個別指導塾のメリットやデメリットは?どんな人に向くかを解説
この記事では個別指導塾とは、メリットやデメリット、どんな人が向いているかについて説明します。
私の某大手個別指導塾でのアルバイト経験、現在の塾経営の経験、自身の受験経験を踏まえています。
1.個別指導とは
個別指導とは「生徒の能力、性格、生活環境などを重視して行う指導」のことをいいます。生徒に合わせて教える内容や使う教材をカスタマイズしてくれるということですね。
また、「指導者と生徒が1対1で行う指導」を指すこともあります。その場合は単に個別指導ではなく「個別指導1対1」とか「マンツーマン指導」とかとういうようにいうことが多いようです。
ですから、単に「個別指導」というときは、必ずしもマンツーマンの指導を指すわけではありません。
個別指導のタイプについて
個別指導は次の3つのタイプに分かれます。
- 講師1人に生徒1人のタイプ(1対1)
- 講師1人に生徒2人(1対2)
- 講師1人に生徒3人以上(1対3以上)
ひとつずつ見ていきましょう。
講師1人に生徒1人
1対1のタイプは常に講師がそばにいて解説をしてもらったり、わからないところを質問することができます。
講師にとっては常に目の前の生徒のための授業を行うことができるため、1対2のような切り替えが必要なく、生徒に必要な指導方法を実践することができます。
家庭教師との違いは?
家庭教師も1対1の個別指導も授業の形式は基本的には同じです。
違いのひとつは、移動時間や送り迎えのコストの有無です。これについては特に説明はいらないでしょう。
もうひとつの違いは学習環境です。生徒にとって自宅はもっとも安心し、リラックスして勉強できるところだと思います。そういう環境でないと勉強しづらいという生徒にとっては非常に重要なことです。一方で自宅外であるほうが、ほどよい緊張感や周りからの刺激など成長を促す要素は多くなります。
これは教える側、講師にとってもいえることです。生徒の自宅と塾の教室を比べると、周りの生徒や講師、教室長からの視線やフィードバックがあるため講師として成長する機会は多くなるかと思います。
講師1人に生徒2人
1対2のタイプは片方の生徒に解説や発問、片方の生徒に問題を解いてもらうということを繰り返します。
個別指導の授業は講師が授業時間中ずっと講義をするということはほとんどありませんから、多かれ少なかれ生徒が1人で問題を解く時間がでてきます。
そのため、講師が生徒への解説と練習の時間のマネジメントが上手にできれば効率が良い指導形態だということができます。
講師1人に生徒3人以上
1対3以上のタイプは1対2同様に解説と練習の繰り返しです。
講師一人当たりの生徒数が増えるわけですから、講師が生徒に解説したり発問できる時間は少なくなります。1対2以上に講師のマネジメントスキルが必要とされます。
個別指導塾の授業の流れ
私が大手の個別指導塾で働いた経験をもとにすると授業の流れはこのようになります。
- 授業のはじめ:ヒアリング、目標設定、小テストなどを行う
- 授業のメイン:教科書準拠のワークを使って例題の説明をする、練習問題を解いてもらう、丸付けをして解説や解き直しをする
- 授業の終わり:宿題を出す、報告書を書く
2.個別指導のメリット
個別指導塾のメリットとして代表的なものは次のものがあげられます。
- カリキュラムを個人に合わせて組むことができる
- 講師がそばにいるので質問しやすい
- 勉強面はもちろん、進路などの面において生徒の理解者となることがある
カリキュラムを個人に合わせて組むことができる
個別指導塾は個人に合わせて学習すべき内容や使用するテキストを選ぶことができます。そのため、学習目標に対して最適なカリキュラムを組むことができます。また、授業を受けたものの内容がわからなくなったということが起きにくくなります。
講師がそばにいるので質問しやすい
講師に対する生徒の人数にもよりますが、講師一人につき生徒二人のタイプであれば講師は生徒の隣に座っているため、質問のハードルが非常に低くなります。また、講師からも生徒が問題を解いている様子がよく見えるため、ヒントや解説をどのタイミングで与えるかを調整することができます。
