英語の文法と語法解説

前置詞?接続詞?asの6つの用法を整理して解説

as

授業の中で、「長文を読む際にasの訳をどう決定すればいいのか分からない」という相談を受けることがありました。確かにasはいくつも訳語があって混乱しやすいところだと思います。

この記事ではasの用法について整理するとともに、「訳がたくさんあって覚えられない」という問題(?)について、どう対処するのかということについても提言しています。

前置詞と接続詞の違い

asには前置詞として・接続詞型としての2種類の用法があります。asの訳を考えるにあたって、まずは前置詞と接続詞について確認しておきます。

接続詞とは

接続詞とは以下の例文のように、あとに〈主語 + 動詞〉が続くもののことです。

I think that接続詞 he主語 is動詞 a musician.

前置詞との区別においても、自身のあとに〈主語 + 動詞〉が来るかどうかがポイントになります。自身の後に〈主語 + 動詞〉が来るのが接続詞、来ないのが前置詞です。

主な接続詞4種類とその例文を下に表にします。

主な接続詞とその例文
接続詞 主な訳し方 例文
that 〜と I think that he is a musician.
私は彼がミュージシャンだと思う。
when 〜のとき I moved to this town when I was sixteen.
私は16歳のときこの町に引っ越してきた。
if もし〜なら Let’s go fishing if you are free tomorrow.
もし明日暇なら、釣りに行こうぜ。
because 〜なのだから We went to bed early because we were very tired.
大変疲れていたので、我々は早く床についた。

接続詞としてのasの訳し方は多いので後でまとめて見ることにして、先に前置詞について確認しておきましょう。

前置詞とは

前置詞を言葉で定義するのはややこしいことになってしまうので、具体例をあげながら見ていきましょう。

in前置詞 that box名詞

on前置詞 the table名詞

under前置詞 the desk名詞

太字になっている「in」「on」「under」が前置詞です。前置詞の後ろには〈名詞〉が来ることがポイントです。接続詞と異なり〈主語 + 動詞〉は続きません。

ここまでのまとめ

接続詞の後ろは〈主語 + 動詞〉のペアがくるが、前置詞の後ろには〈名詞〉が来る。

asの6つの用法

以上を踏まえて、asのよくある6つの訳し方をみてみましょう。

asのよくある6つの訳し方
用法 例文
〜のとき As we went home together, we saw a strange light.
家に帰る途中で、不思議な光を見た。
〜につれて As he got older, he became kinder.
歳をとるにつれ彼は優しくなっていった。
理由 〜なので As we didn’t have time, we gave up eating soba at that restaurant.
時間がなかったので、そのお店でそばを食べるのは諦めた。
譲歩 〜だけれども Old as he was, he didn’t give up being a successful musician.
歳をとってはいたけれども、彼はミュージシャンとして成功するのを諦めはしなかった。
様態 〜ように We walked silently as a ninja would do.
私たちは、ニンジャが歩くようにひっそりと歩いた。
機能 〜として He wasn’t so much successful as a singer, but was outstanding as a producer.
歌手としてはそれほど成功しなかったが、プロデューサーとしては際立っていた。

このように訳語が多岐にわたるasですが、鍵となるイメージがあります。それは「同時性」です。

イメージは「同時性」または「イコール」

多様な訳を持つasですが「時間的に、あるいは他の何らかの意味でイコール関係が結ばれること」という言葉でまとめると、それらの訳の中心イメージというべきものが見えてくるのではないかと思います。1番の用法から順に見ていきます。

1. 「〜のとき」と訳す接続詞のas

As we went home together, we saw a strange light.

1.の「〜のときに」の訳は、「AしているときにBが起こった」と言っているわけなので、二つのことが同時に起こっていると言えます。

2. 「〜につれて」と訳す接続詞のas

As he got older, he became kinder.

2.の「〜につれて」二つのことが同時に進行しているといえますね。「彼が歳をとる」ということと、「彼が優しくなっていく」ということが揃って進行しています。

3. 「〜なので」と訳す接続詞のas

As we didn’t have time, we gave up eating soba at that restaurant.

3.はどうでしょうか。「時間がないので食べられなかった」「時間がなくて食べられなかった」なので、「時間がない」「食べられない」が同時に起こっていると解釈できそうです。

4. 「〜だけれども」と訳す接続詞のas

Old as he was, he didn’t give up being a successful musician.

4.は「〜だけれども」と逆接になっていますが、やはり「彼が歳をとっている」ことと「諦めなかった」ことは同じ時間の中で起こっているように思えます。

5. 「〜ように」と訳す前置詞のas

We walked silently as a ninja would do.

5.は様態のasと呼ばれるもので、「AがXするように」と行為や動作の様子を表します。「AがXするように、BはYする」となるので、二つの出来事がイコールで結び付けられていると解釈できます。

6. 「〜として」と訳す前置詞のas

He wasn’t so much successful as a singer, but was outstanding as a producer.

6.は「として」と訳すとうまくいく例です。「◯◯として」とイコールのイメージは結びつきやすいのではないかと思います。

複数の訳し方ができるとき

asの意味は複数あるけれども、それらの根本には「同時性」というキーワードがあることを見てきました。

上の表には典型的な訳し方ができる例文を載せましたが、常に上の通りに訳さなくてはいけないというものではありません。状況に応じて、複数の訳し方ができる場合もあります。

例えば、6.の文を「彼は歌手 のときは 成功しなかったが、プロデューサーをしている ときは 成功した」と、「時間的な同時性」の意味に解釈することもできます(文が長くなってしまう上、不自然になってしまいますが)。

ポイントは、訳(の可能性)がたくさんあるからといって、全部を丸暗記するのではなく、根っこにあるイメージをつかもうとするのが大切だということです。そうすることで、記憶に必要なメモリを少し節約することができるのではないでしょうか。

代表的な例としてasを取り上げましたが、色々な場面で使えるコツだと思います。

英語は暗記科目と言われますが、意味のつながりを感じながら勉強することで、覚える負担が少なくなると思います。

中にはどうしてもつながりが感じられず、「Aという単語にはXの意味とYの意味がある」と覚えるしかない場合もありますが、粘り強く考え続けることで、あとあとになって思いがけないつながりを発見できるかもしれません。

そうした時の喜びは大きいので、ぜひ諦めず考え続けてみてください。

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この記事を書いた人

片岡 正義

主に国語・英語を担当。言語を理解する上での「からだ」と「あたま」の双方から楽しみを感じられるような授業をしたいと思っている。

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