教材・本の紹介

青チャート数学の特徴と使い方

目次

青チャートとは

青チャートは日本で最も有名な数学の参考書・問題集といっても過言ではないでしょう。学校で配られることが多く、定期試験の範囲が青チャートからになることもあるなど、受験勉強だけでなく日常学習にも広く使われています。

基本的な例題から難関大学の過去問まで幅広く収録されており、これ一冊を完璧にできればほとんどの大学に合格する力をつけることができます。

理系の参考書・問題集を多数出版している数研出版のから出版されており、数研出版のウェブサイトのURLが「https://chart.co.jp」であることからもチャートシリーズが同社を代表する問題集であることがわかります。

<難関大学入試対応>受験生定番の参考書。
例題は「基礎力をつける問題」「応用力の定着に適した問題」で構成。教科書レベルから入試レベルの問題まで掲載している。青チャートで学ぶ真の価値は「指針」で示す“解法の方針を理解する”ことにある。指針では“問題の重点や急所がどこにあるか”“問題の解法をいかにして立てるか”を中心に解説。EXERCISESや巻末の総合演習では応用力を磨く発展的な問題を掲載。
難関国公立・私立大を目指す人にオススメ。
数研出版ホームページより

青チャートの特徴

青チャートの特徴をざっくりまとめると以下のようになります。

  • 青チャート一冊で完結できるボリュームと網羅性
  • 解法技術の辞書のような存在
  • 例題・指針・解答・練習の定式化された学習フォーマット

青チャートの基本情報

教材名
チャート式 基礎からの数学I+A(Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅱ+B・Ⅲ・C・Ⅲ+Cのバリエーションあり)
著者
チャート研究所
出版社
数研出版
サイズ
A5判
ページ数
671ページ
価格
税込2255円(本体価格:2050円)
販売
市販教材

青チャートの構成

問題集本体と別冊解答に分かれています。

問題集本体

ひとつの問題

1つの問題は必ず以下の構成となっています。

  • 例題
  • 指針
  • 例題の解答
  • 練習問題

例題

青チャートは一つの解法につき一つの例題で構成されています。例題がは基本的な数学的の解法を具体的な問題の中でどう使うかを身につけるための問題です。例題には必ずタイトル(例えば「二次方程式の係数や他の解決定」)がついて例題一つ一つを「名前と解法」のセットで覚えられるようになっています。

例題は「基本例題」と「重要例題」の2種類に分かれており、「基本例題」は基礎力をつけるための教科書レベルの問題、「重要例題」は入試対策に向けた応用力の定着に適した問題が中心となっています。

ほとんどの問題には関連する例題番号がのっているため、例題を難しく感じたときは、戻るべき例題を簡単に見つけることができます。

指針

例題を解けないときや、例題の解答を読んでわからなかったときに役に立つのが「指針」です。「指針」すべての例題にあり、問題のポイントがどこにあるか・解答の方針をどう考えて立てるかが示されています。

例題の解答

すべての問題に例題の模範解答がついています。解答の右には式変形の詳細や考え方について補足されています。

練習

すべての問題に練習問題がついています。例題と同じ解法を使った問題が1問載っています。(計算の小問で4~10問程度のときもある。)

単元のごとの基本事項と解説

単元ごとに、定理や公式など、問題を解くときの基本事項がまとめられています。まとめの下には、基本事項の解説として公式の導出・用語の説明・例・覚え方などがのっています。

章の終わりの「EXERCISES(エクササイズ)」

各単元の終わりに、演習問題として「EXERCISES(エクササイズ)」がついています。各単元の学習を終えた後に、入試問題を解く力がついているかどうかのチェックに使うことができます。

巻末の総合演習

巻末に総合演習がついています。大学入試レベルの入試問題が中心となっています。

索引

巻末に、数学用語が五十音順に並べられた索引がついています。公式の名前は覚えているが、どのページを見たら良いわからないときに便利です。

コラム

青チャートにはコラムが収録されています。数学Ⅰの分野だけでも26のコラムが収録されています。

表紙の内側の公式集

青チャートに限らずチャートシリーズは表紙と裏表紙の内側に公式集がのっています。これがなかなか探しやすく便利です。

別冊解答

別冊解答は404ページと大ボリュームとなっています。

模範解答が示されて、右側に補足が載っているのは例題の解答と変わりません。例題の解答と違うのは1ページ制限がないため、解説を端折っているところがないことです。

各問題の冒頭に問題文がそのまま書いてあるため、復習がやりやすいです。個人的にはチャートの解答のもっとも良いところだと思っています。

青チャートの難易度

問題の難易度

青チャートには教科書レベルの基本問題から大学入試問題まで幅広い問題が収録されています。

「例題」「練習」「EXERCISES」のすべての問題には以下のように1~5のレベルが設定されています。

  • レベル1:教科書の例レベル
  • レベル2:教科書の例題レベル
  • レベル3:教科書の節末・章末レベル
  • レベル4:入試の基本〜標準レベル
  • レベル5:入試の標準〜やや難レベル

青チャートをは必ずしも全ての問題を解く必要があるわけではないため、学習の目標や志望大学によってどのレベルまでを解くかを調整することができます。

章末の「EXERCISES」はレベル3~5となっていることが多く、これをスラスラ解けるまで練習すれば、難関大学も合格することができる力がつけることができるでしょう。

解説を読む難しさ

チャートシリーズは一つの例題が1ページ内で解説されるという紙幅の縛りがあるためか、解説があまり親切ではありません。行間を読む力が求められるため問題レベルの割には読解の難易度が高いといえます。

どんな人におすすめか?

