教材・本の紹介

黄チャート数学の特徴と使い方

黄チャートとは

黄チャートは日本で最も有名な数学の参考書・問題集であるチャートシリーズの一つです。青チャートより易しくつくられており、日常学習から受験勉強まで幅広く使うことができます。

基本的な例題から国公立2次、中堅私立大学の過去問まで幅広く収録されており、これ一冊を完璧にできれば多くの大学に合格する力をつけることができます。

理系の参考書・問題集を多数出版している数研出版のから出版されており、数研出版のウェブサイトのURLが「https://www.chart.co.jp」であることからもチャートシリーズが同社を代表する問題集であることがわかります。

<中堅大学入試対応> 進学校で最も使用される参考書。
例題は「基礎固めの問題」「代表的な入試問題」「入試準備に必須の問題」で構成。教科書レベルから入試中級レベルの問題まで掲載している。例題のアプローチ方法は,目的によりCHART&SOLUTION(解法重視),CHART&THINKING(考え方重視)の2タイプ。確実に解法を習得し,自ら考える意識を高められる。コラムも多数掲載。理解を深めたり,内容を整理したりして,実力を高められる。巻末にResearch & Workを掲載。重要テーマについて理解を深め,大学入学共通テストにつながる演習もできる。
入試対策を教科書レベルからはじめる人にオススメ。
数研出版ホームページより

黄チャートの特徴

黄チャートの特徴をざっくりまとめると以下のようになります。

  • 黄チャート一冊で普段の学習から入試対策まで可能
  • 解法技術の辞書のような存在
  • 例題・CHART&SOLUTION・解答・練習の定式化された学習フォーマット

黄チャートの基本情報

教材名
チャート式 解法と演習数学I+A(Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅱ+B・Ⅲ・C・Ⅲ+Cのバリエーションあり)
著者
チャート研究所
出版社
数研出版
サイズ
A5判
ページ数
567ページ
価格
税込2134円(本体価格:1940円)
販売
市販教材

黄チャートの構成

問題集本体と別冊解答に分かれています。

問題集本体

ひとつの問題

1つの問題は必ず以下の構成となっています。

  • 例題
  • CHART&SOLUTION
  • 例題の解答
  • 練習問題

例題

黄チャートは一つの解法につき一つの例題で構成されています。例題は基本的な数学的知識を具体的な問題の中でどう使うかを身につけるための問題です。例題には必ずタイトル(例えば「二次方程式の係数や他の解決定」)がついて例題一つ一つを「名前と解法」のセットで覚えられるようになっています。

例題は「基本例題」と「重要例題」と「補充例題」の3種類に分かれています。「基本例題」は基礎力をつけるための教科書レベルの問題、「重要例題」は代表的な入試問題、「補充例題」は教科書では扱われていないが入試準備に不可欠な問題が中心となっています。

ほとんどの問題には関連する例題番号がのっているため、ある例題を難しく感じたときも、戻るべき例題を簡単に見つけることができます。

「CHART&SOLUTION」

例題を解くためのポイントを簡単にまとめたものです。すべての例題に「CHART&SOLUTION」が用意されています。青チャートの「指針」とほとんど同じ役割を持ちます。

例題の解答

すべての例題のすぐ下に模範解答がついています。解答の右には式変形の詳細や考え方について補足されています。

練習

すべての例題に練習問題がついています。例題と同じ解法を使った問題が1問載っています。(計算の小問で4~10問程度のときもある。)

単元のごとの基本事項と解説

単元ごとに、定理や公式など、問題を解くときの基本事項がまとめられています。また、「CHECK&CHECK」という基本事項や公式の確認問題が数問載っています。

章の終わりの「EXERCISES」

各単元の終わりに、練習問題として「EXERCISES」がついています。「EXERCISES」はA問題とB問題に分かれており、A問題は例題や練習で学習した内容の反復練習として、B問題は応用する力を試す問題となります。

INDEX

巻末に、数学用語が五十音順に並べられたINDEX(索引)がついています。公式の名前は覚えているが、どのページを見たら良いわからないときに便利です。

コラム

黄チャートにはコラムが収録されています。数学Ⅰの分野だけでも23のコラムが収録されています。

表紙の内側の公式集

黄チャートに限らずチャートシリーズは表紙と裏表紙の内側に公式集がのっています。これがなかなか探しやすく便利です。

別冊解答

別冊解答は352ページと大ボリュームとなっています。

模範解答が示されて、右側に補足が載っている点は例題の解答と変わりません。例題の解答と違うのは、1ページという制限がないため解説を端折っているところがないことです。

各問題の冒頭に問題文がそのまま書いてあるため、復習がやりやすいです。個人的にはチャートの解答のもっとも良いところだと思っています。

青チャートとの比較

青チャートと比べると例題のテーマが細かく設定されています。

例えば、二次方程式の基本問題において、黄チャートは「因数分解・平方根の利用」「解の公式」の2つの例題に分かれているのに対し、青チャートでは「二次方程式の基本」の一つの例題にまとまっています。その分青チャートには黄チャートにはない「色々な二次方程式の解法」が用意されています。

