前置詞toとforの違い、使い分け

英字新聞

こんにちは、片岡です。

英語の前置詞「to」「for」はどちらも「〜に」「〜へ」というシーンで使われますが、生徒から「イメージが似ていて使い分けが難しい」としばしば言われます。私自身も学生時代は使い分けに悩まされることがありました。

この記事では、toとforの違いや使い分けについて説明していきます。

1. 到達するto、方向を示すfor

toとforの違いの説明として代表的なものは、toは目的地に到達することを含むがforは方向を示すだけで到達までは含まないというものです。

例えば、

  • We went to Osaka.(私たちは大阪に行った)

は大阪に到達したことを含むけれど、

  • We left for Osaka.(私たちは大阪に向かった)

は、大阪に到着したことまでは含まない、という説明です。これは明確なイメージを持ちやすいですね。

toとforの違いのイメージ
toとforのイメージの違い

「後ろの名詞まで到達するならto、方向だけを示すならfor」というように、toやforの後ろにくる名詞に着目して判断しています

これは、toとforの違いを示す最も代表的な説明と言えるでしょう。しかし、toとforを見分ける観点はこれだけではありません。

2. 動きを表すto、状況を表すfor

次はtoやforの前、すなわち一緒に使われる動詞による使い分けをみてみます。

先程の例文をもう一度見てみましょう。

  • We went to Osaka.(私たちは大阪に行った)
  • We left for Osaka.(私たちは大阪に向かった)

ここで注目したいのは、toは動的な動詞(例文ではwent)とforは静的な動詞(例文ではleft)と一緒に使われているということです。

動的な動詞とは話者自体が移動するまたは何かを移動させる動詞のこと、静的な動詞とは単に状況を指し示す動詞のことを指します。

ここで、engVid.comという英語学習サービスの動画を参照してみましょう。

講師のAdamさんによるとtoは「motion」と結びつき、forは「situation」と結びつくと説明されています。

motionは「移動」や「動き」、situationは「状況」や「状態」という意味ですから、toは「移動」と、forは「状況」と結びつくというわけです。

「動き」と結びつくto

toは「移動」と一緒に使われると言いましたが、具体的には何がどう動いているのでしょうか?

次の二つに分けるとわかりやすくなります。

  1. 話者自体が動く。どこかに移動する。(go to, move to など)
  2. 話者自身は移動しないが、何かを別の場所に移動させる。(give … to, send … toなど)

自分が移動するか、何かを移動させるかのどっちかということですね。

例文を見てみましょう。

  1. 話者が移動する
    1. I went to the store.(お店に行きました)
    2. We moved to Osaka seven months ago. (7ヶ月前に大阪に引っ越しました)
  2. 話者が何かを移動させる
    1. Give it to her. (これ、彼女にあげて)
    2. Send fax to her.(彼女にFAXを送って)

a. では話者自身がどこかに移動し、b. では何かを移動させています。シンプルですよね。

toが「移動」と結びついているというイメージを掴んでいただけたでしょうか?

「状況」と結びつくfor

次に、forを見てみましょう。「移動」と結びついていたto に対し、forは「状況」と結びついていると説明しました。toと違い、話者が移動したり何かを移動させたりということがありません。

以下の例文をみてみましょう。

  1. I made this cake for her.(彼女にこのケーキを作ってあげた)
  2. This is for her. (これは彼女のだよ)

1番目の例文では、ケーキを作ったという「状況」では移動は生じていません。(後で彼女に渡すかもしれませんが。)2番目の例文も、「移動」でなく「状況」が表現されています。「これは彼女のだよ」というのは、「これは彼女のためにある」という意味だと考えると、「状況」という言葉とイメージが繋がりやすいかと思います。

以上、forが「移動」よりも「状況」と結びつく、という例をお伝えしました。

3. 動詞もとるto、名詞だけをとるfor

次に、英語のネイティブスピーカーによる文法的な見分け方を紹介します。

ビジネス英会話スクールのTALAERAのブログによればtoとforの基本的な違いは、目的語(=直後の単語)に動詞の原形をとれるかだと説明されています。toは後ろに動詞の原型をとることができるが、forはそうではなく、純粋な名詞か動詞にingをつけた動名詞の形をとるということですね。