教科書レベルの基本問題を解けるようになった人

青チャートは基礎的な内容も載っているとはいえ、全体としては受験用の問題集です。基礎が十分にできるようになってから青チャートに取り組むことをお勧めします。

定番の一冊で完成度を高めたい人

問題集や参考書はたくさん種類があり、どれを使うか選ぶのも一苦労です。また、受験まで残り時間が少ない人はたくさんの問題集を解いている時間はありません。青チャートは一冊で基礎レベル〜入試対策まででカバーしているためこれ一冊を極めて合格を目指すというのも一つの選択肢です。

青チャートの使い方

STEP1. 例題を解く

まずは例題を解いてみましょう。

例題のすぐ下にある指針が視界に入ってしまうことについて気になってしまう方もいるかもしれませんが、指針は見ても見なくてもどちらでも構いません。隠そうとしても必ず視界に入ってしまいますから、気にしないほうが良いでしょう。

青チャートの例題は解法技術を理解するためのものなので、すでに解法パターンがある程度頭に入っており、使えるかどうかを確かめたいのであれば先に練習問題を解くと良いでしょう。

STEP2. 例題の解答を読む

手が止まってしまったときは、時間をかけすぎずに注意して例題の解答を読みましょう。もちろん解けた場合でも解答を読み、解答プロセスがあっていたか確認します。

チャートの例題はこの解答を解読し、もう一度自力で解くことが可能か、つまづくとしたらどこか、などを考えるのが目的です。解くことではなく解答の解読がチャートを使った学習のメインだと思ってください。

STEP3. 指針に目を通しておく

解答を読んで納得したら一度指針に目を通しておきましょう。指針は問題のポイントをまとめたものなので、解答を理解したこのタイミングで読むと納得感を得られることが多いです。

STEP4. 練習問題を解く

練習問題を解いて、例題で理解したことを実際の問題で使えるかどうか試してみましょう。

解き終わったら採点を行い解説を読みましょう。正解できなかったものにはチェックをつけておきます。

STEP5. 間違えた問題の練習をもう一度解く

しばらくしたら、間違えた問題の練習問題をもう一度ときましょう。正解できなかったものには、追加でチェックをつけておきます。これを全て正解できるまで繰り返します。

例題が難しく感じたときどうするか

例題が難しくて手がでない、または解答や指針を読んでもさっぱりわからないという場合は、2つのことを試して見てください。

難しいときの対処①

関連事項を遡って復習します。

難しいときの対処②

問題文とを丁寧に書き写します。難しいと感じている人の一部は「問題や解答をよく読んでいないだけ。」ということがあります。(もちろん学習している本人としては、それなりに真面目に解答を読んでいるつもりです。)丁寧に書き写してみることで、読んでいたときは見逃していたことに気付きやすくなります。

例題だけ解くという勉強法はどうか

例題のみを解いて、練習やEXERCISESは使わないという勉強方法はおすすめしません。例題を読むだけでは、その解法を自分のものにできたかどうか確認できません。練習まで解くことをおすすめします。一方、EXERCISESは必須ではありません。例題と練習で解法を身につけ、応用問題は別の問題集で練習するというのも良いと思います。

青チャートは何周解くべきなのか

人によって違うとしかいいようがありません。勉強に使える時間も現時点での学力もわからないからです。

基本的には「できるまでやる」ですが、人によってできるようになるまでの回数やかかる時間が異なります。まずは1単元をできるまでやってみて、何周くらいしたのか、どれくらい時間がかかったのかを調べてみましょう。

辞書としての使い方

チャートは網羅的に公式や解法が載っています。そのためチャートを辞書がわりに使うこともおすすめです。単に公式を確認したいときは表紙の内側に載っている公式集が役に立ちます。解法や公式の使い方を知りたいときは索引で調べて該当ページの例題や指針を確認すると良いでしょう。

青チャートで勉強するときの注意点

本当に青チャートをやる必要ある?

学校で配られているから、みんなが使っているからとなんとなく青チャートを選ぶのはやめたほうがいいです。同じチャートでも黄チャートや白チャートを使うべきかどうか検討してみてください。

そんなに解説が詳しいわけではない

難易度のところでも述べた通り、青チャートはほとんどすべての問題で1ページに一つのテーマ、ページの構成も決まったフォーマットになっています。問題によっては、解説のスペースが足りないように感じることもあります。解説横の注を活用しましょう。また、解説の意図を調べたり自力で読み取ることも必要になります。

反復練習には向かない

収録されている問題はどれも、少しづつ解法が異なったものになっており、同じタイプの問題を反復練習するのに向いているとはいえません。

青チャートの前に取り組むべき問題集

  • 白チャート
  • 4STEP

青チャートの代わりに使える問題集

  • Focus Gold
  • NEW ACTION LEGEND数学
  • 黄チャート

青チャートの後に取り組むべき問題集

  • 数学重要問題集
  • やさしい理系数学
  • 理系数学の良問プラチカ

私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。

受験をはじめとした勉強において、固定的なカリキュラムや決まった勉強方法に生徒を適応させることに意識が向きがちです。

私たちはそれらを大切にすると同時に「生徒」を中心とした学習方法を提案し実践することが、生徒が勉強を楽しむことに繋がり、学力の向上につながると考えています。

「自分に合ったやり方で勉強したい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。

この記事を書いた人

坂本 諒

ティーシャル代表。1988年福岡生まれ。大学に進学した2006年から塾講師をはじめ、2013年に個別指導塾ティーシャルを横浜に開校。おもに数学・物理・化学などを担当。

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