勉強面はもちろん、進路などの面において生徒の理解者となることがある
個別指導の講師と生徒は心理的な距離が近く、生徒にとって良き相談者となる場合もあります。勉強の中身だけでなく、人間関係の悩みや進路について、学習方法や受験生活など様々な面でのサポートが受けられる場合があります。
3.個別指導のデメリット
個別指導塾のデメリットとして代表的なものは次のものがあげられます。
- カリキュラムの作成・管理コストが大きい
- 講師の当たり外れがある
- 授業料が集団塾に対して高い
カリキュラムの作成・管理コストが大きい
生徒ごとにカリキュラムを作成するのはなかなか大変です。また、せっかく作成したカリキュラムも実行しようとすると理想通りにはいかず机上の空論になってしまうこともあります。個別カリキュラムは作って終わりではなく実行や修正までサポートしてもらえる体制が必要です。
講師の当たり外れがある
個別指導の講師の学力や生徒指導スキルは、当然ながらばらつきがあります。また、講師の持っている人間性が指導に影響を与える度合いが大きいです。講師の入れ替わりが激しい教室はあまり期待できないでしょう。
授業料が集団塾に対して高い
講師と生徒の人数の比率、カリキュラムが個別対応であることを考えると、どうしても授業時間当たりの料金は高胃傾向があります。同じ時間の授業を受ける場合、個別指導塾は集団塾と比べ授業料が高くなります。
4.個別指導塾が向いている5つのケース
個別指導塾は生徒によって授業内容を変えることができる基本的にはどんなタイプの子でも指導が可能です。しかし、上で説明したようにメリットとデメリットもあるため費用対効果で考えた時に必ずしも有効とは限りません。そこで集団塾や他の学習方法と比較した時に特に個別指導塾に向いているケースを紹介します。
通知表が1や2が多く勉強が苦手なケース
通知表が1や2ばかりの場合は、現在の学習内容だけでなく既習の学習内容の理解ができていないことがほとんどです。学校の授業がわからなくなってしまうため授業時間が苦痛になってしまい、勉強にネガティブな気持ちを持ってしまうこともしばしばです。
このケースではカリキュラムを個別に設計し、学力にあったところから勉強を始められる個別指導塾が向いています。
全く勉強しないわけではないけれども成績が伸びないケース
ある程度学習習慣があるのだけれども成績が伸び悩んでいる場合は、勉強のやり方、あるいは勉強に対するマインドセットが身についていないということがあります。
このケースでは勉強のやり方やどういう心構えで勉強に向き合うべきかを丁寧に教わることができる個別指導塾が向いています。
自立学習がある程度できていて、どんどん質問したいケース
ある程度自立学習ができていてさらに上を目指ているが、わからない問題や確認したい問題もたくさんあるという場合は学力の高低に限らず個別指導が有効です。高校あるいは大学受験生などが主に該当します。
十分に自習をしていて、授業は質問したいことがたくさんある場合は1対1がうまく機能するでしょう。
私立中高一貫に通っていて成績が真ん中以下のケース
中高一貫校は独自のカリキュラムでハイペースに授業が進むため成績が真ん中以下の生徒はわからないこともどんどん積み重なっていきます。
また、日々の課題の量も多く、その課題は上位の生徒を想定して設定されていることが多いため、生徒の努力だけでは課題をこなすのもままならないということがあります。
ただし、個別指導塾でも公立中学生の指導が得意な塾、私立の中学生が得意な塾があるため塾選びの際には私立の指導が十分にできるか確認が必要です。
集中するのが苦手、気が散ってしまいがち
このケースは条件付きで個別指導に向いているといえます。というのも、このタイプの生徒(もちろん一括りにはできないことは承知しています)に集中して取り組んでもらうのは難易度が高いのです。
先生が隣で見ているだけで集中できるのであれば誰も苦労しません。ですから、うまくいくかどうかは講師やその教室の実力・相性次第です。
必要条件は(精神的なものになってしまいますが)、講師が「生徒のことをよく知り自分には理解できないものを受け入れ勉強するマインド」をもっているということだと思います。
5.個別指導塾を選ぶポイント3つ
