【解説】2015神奈川県公立高校入試 数学-問2(ク)
こんにちは。数学を教えている深川です。
神奈川県公立高校入試の数学について気になる問題を解説しています。
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問題を解く前に
図形の問題が苦手だという人には、僕はよくするアドバイスが2つあります。
1つは、分かりそうな値は全部求めてしまおうということ。
もう1つ大事なことは、考えるときに数学の言葉を使うことです。
円の中に引くことのできる弦のうち、直径は特別に名前が付いています。
三角形の3つの角度の組み合わせは無限に存在しますが、そのうちのいくつかのパターンには二等辺三角形や直角三角形などの名前があります。角度や形に名前があるものに注目するといろいろなことが分かります。
解説を読んでいる人もこの2つに注目してみてください。
第3回目は問2の(ク)です
下の図において線分ABは円Oの直径であり、2点C、Dは円Oの周上の点である。
このとき、∠ABCの大きさを求めなさい。
※原文の「右の図において~」部を「下の図において~」に変更しています。
この問題も前回の確率の問題と同様に定期テストで出題されるレベルです。
円と角が登場する図形問題では、よく使う定理が3つあります。
- 円周角の定理
- 二等辺三角形の底角が等しい性質
- 直径を1辺に使う三角形は、必ず直角三角形になる
今回はこの3つ全部を使って問題に挑みます。
まずは状況を整理しておきたいと思います
以下のように補助線を引いてみると、
△OCD は OC = OD の二等辺三角形なので、∠OCD は 28° だということがわかります。
さらに ∠DCA = 65° なので、∠OCA = 65° – 28° = 37° となります。
また、∠ODCと∠DCAはそれぞれ円周角ですね。
次にゴールから考えていきます
∠ABCはどんな角でしょうか?
∠ABCは弧ACの円周角と捉えることが出来ます。
円周角なら、対応する中心角が求められれば角度が分かります。
この場合、中心角は∠AOCですね。
ここで△OACはOA=OCの二等辺三角形なので、
底角が求まれば、∠AOCも求まります。
片方の底角である∠OCAは先ほど求めていました。∠OCA = 37° です。
ここまでこれば、あともう一息です。
∠AOC = 180° – 2 × 37° = 106°
∠AOCは弧ACに対する中心角であり、∠ABCは弧ACの円周角なので、
∠ABC = ∠AOC ÷ 2 = 106° ÷ 2 = 53°
問題の解説は以上です。
円周角の定理を証明する
今回使用した円周角の定理は、円周角を2倍すると中心角と等しいという定理でした。
学校の数学では定理の証明はあまり重視されないことが多いですが、定理を使うからにはその証明は自分で出来るように勉強を進めていきましょう。
というわけで今回も問題の解説だけでは終わりません。
まずは下の図を見てください。
弧BCに対応する円周角、中心角はそれぞれ、∠BAC、∠BOCです。
そして結論として ∠BOC = 2∠BAC が言えればいいですね。
この図のままでは手が出ないので、どうにか補助線を引いて特別な名前のついた三角形を作りましょう。
というわけで、このような補助線を引きました。
これで二等辺三角形が2つ出来ました。
OA = OB = OC なので、△ABOと△ACOは二等辺三角形です。
ここで、∠OAB = ∠OBA = b° 、∠OAC = ∠OCA = c° としておきます。
そこで△ABOと△ACOに外角の定理を適用すると以下のようになります。
∠BAC = b° + c° 、∠BOC = 2b° + 2c° なので、∠BOC = 2∠BAC です。
証明では二等辺三角形の性質や、平行線の補助線、外角の定理はよく使うので、証明をの問題を解くときには使えないかどうか探してみましょう。
以上、円周角の定理の解説でした。
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