このブログでは次のように説明されています。

toは次のように動詞の原形を後ろにとります。

  • I went to the supermarket to buy some milk. (牛乳を買いにスーパーに行った)

forは次のように後ろに名詞のみをとります。

  • I went to the supermarket for some milk.(牛乳を求めてスーパーに行った)

toの後ろに原形がくるのは、いわゆるto不定詞というやつですね。

これはまあ…確かにそうなんですが、私たち(日本人)としては、あまり目新しいところがない、というのが正直なところです。

というのも「to + 動詞の原型 で不定詞」というのは、私たちは文法の授業で嫌というほど教わっているからです。

とはいえ、学校の授業では「forは後ろに原形をとれない」のように、forとの対比を十分に教わるわけではないので一応注目に値するとは思います。

to不定詞 = for動名詞 ではないのか?

上の例文と解説を見て、不定詞/動名詞をしっかり押さえている人は、こう思うかもしれません。

—forは後ろに名詞のみをとるというが、I went to the supermarket for buying some milk.はダメなのか?これならfor 名詞の形が守られているし、「ミルクを買うことのためにお店に行った」なら、「ミルクを買うためにお店にいった」になるじゃないか。

「to + 動詞の原型」「for + 名詞/動名詞」という形式さえ守っていれば、多少の意味の誤差はあれ結局は同じことが伝えられるんじゃないか。—

これは中学・高校の文法をしっかり押さえているからこそ出てくる、それ自体は素晴らしい発想です。

しかし、本当にそうでしょうか。

スーパーに行く目的は「買う行為」ではなくて「ミルクというモノ」そのもののはずです。(結果的に買いますが。)しかし、for buying some milk としてしまうと、ミルクを「買うこと」が目的になってしまいます。

このように意味の違いを捉えると、上の例文に限らず、forの後ろには、~ing つまり行為が名詞化した抽象的なものではなく、milkのように目に見え手で触れる具体的なモノを置く傾向があることに納得いくのではないかと思います。

これは、次にあげる例文(クイズ形式にしています)にも通じる特徴です。このような目で、次の例文クイズを見てください。

4. toとforで微妙にニュアンスが異なる

ここまでの例では、toを使うかforを使うかによって文の意味が変わったり文法的な違いがある例を取り上げてきました。

しかし、toとforで文の意味も文法的にもほぼ同じだが、微妙にニュアンスが違うという場合もあります。そして、そういうところこそネイティブではない私たちが一番知りたいところです。

イベントかモノか

次の例文を見てください。

  1. He invited us to dinner. 
  2. He invited us for dinner. 

この二つは何が違うでしょうか?ちょっとクイズとして考えてみてください。

いかがでしょうか。実は二つの例文は意味内容としてはほとんど変わりません。しかし、上の例文(invited to dinner)では、dinnerがイベントとして捉えられています。対し、下の例文(invited for dinner)では、dinner はモノ(夕食そのもの)として理解されているそうです。

日本語に訳して違いを表現するなら、a. は「夕食会に招待された」、b. は「夕食に招待された」とでもなるでしょうか。

a. は夕食”会”というイベント—食事そのものもさることながら、誰かとおしゃべりしたり、お付き合いのお話をしたりするという、社交の場としてdinnerが捉えられており、b. では、dinnerはまさしく食事そのものとして意識されているということですね。おいしいシチューを作ったから来て欲しいとか、おばさんの送ってくれた桃が美味しいから一緒に食べようとか、食べ物そのものに焦点があります。

手段を問うか問わないか

for が「モノ」と結びつく例をもう一つ紹介します。

  1. Ask John to send me the file. (私にファイルを送ってくれるようジョンに頼んでくれ)
  2. Ask John for the file.(ジョンにファイルを頼んでくれ)

a.では「to send me the…」とあるように、 ファイルを「送って」ほしい。b. では「for the file …」のように ファイルそのものに興味があり、送るかどうか(手段)は問わないというニュアンスになっています。