例題の問題数(数Ⅰ)を比較すると、青チャートの185題に対して黄チャートは150題と約8割の問題数となっています。

黄チャートの難易度

問題の難易度

黄チャートに収録されている問題は教科書の例題レベルの基本問題から大学入試問題まで幅があります。

チャートのすべての問題には1~5のレベルが設定されています。

  • レベル1:教科書の例レベル
  • レベル2:教科書の例題レベル
  • レベル3:教科書の節末・章末レベル
  • レベル4:入試の基本〜標準レベル
  • レベル5:入試の標準〜やや難レベル

章末の「EXERCISES」はA問題とB問題に分かれており、A問題は例題や練習で学習した内容を大差ない難易度、B問題は応用的でやや難しい問題もあります。

解説を読む難しさ

チャートシリーズは一つの例題が1ページ内で解説されるという紙幅の縛りがあるためか、解説があまり親切ではありません。行間を読む力が求められるため問題レベルの割には読解の難易度が高いといえます。

どんな人におすすめか?

学校で習ったことの復習や練習をもっとしたい人

黄チャートは日常学習の補助教材としておすすめできます。補助教材として学校で青チャートが指定されることがありますが、黄チャートの方がよいのではというケースが結構多いです。(学力や目的によりますが)

一冊で教科書レベルから入試問題レベルまで学習したい人

黄チャートは教科書レベルから入試レベルの問題まで幅広い難易度の問題が収録されています。教科書レベルの例題を理解するところからはじめ、典型的な解法を身につけ、ある程度の難易度の入試問題を解く力をつけるまでを一冊で学習したい人におすすめです。

黄チャートの使い方

STEP1. 例題を解く

まずは例題を解いてみましょう。

例題のすぐ下にある「CHART&SOLUTION」が視界に入ってしまうことについて気になってしまう方もいるかもしれませんが、見ても見なくてもどちらでも構いません。隠そうとしても必ず視界に入ってしまいますから、気にしないほうが良いでしょう。

黄チャートの例題は解法技術を理解するためのものなので、すでに解法パターンがある程度頭に入っており、使えるかどうかを確かめたいのであれば先に練習問題を解くと良いでしょう。

STEP2. 例題の解答を読む

手が止まってしまったときは、時間をかけすぎずに注意して例題の解答を読みましょう。もちろん解けた場合でも解答を読み、解答プロセスがあっていたか確認します。

チャートの例題はこの解答を解読し、もう一度自力で解くことが可能か、つまづくとしたらどこか、などを考えるのが目的です。解くことではなく解答の解読がチャートを使った学習のメインだと思ってください。

STEP3. 「CHART&SOLUTION」に目を通しておく

解答を読んで納得したら一度「CHART&SOLUTION」に目を通しておきましょう。「CHART&SOLUTION」は問題のポイントをまとめたものなので、解答を理解したこのタイミングで読むと納得感を得られることが多いです。

STEP4. 練習問題を解く

練習問題を解いて、例題で理解したことを実際の問題で使えるかどうか試してみましょう。

解き終わったら採点を行い解説を読みましょう。正解できなかったものにはチェックをつけておきます。

STEP5. 間違えた問題の練習をもう一度解く

しばらくしたら、間違えた問題の練習問題をもう一度ときましょう。正解できなかったものには、追加でチェックをつけておきます。これを全て正解できるまで繰り返します。

例題が難しく感じたときどうするか

例題が難しくて手がでない、または解答や指針を読んでもさっぱりわからないという場合は、2つのことを試して見てください。

難しいときの対処①

関連事項を遡って復習します。

難しいときの対処②

問題文とを丁寧に書き写します。難しいと感じている人の一部は「問題や解答をよく読んでいないだけ。」ということがあります。(もちろん学習している本人としては、それなりに真面目に解答を読んでいるつもりです。)
丁寧に書き写してみることで、読んでいたときは見逃していたことに気付きやすくなります。

辞書としての使い方

チャートは網羅的に公式や解法が載っています。そのためチャートを辞書がわりに使うこともおすすめです。単に公式を確認したいときは表紙の内側に載っている公式集が役に立ちます。解法や公式の使い方を知りたいときは索引で調べて該当ページの例題や指針を確認すると良いでしょう。

黄チャートで勉強するときの注意点

そんなに解説が詳しいわけはない

黄チャートはほとんどすべての問題で1ページに一つのテーマ、ページの構成も決まったフォーマットになっています。問題によっては、解説のスペースが足りないように感じることもあります。解説横の注を活用しましょう。また、解説の意図を自力で読み取る必要もあるかもしれません。

入試演習問題の数は少ない

黄チャートにおける入試演習問題は「EXERCISES」のB問題で、各単元末に数問収録されています。ですがそれだけでは演習量としては少なめです。過去問演習に入る前に別の問題集で演習量を補った方が良いかもしれません。

私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。

受験をはじめとした勉強において、固定的なカリキュラムや決まった勉強方法に生徒を適応させることに意識が向きがちです。

私たちはそれらを大切にすると同時に「生徒」を中心とした学習方法を提案し実践することが、生徒が勉強を楽しむことに繋がり、学力の向上につながると考えています。

「自分に合ったやり方で勉強したい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。

この記事を書いた人

坂本 諒

ティーシャル代表。1988年福岡生まれ。大学に進学した2006年から塾講師をはじめ、2013年に個別指導塾ティーシャルを横浜に開校。おもに数学・物理・化学などを担当。

記事一覧 プロフィール
お問い合わせ 無料体験