で、エネルギー・磁力・ばねの伸びからの出題であった。

問2は化学の小問集合で、気体の重さ・気体の蒸留・酸化還元からの出題であった。

問3は生物分野の小問集合で、染色体・脊椎動物の分類・種子植物からの出題であった。

問4は地学分野の小問集合で、前線・雲の発生・地質年代からの出題であった。(ア)は単純な知識を問うもので確実に得点したい。

問5は物理分野からの出題で、音の性質に関する実験の問題であった。力学・電気分野からでなく波の分野から実験の問題が出題されることは非常に珍しいが、設問は比較的容易であった。

問6は化学分野からの出題で、電気分解の実験に関する問題であった。例年同様に実験結果の表を読み取り計算する問題が出題された。唯一文を記述する問題が出題されたが文字数は10文字で指定語句と易しい形式であった。

問7は生物分野からの出題で、刺激に対する反応に関する実験の問題であった。植物分野の観察がテーマとなる問題が多い問7で刺激に対する反応からの実験の出題は珍しい。実験の手順や設問の情報量が多く、丁寧かつ素早く情報処理する力が求められた。

問8は例年通り地学分野からの出題で、天体の観察の問題であった。情報量が少なめで比較的解きやすい大問だったといえる。

学習アドバイス

理科は出題の分野の数が多く、どの分野がどこで出題されるか予想しづらい。そのため、安定して得点するためには、頻出の問題を中心としながらも満遍なく全分野を実験観察の問題も含めて学習しておくことが必要だ。基本を押さえたうえで、過去問や模試等の問題を活用し十分な演習を行うとよい。

社会

大問数

大問数は7問であり、昨年と比べ1問増加した。設問数は31問であり、昨年の34問と比べ3問減った。

昨年との変化

  • 大問数が6から7に増え、大問7では地理・歴史・公民の総合問題が出題された。
  • 大問7はレポートを題材とする問題で資料を中心とした問題であった。

問題形式のに変更はあったものの、難易度は昨年と比べやや易しくなった。

大問別分析

問1は例年通り世界地理からの出題であった。地図や統計情報に関する設問は例年通りであるが、雨温図の問題・時差の問題は問1では出題されず、別の大問での出題となった。

問2は例年通り日本地理からの出題であった。(イ)は雨温図と県庁所在地の所属する地方に関する問題でぜひ正解したい。(エ)の案内図を地形図を比較する問題では地図の読み取り能力はもとより、空間把握能力が求められた。

問3は例年通り近世までの歴史からの出題で大分県に関する歴史のレポートをもとにした問題であった。レポートの情報量は少なく、大分県の歴史に関する知識も必要なく解ける問題で問われる知識も基本的なものであった。

問4は例年通り近代以降の歴史からの出題で日本と海外のかかわりがテーマとなった。必要な知識は基本的なものであり、(エ)の(ⅱ)で出題されたグラフの読み取り問題も情報量が少なく易しめであった。

問5は公民の経済分野からの出題であった。全体的に易しめで、知識がなくとも正解できる問題もあった。

問6は公民の政治・国際分野からの出題であった。全体的に易しめであった。

問7は地理・歴史・公民の総合問題が出題された。資料の情報量が多いこと、総合問題ゆえに地理・歴史・公民喉の分野からの出題かを見極める必要があるという難しさはあるが、それぞれの設問自体は例年と同様の問題であった。(ア)では時差の問題が出題された。

学習アドバイス

今年度は比較的知識問題が少なく易めであったとはいえ、社会の学習において基本的な知識を身につけておくことが最も重要なのはいうまでもない。そのために、それらの知識を結びつけストーリーとして認識しておくことが望ましい。資料の読み取りについてもスタンダードな練習を十分に練習し読みとりのポイントを把握しておくと良い。苦手な人はなぜその答えが正解なのかを丁寧に復習することを心がけよう。

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