個別指導塾を選ぶポイントを3つ紹介します。
参考記事:塾選びの決め手は?7つのポイントを紹介
授業料
個別指導の授業料の相場は次のようになります。
タイプ | 週回数 | 授業時間 | 授業料 |
---|---|---|---|
1対2 | 週1回 | 90分前後 | 14,000円~20,000円 |
1対3以上 | 週1回 | 90分前後 | 10,000円~16,000円 |
授業料を公開せず、個人情報のと引き換えに授業料を教えるという塾がほとんどのため各塾の詳細はありません。
同じタイプでも学年や授業時間によって授業料が異なります。また個別指導+演習時間を合わせて授業時間と表記しているところもあります。
塾の費用平均をまとめた記事はこちらから
→塾の費用ってどれくらい?平均や相場は?【学年・塾の種類別まとめ】
中学生の個別指導塾の費用比較はこちらから
→中学生の塾の費用【公立と私立で比較/13の塾を比較】
講師
個別指導塾の講師は大学生がほとんどです。特に、大手の個別指導塾では1つの教室に社員は教室長の1人、社員が面談や教室のマネジメントを行い、授業はアルバイト講師が行なっているというケースが多いです。時々30~50代の社会人講師がいますが、アルバイト講師と大きな違いはありません。私も大学・大学院生のときに5年間、個別指導塾(フランチャイズ)でアルバイトをしていました。
講師が採用される流れについてですが、求人サイト等で学生が応募→教室長と面談→初期研修→講師デビューという流れになります。
研修内容は、簡単な学力テスト、教室長からの説明、研修ビデオ、模擬授業という流れでした。
担任制と生徒の情報共有について
個別指導の強みは生徒のことをよく理解し、一人ひとりにベストな授業をすること。これを支えるのが生徒の情報共有です。
個別指導を選ぶポイントとして担任制かどうかというのがよく出てきますが、担任制のメリットは講師が生徒のことをよく理解することができるという点です。
一方で担任制のデメリットとして、スケジュールの柔軟性が下がることや、他の講師の考えを聞く機会が少ないということがありますがメリットとデメリットを総合するとやはり担任制がある方が良いと思います。その方が個別指導の良さを感じやすいからです。
しかし、担任制であったとしてもどうしても講師のスケジュールが合わないとか、体調不良等で別の講師に教わる機会が時々生じます。また、担当でない講師でも挨拶をしたり自習時に声をかけてもらうことで互いを知り、質問しやすい関係性を作ることができます。
このような観点から講師間、教室全体での生徒の情報共有ができているかどうかというのは非常に重要なポイントです。
ちなみにティーシャル(弊塾)ではslack(スラック)というチャットツールで情報共有をしています。
個別指導塾は部活と両立できるのか
個別指導塾は授業の曜日や時間を選べるため部活と両立しやすいといわれています。実際その通りで、ほとんどの個別指導塾は平日および土曜日の授業枠から好きな時間を選ぶことができます。(講師とのマッチングは必要ですが。)
ここで忘れないでおきたいことは塾に通う目的です。
例えば塾に通う目的が学校の授業でわからなかったところを教えてもらう、次の授業の予習をするということであれば週1回の授業に通うだけで十分かもしれません。しかし、そういう塾の使い方ができる人は多数派ではありません。
多くの生徒は授業を受けるだけでは成績は上がらず、授業を受けた上で自身の課題を克服する自習をする必要があります。
ですから、部活との両立といった時に塾に行く時間を確保できるかということだけでなく、塾に行って成果を出すために必要な自習時間を確保できるかということまで考えて選択してもらいたいと思います。
私たちは、横浜にある小さな個別指導の学習塾です。
受験をはじめとした勉強において、固定的なカリキュラムや決まった勉強方法に生徒を適応させることに意識が向きがちです。
私たちはそれらを大切にすると同時に「生徒」を中心とした学習方法を提案し実践することが、生徒が勉強を楽しむことに繋がり、学力の向上につながると考えています。
「自分に合ったやり方で勉強したい」「どうせやるなら勉強を好きになってもらいたい」という方は是非ティーシャルをご検討ください。