日本語でも、「そのファイル送ってもらっていい?」というのと(パソコンのファイルで、メールで送って欲しいのかもしれない)、「そのファイル頂戴」(相手はまさにそのファイルを手に持っているのかもしれない。あるいは机にあるファイルを手渡して欲しいとか)というのでは少し状況が異なりますね。

5. 様々な意味の広がりを持つ for

ここまでの例文で見てきたように、toはおおよそ場所、到達点、宛先…等々、やはり「移動・方向」のイメージと結びついているのですが、forはより多くのイメージを喚起しています。

最後にforの意味の広がりを押さえておくことで、forとtoの違いをより鮮明に理解することをめざしましょう。

「代理」を表すfor

「〜のため」

forは、「〜のための」「〜のために」と訳せる場合があります。

  1. This is a present for you.(これは君へのプレゼント)
  2. I made this cake for her.(彼女にこのケーキ作ってあげたんだ)

もっとも馴染みのある表現は、例文にもあげた present for you ではないかと思います。あなた「のための」プレゼント、ということですね。訳し方としては、「〜のため」「〜のため」など、若干幅が出てくるので状況に応じて訳し分けましょう。

「代わりに」

for は「代わりに」と訳せる場合があります。

  1. I took a test for Cindy.(Cindyの代わりにテスト受けてあげたんだ)
  2. There is no substitute for experience.(経験に勝るものはなにもない(経験を何かで代用することはできない))

この意味は、一つ上の「のため」と非常に近く、どちらで訳しても有効な場合もあります。上の例では、3. の文は「Cindy のためにテストを受けてあげた」と訳してもよいでしょう。

4. の文は「経験には代用品がない」→「経験を何かで代用することはできない」という意味です(substitute は 「代用する」「代用品」という意味です)。これは、次に紹介する「範囲」というイメージとも重なってきます。

「範囲」を表すfor

for は「範囲」を表すことがあります。例を見てみましょう。

「〜の間」

  1. I have lived in this city for eight years.(この町に8年間住んでいる)

現在完了という単元を学習したことがある人にはお馴染みの文かもしれません。「8年間」という「期間」を表していますね。数直線を書き、「ここからここまで」と区切りを入れるようなイメージです。「範囲」を表す一例かと思います。

「〜用」「〜向け」

「範囲」という言葉を、「誰のためのものか」「誰(何)にむけたものか」と考えると、「〜用」「〜向け」という言葉が出てきます。

  1. This movie is for adults only.(成人限定です)

これも、「成人」という区切りを設けて、その範囲の人のものですよ、と言っているわけです。

また、これは(例文1)に示す「〜のため」(代理)と重なってくることもあります。

「要求」を表すfor

最後に、forが「要求」の感覚と結びつく例を紹介したいと思います。

「〜を求めて」

  1. He asked me for more money. (彼は私にもっと金をくれと要求してきた)
  2. There is a high demand for low cost LED light bulbs. (低コストのLED電球に対する要求が高まっている)
  3. For more information, go to our web site.(詳細は当社のウェブサイトをご覧ください)

直接「〜を求めて」とは訳出しませんでしたが、要求のニュアンスを感じ取れるでしょうか。7. の文では、彼が私に対してお金を要求して(せびって)います。8. は、LED電球への要求が高まっている、という文ですね。9. は少し変わった例ですが、「For more information」、もっと多くの情報を求めている場合は、と読めるわけです。If you are looking for more informationと書き直してもいいかもしれません。

このように、look for, search forの「〜を探す」や「〜の代金を支払う」の pay for が、「求める」forのイメージと重なるかと思います。

まとめ

以上、toとforの持つイメージ、その比較について説明しました。みなさんの英語学習の助けになれば幸いです。

この記事を書いた人

片岡 正義

主に国語・英語を担当。言語を理解する上での「からだ」と「あたま」の双方から楽しみを感じられるような授業をしたいと思っている。

記事一覧 プロフィール